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第二十九章
その瞬間、彼女の中にある鍛えられた超感覚が、何かを感じ取った。
彼女は振り返り、ランタンの光で辺りを窺う。
「どうしたの? ルナ」
ダンが尋ねてくるから、彼女は短く答える。
「誰か来ます」
「え? おれには分からないけど」
だが、キャンドルではなくランタンを持った大柄な影は近づいてきていた。
「あ、やべっ」
その人物の顔に光が届くと、ダンが怯えるように呟いた。
ルナはあまりのことに呆然と立ち尽くしていた。
「ああ? いるのかダン」
その男の名をルナは忘れたことがない。
コリーだ。
歳は四〇手前、乱れた髪、大きすぎる鼻、黄色く黄ばみ、幾つか欠けた歯、悪相で、誰もが眉を顰めるタイプの不潔な男、コリー……処刑人コリー。
ルナの目の前で、その『光景』が再生された。




