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ep.42


食堂前――


「お待たせしました…!」

「ん?ああ、大丈夫だよ。那月くんの私服って…」

「何か変ですか?」

「いや、とても似合ってるよ。特にその淡い色のカーディガン」

「えへへ、これお気に入りなんです」

「いいね、可愛い」

「かっ、かわ…」

「ふふ、じゃあ行こうか。手を繋いでも?」

「え、あ…食堂いっぱい人が居る、けど…」

「いいのいいの。さ、行こうか」


ガチャリと重苦しいドアを開けると一気にざわざわとした雰囲気に包まれる。


食堂は少人数から大人数向けのテーブルがあり、その一席一席にタブレット端末が置かれている。


注文などは全てそれで済ませ、ウエイターの人が持ってきてくれる仕組みだ。


少人数席で空いてる場所はないかと二人でキョロキョロとしていると、また違ったざわつきが起きていた。


「ね、ねえ…あの高嶺先輩がなんか儚げ美人と手繋いでるんだけど…」

「え!?嘘!?恋人出来たの!?」

「俺狙ってたのにまじかよ…」


どこからともなく聞こえてくる声に少し、緊張してしまう。


(やっぱり類って目立つんだなあ…、僕なんかと手繋いでていいのかな…)


席探しをやめてぼんやり七海を見ているとバチッと目が合った。


「ん?どうかした?」

「あ、ううん!なんでもない」

「そ?じゃああそこ空いてるからそこにしようか」

「うん…!」


お互い食べたいものを注文し、料理が届くのを待つ。


「あの…、類に聞きたいんだけど…」

「なにかな?」

「あ、う…、えっと…な、なんで僕のこと…」


キャアア――


なんで僕のこと選んだの、そう聞きたかったのに突然の声にかき消された。


「生徒会の皆様だ!」

「会長ー!」

「副会長様ー!」

「萊くーん!」

「高良さまー!」


珍しくみんなが揃っていた、と思ったらまた声が上がった。


「えっ、嘘!?橘先輩まで居る!?今日ラッキーじゃん!」

「みんなでご飯とか僕今日食堂来てよかった…」


そんな声が上がる中何事もないかのように生徒会メンバーと橘は気にもとめてなかった。


そんな時――


「……あ、那月」


真緒先輩と目が合った。


「な、つき」


みんなの輪から外れ高良がこちらへやってくる、と怪奇な目をして七海を見る。


「……那月と、どういう関係」

「高良じゃないか、僕と那月くん今お付き合いしてるんだ」

「え…?那月…」


そんな会話をしていると、なんだなんだと他の生徒会メンバーと橘も寄ってきた。


「珍しい組み合わせ、ですね?」

「僕、今那月くんとお付き合いしているからね」

「えー!那月くん高嶺先輩と付き合ってるの!?」

「伊奈瀬くんと…お付き合い…? 七海どういうことですか」

「そのままの意味だよ」

「おいお前ら、伊奈瀬だって誰かと付き合ったりするだろ。ほら行くぞ」

「会長これは由々しき事態です!」

「何を言ってんだ、お前は…」

「僕にも、詳しく聞かせて欲しいかな」

「橘まで…、はあ…」


鳳が溜息をつくほど皆、那月と七海の関係に興味津々だった。


「僕から那月くんに付き合って欲しいってお願いした、それだけだよ」

「でも、七海確か…」

「橘くん、それはここでは秘密。でも那月くんには伝えてるから」

「そういう事ね、まあ七海がいいならいいんじゃないかい」

「ふふ、ありがとう。じゃあ早く二人きりにさせてくれるかな?」

「サラッと毒吐くね…、悪かったよ。伊奈瀬くんまたね、ほら皆行くよ」

「ちょっと!橘は何か知っているのですか!?」

「……な、つき」

「だー!もう!お前ら行くぞ」

「那月くんまたねー!」


ガヤガヤしていた空気が一瞬にして静かになる。


「あの、類…」

「うん?ああ、大丈夫だよ。ごめんね」

「ううん」


それ以上は何も言えなくて、料理が来たので他愛もない話をしながらご飯を食べた。



「ただいま」

「なっちゃんおかえり〜!そしてお話聞かせて!」

「ええ?えっと…」



浅見から迫られ七海との食堂での出来事を話した。



「くあああ!さいっこう!何それ!もうもうもう!なっちゃん総受けになっちゃうね!?いいね!?とても見たいよ!七海先輩が牽制してんのも良すぎな??期間限定とはいえ恋人だもんね、そりゃ他の男が手を出そうものなら黙っちゃいないよね!うんうん、分かる分かる…」

「???」


浅見が一気に喋るので何を言っているのか分からないしついていけなかった。


「はああ、萌えをありがとう。なっちゃん明日は七海先輩と登校?」

「あ、うん。そのつもりだよ」

「そっかそっか、了解!南達にも伝えとくね」

「ありがとう、じゃあ僕そろそろ部屋戻って寝るね」

「うん、おやすみ」

「おやすみ」


ガチャッと扉を開けて部屋へと戻る。


「あ、そういえば連絡先もらってたんだった。おやすみ送ろう」


連絡先を登録し、スマホをいじる。



«こんばんは、伊奈瀬那月です。今日はありがとうございました»


「こ、こんな感じでいいのかな…?」


シンプルすぎ?固いかな?などと考えながらとりあえず送ってみる。


ポコン――


«こんばんは、七海だよ。こちらこそありがとう、明日は一緒に登校しようね»


猫がルンルンとしているスタンプが付いて送られてきた。


「ふふ、このネコ類みたいで可愛いな」


«一緒に学校行けるの楽しみにしてます»


僕はうさぎがパンをくわえているスタンプを返す。


«ねえ、那月くん。少し電話してもいいかな?»


「で、電話!あ、えっと…」


«大丈夫です»


するとすぐに電話がかかってきた。


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