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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第三章

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132/165

氷華と星槍 ― 側背同時断ち

虚界兵が次々と地面から這い出し、影の靄を引き裂きながら襲いかかる。


黒い瘴気がうねり、咆哮の代わりに空気そのものが震える。


イリナ、 槍を肩に担いでニッと笑う。


「じゃ、クラリス! 挟撃サンドでいこ!

 右はワタシ、左はアンタね!」


クラリスは涼しい笑みで返す。


「了解ですわ。

 ――旦那様に“無様”は見せられませんから。」


二人は地面を蹴る。


足音が一つも聞こえない。


風の軌跡と氷の閃光だけが戦場を走った。



---



イリナが跳躍し、虚界兵の背へ槍を突き立てる。


流星突撃(シューティングスター)!!」


星光が尾を引き、槍先が影の背骨に突き刺さる。 同時に内側からセラ・フレアが燃え上がり――


虚界兵 「ギィ――――ッ!」


その影の体が内側から白炎へと崩れ落ちた。



---


クラリスは微笑んだまま、舞うように剣を抜く。


「氷華連牙――

 《グレイシア・ブロッサム》」


一瞬。

虚界兵の背を斬り裂いた刃から、青白い炎と氷花が同時に咲き散り――


影が音もなく消滅する。



---


「そっち行ったわよッ!!」


互いに声を掛け合い、目で合図し、動きは完全に噛み合っている。


イリナ 「クラリス、後ろ!!」


クラリスは振り返らずに言う。


「その前に――そちらを助けますわ、イリナさん。」


背後から襲い掛かった虚界兵へ、 クラリスは剣を投げ、イリナは槍で軌道を変える。


刃と槍が十字に背骨を断つ。


虚界兵は黒い霧に溶けた。



---


イリナ(肩で息をしながら) 「……アンタ、やっぱ強いじゃん。」


クラリス(汗を拭いながら) 「あなたも、少しは認める価値がありますわ。」


目は合う。

視線はぶつかる。


「でもレオン様の隣は譲らないから。」


火花バチィィィッ


アリア(心の声) 「はい、平常運転。」



---



後方で控えていた帝国兵たちは、ただ見ているしかなかった。


黒鉄の槍、魔導砲、炎の魔法――

どれも虚界兵には通らなかった。


だが、レオン一行は――


一撃で完全に葬った。


隊長格の帝国騎士は喉を震わせる。


「……あれが……

 “王国の七星”……なのか……?」



武器の差ではない。

戦い方でもない。


“位階”が違う。


レオンは彼らの前で剣を収め、 ただ静かに言った。


「俺たちは“別に強いわけじゃない”。

 ただ――影と長く戦ってきただけだ。」


帝国兵たちは息を呑む。


ただの旅人のような口調。

だが、その背は“王”の形をしていた。


帝国軍はこの瞬間、


レオンを“協力者”ではなく、

世界の均衡を背負う存在として理解した。


そして――恐れた。


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