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終章


 パン屋のシームは犯罪者とされた故に、正式には埋葬されなかった。


 共同墓地に他の犯罪者とぞんざいに埋められる。


 その墓石に深い青色のアイリス姫付きの侍女の制服を着た少女が訪れて、祈り、花を置いていく奇妙な光景は、だが、それ程奇異に写らず、あまり人々の記憶には残らなかった。



 故に彼らは知らない。



 墓石の近くに、シームの愛犬アインを葬った小さな土の山があり、件の侍女がそれにも花を置き、祈りを捧げていることを。



 エリディス王国に潜入した暗殺者ルナは、唯一人、哀れなパン屋と愛犬を悼むのだった。

                                             了

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