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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第十一章~踊らされる運命の駒~
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第五百五話~戦局優勢~

  敵に囲まれ、状況は最悪――


「のこのこと出てきたわね、探す手間が省けたわ」


「お?探してたってか。俺達が誰かを知らねぇってこともねぇだろうに」


「えぇ、こんな馬鹿げた戦いを止めるには、頭を潰すのが早いでしょう?」


「俺達と狙いは同じってか、いいじゃねぇの」


 オーガストはリーナに戦いを楽しみにしていると言わんばかりの表情で睨み付け、リーナも剣を構える……一対一の決闘のごとき光景、実際他に邪魔をしようとするものは今はいない。二人の間に生まれた一瞬の静寂はとても長く感じられ――――先に動いたのはリーナだ。



 ……これ以上、連中の好きにはさせないッ……


 先手必勝、リーナは敵に時間を与えるつもりはなかった。一歩を強く蹴りだし、瞬間的に間合いを詰める。剣を振るい、敵に捉えられないよう切り裂くッ!

 だが、リーナの剣には手応えはなく


「おせぇよなぁッ!」


「ッ!」


 リーナは身体強化をフルに発揮している。当然、動体視力も底上げしている。なのに、見失いかけた。オーガストはリーナの背後へと回る。単純に、横に身を翻し難なく避けた。単純……なのに何故目で追えなかったのか。リーナは後ろから迫る拳を剣で防ぎ、もう一度一撃を――


「んなもん当たるかよ」


 またしてもリーナの一撃を軽々と避ける。単純に速度が早いという訳ではないように見える。ならば何故リーナが反応しきれないのか、その理由が見えないままリーナは戦うこととなり、思いきった攻めが行えず不利な戦いを暫く続けることとなる。




 リーナとオーガストの戦闘が始まり、リーナと共に戦場を移ってきたバウルとギーブは、自分達が最悪な状況に置かれていると理解しながら、リーナまでもが不利な状況に笑っていられなかった。


「あれ、単純に強いというのとは何かが……」


「だな、けど嫌な予感がするぜ。もし予想が当たってるなら……」


「「ねぇねぇ、もういいかな?」」


 二人の会話に、別の二人が割り込む。ただ、二人ではあるがその言葉のタイミングは完璧に重なっており、まるで一人の言葉かのよう。その奇妙な双子に目を向け、バウルとギーブは武器を構える。


「「だよねだよね!やっぱ殺し合いたいんだよね!」」


「てめぇら頭イカれてんのか?誰がんなこと――」


 バウルの言葉が言いきられるより先に、バウルの胸に何かがかするような感覚が。その感覚は初めは冷たく、徐々に熱く感じられ


「バウルッ!」


 ギーブの叫びで気づく。感じた熱が、自身の胸が切られたことによるものだと。即座に飛び退き、受けた傷を確認する。幸いにも、深い傷ではなくほんの掠り傷。その点だけは安心しつつも、バウルは敵二人へより一層の警戒を向ける。


「なんだ今の、どこから攻撃してきやがった」


「見えませんでしたね。何も動きがなかったのは確かですが……」


 ライラとライル、そして聖獣である鎌を持つ死神は動きを見せていない。距離を保ったままだというのに、何故か攻撃が飛んできた。無論、他の囲んでいる兵が攻撃をしてきた訳でもない。何か、常識の枠で考えてはいけない何かがある。そう警戒を強め、二人は七極聖天へと挑む。

 バウルが切り込み、その背後からギーブが魔法を、基本的な陣形故に隙は少ない。そしてライラとライルの二人も死神を動かし、バウルとの戦いを開始する。



 リーナとオーガストはほぼ互角。バウルとギーブはやや劣勢。ブラッドローズはレギブス軍の進行足止めに成功。フィオリス軍は被害を出すことなく防衛中。この戦いの始まりは、フィオリス優勢から始まったのだ。そう、彼らにとって、決して不利な始まりでは無かったのだ…………

どうも、作者の蒼月です。

はい、とりあえず悪くないスタートです。えぇ、リーナやバウル達への負担はかなり大きいですけど、まあ悪くない選択でしょう。今後の歴史を知った上で最適解を考えれば他に方法がなくもないですが、現状としてはいい戦いです。このまま、レギブスを頑張って退けてもらいたいものですね。


では、次も読んで頂けると幸いです。

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