第四百八十二話～氷に封じられる動き～
走った一閃に、セヴランは即座に剣で反撃を行う。ロイヤルガード、リノームの一撃は速く回避は出来ない。ならば、回避よりも攻撃を重視するまでのこと。
足を蹴り上げ、リノームの剣を足で払う。同時に後転することで距離を取ろうと動き
……ッ！？……
しかし、セヴランの回避先には次の攻撃が置かれていた。まるでセヴランがそう動くことを見越していたかのような、そんな一撃が。回避中故に剣を振るうことすら間に合わない。回避も防御もままならず、そのまま受けることは危険であり、とっさの判断からセヴランは右腕を突きだす。
突きだされたセヴランの右腕に、リノームの次なる一撃は吸い込まれる。それは肉を裂き、鮮血を溢れさせ、極限まで消している痛覚に鞭を入れる。セヴランは引きちぎれそうな腕を引き込み、リノームの剣の動きを封じる。流石にセヴランも相当の激痛に最早思考は回らなかったが、戦わなければならないという執念がそれを成し遂げさせる。
「ッ……」
リノームの表情から、セヴランのその執念に畏怖に近いものを抱いたであろうことが伝わってくる。セヴラン達の使用する身体強化の情報はほぼ漏れていない為、その中の効果の一つ、痛覚鈍化の効果などロイヤルガードは知る余地もない。腕を潰され、それでも動ける人間はごく一握りの化け物に該当する英雄ぐらいなものだろう。それを目の前で見せてくれるセヴランへの評価は、リノームの中で確実に変化していた。
リノームは剣の動きを封じられ、取れる選択肢は限られてくる。しかし、その程度ならばいくらでもやりようはある。握る剣を捻り、セヴランの肉を切り開くことで、リノームは剣の制御を奪い返そうとする。だが、ここで離す訳にはいかない。セヴランの選択は、リノームを更に驚愕させるものだった。
「ッ、貴様……」
セヴランの魔法は、普通ならばリノームに当てることはままならないだろう。例え空気ごと凍らせようと、リノームは容易に回避することは間違いない。しかし、今の状況ならば話は別である。セヴランは自らの腕ごと、剣を凍らせた。しかも凍らせるのは剣だけに留まらず、剣を伝いリノームまでも凍らせてゆく。そこまですることを読みきれなかったリノームは、その一瞬の判断が遅れた。そしてその一瞬は大きな隙となり、セヴランに主導権を握らせる要因となる。
けれども、リノームの腕を完璧に凍らせるより先に、上からの一撃が届いた。それの接近に気づいたセヴランは、左の剣を上へと掲げ防御体勢。だが、狙いはセヴランそのものではなく、その氷で封じられたリノームの剣であった。
「何をしているんですか、一旦下がるわよ」
「悪い」
頭上から降ってきたのはリターシャであった。目的はリノームの援護、故にリノームを拘束する氷付けの剣を叩き割り、強引に解放したのであった。
どうも、作者の蒼月です。
申し訳ありません、3日という期限を過ぎてしまい、誠に申し訳ありませんでした。言い訳にはなってしまいますが、仕事の都合でこの数日はまともにネットに触れることが出来なかったので、投稿出来ませんでした(書き貯めしておけという話ですね)。
あと、1週間ほどこれが続くので、投稿が遅れないようどうにか精進致しますm(_ _)m
では、次も読んで頂けると幸いです。
