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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第三章

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聖堂奪還 ― 闇に沈むルミナ・シールド

〈帝国東領・ブルーリヴァー峡谷外縁〉

夜の霧に包まれた野営地。

帝国残兵の中でも精鋭と呼ばれる者たちが、レイヴンたちを囲むように座っていた。


焚き火の炎が揺れ、地図の上に影を落とす。


帝国副隊長レオニード:「……目的は旧帝国聖堂跡。“水の女神の祭壇”に封じられた聖槍〈ルミナ・シールド〉を回収すること。」


リスティア:「その槍があれば、影の執行者を倒せるんですか?」

ティル=アクエラ:「はい。古代に聖樹の加護を受けた聖具……。

 “影の再生”を断つことができる、唯一の武具です。」


ヴェイル:「けど、その聖堂、今は瘴気まみれなんだろ?」

ミュリオ:「ええ、まさに地獄ですぅぅ! 僕の探知機が『絶対に行くな』って鳴ってます!」


レイヴン:「それでも行く。――奴を討つには、それしかない。」


帝国兵たちが一斉に頭を下げた。

「我らも、共に戦わせてください。あの怪物を……二度と仲間を奪わせぬために。」



― 沈んだ聖堂跡


翌夜。

月の光が届かぬ谷底、黒く沈む湖の中央に、崩れかけた聖堂が佇んでいた。

石造りの柱は傾き、かつて水の神を祀った彫像は半ば崩壊している。


霧の中、レイヴン一行と帝国の精鋭部隊十名が進む。


リスティア(小声):「……静かすぎます。」

ヴェイル:「いや、違ぇな。静かに“見られてる”。」

ミュリオ:「ひぃっ!? もう帰りたいです!!!」

ティル=アクエラ:「この瘴気……まるで、影そのものが息をしているようです。」


レオニード:「急げ。

 “槍の間”は奥の祭壇跡だ。ここに長居すれば、あの化け物が来る。」



---


祭壇 ― 封印の間


石扉の奥に、青い光を放つ大槍が突き立っていた。

古代文字が刻まれ、光の輪が槍を守るように回転している。


リスティア:「これが……封印槍〈ルミナ・シールド〉……!」

ティル=アクエラ:「この輝き……まだ、聖樹の加護が残っています!」


レオニード:「封印を解くには、神殿文書に記された詠唱が必要だ。

 私が行う。お前たちは警戒を。」


レイヴン:「了解だ。」


レオニードが両手をかざし、低く詠唱を始める。


> 「水よ、光を抱け。大いなる樹の名において、聖を還せ――

 “解錠陣・ルミナ・インヴォーク”!」




光の輪が砕け、封印が解かれた瞬間――

地の底から、不気味な唸りが響いた。



---


黒い霧が一気に広がる。

聖堂の壁面を這うように影が走り、天井を突き破って漆黒の腕が伸びる。


> 『……奪おうとするか、人の子ら。

 ならば――その手ごと、闇に沈めよう。』




ヴェイル:「出やがったっ!!」

ミュリオ:「いやあぁぁあぁぁぁぁぁっ!?」


影の渦から姿を現したのは――

先日の戦いで見逃した、“影の執行者ヴァルドラ”。

四腕が鎖を鳴らし、聖堂の中央に降り立つ。


> 『ルミナ・シールド。

 それは“主ヴェル=オルグ”の敵。

 ここで砕く。』





---



リスティア:「やっぱり来ましたっ! レイブン様、守ります!」

レイヴン:「ああ。ここで奪い返す!」


ヴァルドラが鎖を放ち、空間ごと切り裂く。

帝国兵が次々と吹き飛ばされる。


レオニード:「全員、陣形を保て! 後退するな!」

ティル=アクエラ:「水よ、清めの環を――“アクア・サークル”!」

蒼い結界が展開し、瘴気の侵食を一時的に抑える。


レイヴン:「リスティア、右の腕を狙え!」

リスティア:「了解です!」


二人が同時に跳び、光刃と水槍が交差。

だが、ヴァルドラは笑う。


> 『無駄だ。加護なき剣に、影は斬れぬ。』




鎖が伸び、リスティアの槍を絡め取った。


「くっ……!」


「リスティア!!」

レイヴンが即座に飛び込み、剣で鎖を断つ――だが、切った鎖が再生する。


> 『何度でも、繰り返す。』




レオニード:「今だ! 槍を――!」


帝国兵が聖槍を引き抜く。

刹那、白銀の光が走り、影を切り裂いた。


> 『っ……!? その光は――!』




ティル=アクエラ:「聖樹の加護が反応しています!」

レイヴン:「今だ、全員離脱!」


レオニードが叫ぶ。

「退け! この光は一時的な浄化しか保たん!」


ヴァルドラの咆哮が聖堂を揺らした。


> 『その槍――必ず取り戻す。覚えておけ、人間ども。』




黒い影が天井を突き破り、霧と共に消えた。



---




夜風が流れ、残った瘴気が薄れていく。

ルミナ・シールドの光が淡く輝きながら、影の鎖を溶かしていった。


リスティア:「……助かったんですか?」

ティル=アクエラ:「ええ。今だけは、聖樹の加護がこの槍に宿っています。」


レオニード:「これでようやく……反撃の準備ができる。」

レイヴン:「ああ。次こそ、“あの影”を断つ。」


ミュリオ:「もう二度とあんなの見たくないですけどぉぉぉ……!」

ヴェイル:「言うな。次は勝つための戦いだ。」


夜明け前、聖堂の尖塔に一筋の光が差し込む。

ルミナ・シールドがその光を反射し、蒼白く輝いた。


それは――反撃の始まりの証。

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