図鑑No.006『アンデッド』
死せる肉体を闇の魔術で動かしている。彼らのあげる雄叫びは生者であった頃の死への恐怖あるいは絶望である。真に勇気ある者だけが死への恐怖を克服し、彼らを救うことができるだろう。
《勇者様コメント》
あー……専門家にパス。
《僧侶殿コメント》
パスされたので勇者様に代わって、わたしが解説いたします。
『アンデット』は本来、死して自然へと還る肉体が魔術によって再度動き出した者達です。
多くの方が『アンデット』と『ゾンビ』を同一視していますが、全くの別物なのです。
色々違いがありますが、最大の違いは霊魂の有無です。『ゾンビ』は何らかの手段で霊魂を捕獲し作成されますが、『アンデット』は霊魂を用いずに作成します。
この説明をすればもうお分かりですね。
そう、『ゾンビ』は違法ですが『アンデット』は合法なのです。
少し考えて頂ければ分かると思いますが、霊魂を用いない以上、『アンデット』の作成で尊厳を恥ずかしめられる人は存在しません。原理的には『ゴーレム』と同じです。対象が死体か岩かという違いだけです。
だというのに、死体を操る魔法というだけで闇の魔術扱いする人の多いこと多いこと。この手の人達の主張は『たとえ霊魂を用いなくても、死体は亡くなった人の所有物それを勝手に道具として使うのは倫理的に問題がある。』というものが鉄板です。ですが、そんなモノは生前に同意を取れば無問題なのです。困るんですよ『ゾンビ』対策って名目で燃やされると。ご存知ですか骨って燃やされると脆くなるんです。それに火葬は『ゾンビ』対策としては不十分なのです。
我々教会は聖典に記されている『私はこの者を、苦しみ死んだ者を、死してなお苦しめることは望まない。土葬にすべし。』との神のお言葉に従って土葬するべきだと日頃から布教しております。土葬だと『ゾンビ』になる心配がという方のお気持ちは良くわかります。ですがご安心ください。教会の教えに『神の教えに従って神の庭に埋葬された者は未来永劫、教会により管理される。』とあります。なので教会の墓地に埋葬される限り何も心配は入りません。
魔王の災禍がまだ多く残る中、経済的・心理的余裕がなく、信仰を守れない方が多いことは教会としても重々承知致しております。ですがそんな辛い時にこそ神のお言葉を思い出して欲しいのです。信仰は必ずあなたの助けとなります。例えば聖典の中にこんな【ーーーー以後、神のお言葉に関する布教が続くため、編集部判断で省略ーーーー】。




