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古典の授業中、急激な眠気に襲われた。
真っ暗な世界。
この前と同じ。
私は制服を着たまま。
ここにいるのは私1人。
もう5回は終わった扱い?
いやいや。
ポケットの中には、オレンジの石がまだある。
多分、今までと違って、これはリアルタイムでの戦い。
スポーツ番組ならライブ中継ってところか。
オレンジの石を握りしめて、天へと拳を突き上げる。
「ブルーミーーーン、フローレ!」
アイテムは違えど、シャイニング・フローレの変身ポーズできめると、瞬時にオランジュのフリフリコスチュームになった。
オランジュのオレンジは、ガーベラさんのオレンジ。
「シャイニング!」
このステッキは、ガーベラさんのシャイニングソード譲りのアイテム。
守るのは、キツネもどきのティンクゥエこと、消しゴムの神様。
ここにはいなくても、一緒に戦ってる。
私のステッキから出るシュワシュワは、敵を倒すにはちょっと弱い。
ならば、応援に回る。
お医者さんがとらなきゃいけない腫瘍とやらを全て見つけて、全部とってくれるように。
心に浮かぶ、エンディングテーマにあわせて、ステップを踏んで、走り回って、ステッキを振り続ける。
現実ではできない側転、バック転、くるくる回って体が軽い。伸身の宙返りだってこの通り!
シュワシュワを受けて、地面が所々光る。
大きな泡も、小さなシュワシュワも、摘み取るものを光らせて、取り逃しがないように。
どうか、気がついて。
ここにも、あそこにも隠れてる!
一生懸命、痛いのを我慢してきた。頑張ってる。負けるな、消しゴムの神様!
頑張れ、頑張れ、お医者さん! 消しゴムの神様を頼む!
ステッキのシュワシュワが渦を巻きながら世界に広がる。
サイドステップから4回転、ひねりを入れて宙返り!
頑張れ、免疫細胞!
負けるな、白血球!
あと…、なんだっけ。
とにかく、体の味方全部!
もう少し、
最後まで!
突然、視界全てが金色に光った。
光が果てた先に、青い空。
ゆっくりと動く、白い雲。
優しい風が吹き抜ける。
さわさわと葉擦れの音がして、広がる草原。
草の上でキツネもどき、ティンクゥエが遠くを見ている。
何かに気がついてこっちを振り返った。
私にできるのは、ここまで。
二本指で敬礼をすると、同じように敬礼し返してきた。
最後の一振り。込める願いは、
平穏なれ!
ステッキがはじけ、泡になって消えた。
私自身が、オレンジ色のシュワシュワへと変わっていく。
ゆっくりと、ゆっくりと、風に乗って、空へと散らばっていく。
さよなら、
さよなら魔法少女、オランジュの私…
バコンッ
丸めた教科書で頭を叩かれ、目が覚めた。




