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第五十一章
エンディミオン宮殿の厩は、屋根のある石の建物で、夜は扉が閉められる。
だがその鍵を持つものは多く、デイミアンもその一人で、
「夜に街に繰り出す貴族様もいるからな」と彼は答える。
エリディス王国は長い歴史のある大国で、贅を尽くして建てられたエンディミオン宮殿は、色々と華美で大きすぎる。
だから自然に人は腐り、他者への関心は失われ、警備は薄くなる。
デイミアンが厩の扉を開け、サイモンとルナは素早く馬に鞍を乗せる。
三人はそのまま馬を伴い、やはり終始開けられている、宮殿の正門へと向かうのだ。
ルナは茶色の馬の上から首を巡らし、ゴーチエらがいる御者の建物を探した。
相変わらず質素な木の小屋は、内部から光が漏れている。
あの中にゴーチエもいるのだろう。また酒でも呑んでいるのか。
──申し訳ありません、ゴーチエさん。
ルナは密かに彼に謝罪しながら、馬を走らせた。
誰にも気づかれぬ内に獲物を仕留め、気づかれぬ内に帰って来る。
馬が走り出し、全てが背後に流れていく。
ゴーチエがいる小屋の光が、あっと言う間に彼方に消えていった。




