ep.40
「あ、来たみたいだね」
「誰だ?先輩みたいだな」
「うっわ…、めっちゃ美人来ちゃったよ…」
「えっえっ?僕どうしたらいいの…?」
「先輩ー!なっちゃんここでーす!」
「あの、入っても…?」
「どうぞー!」
「失礼します」
目の前に来た美人な先輩はとても品のある人だった。
「あの、初めまして。七海 類と言います、突然ですが伊奈瀬くん良かったら僕とお付き合いしてください」
そう言い頭を下げてくる七海にその場に居た四人は固まる。
「……つ、つつ付き合って!?!?」
「浅見声が大きい」
「えっと…、那月くんに…?」
「あ、あう…、あ…」
「なっちゃん!落ちつついいいて!」
「お前が落ち着け」
ポカッと入江が浅見をこずいた。
「だってだって!こんな美人が!なっちゃんに!こ、ここ告白って!?」
「えっと…、本当に僕で合ってますか…?」
「はい、伊奈瀬くんに言っています」
「あう…」
「先輩、どうして那月くんなんですか?」
南が問うと七海は少し考える素振りをしてからこう言った。
「僕の為、ですかね」
「…?どういう、ことですか?」
「お試しのお付き合いでいいんです、思い出を…残したくて。個人的な理由にはなってしまうのですが、僕二週間後に転校するんです。だから最後の思い出にと、伊奈瀬くんに恋人役になって欲しくて」
「他の人じゃ…ダメなんですか?」
「伊奈瀬くんがいいんです、お願いします」
また頭を下げる七海を見て四人は顔を見合せる。
僕にその役が務まるのだろうか、そう思ってしまう。
「那月くん、どうする?」
「嫌なら断ってもいいんだぞ」
「あ、え、えっと…、あの!ぼ、僕で良ければお願いします」
そう言い勢いよく頭を下げる。
「本当に、良いんですか?」
「僕にどれくらい出来るか分からないですけど…、先輩の思い出作り、手伝わせてください」
「……ありがとうございます」
ふわっと笑ったその笑顔はとても嬉しそうだった。
「では、今日から一緒に登下校しても…?」
「あ、えっと…」
チラッと三人を見る。
あんなことがあったから大丈夫だろうかと心配になり目配せをすると三人からは
「いいんじゃね?」
「なっちゃんがいいならいいと思うよー!」
「気を付けて帰るんだよ」
そう言われ、ポカンとしてしまう。
(あれ、なんか…、とんとん拍子に話が進んでいく。なんで?)
「伊奈瀬くん、一緒に帰りましょうか」
「あ、はい!あと名前那月でいいですよ」
「那月くんですね、分かりました」
「じゃあ、みんなまた明日」
バイバイ、三人に手を振り七海と二人で教室を出た。
一方その頃残された三人は――
「美人すぎてびっくりしちゃった、あの七海先輩がなっちゃんご指名とは…」
「高嶺の花で有名な七海先輩が、ねえ」
「那月大丈夫か?制裁とか…」
「そこはまあ、大丈夫じゃない?」
「南が言うなら大丈夫か」
「綺麗め美人×儚げ美人!萌えるっ!あの身長差も絶妙でとてもいいっ!!はあ、生きててよかった…」
那月は知らないが、先輩の中でも綺麗な人ということで目立って人気な七海がまさかの手紙の差し出し人と知って三人は驚いた。
「明日には学校中で噂になるんじゃない?」
「ありそうだな」
「やだよー!俺らのなっちゃんがー!」
「ま、僕たちは見守るだけだよ。何も無いといいけど」
「物騒な事言うな、何もねえよ」
「そんなフラグはへし折ってやる!」
「じゃ、僕たちも帰ろっか」
「そうだな」
「帰ったらなっちゃんにあれこれ聞いちゃおっ!」
「「ほどほどにしなよ(しろよ)」」
「分かってるよ!もう!」




