水守の誓い ― 絶望の執行者〈ヴァルドラ〉
〈帝国東領・ブルーリヴァー峡谷〉
蒼い霧が晴れ、静寂が戻った。
帝国第七親衛騎士団の残兵たちは倒れながらも息をしていた。
帝国隊長:「……助かったのか……?」
ティル=アクエラ:「聖樹の水が、まだこの地を守っているようです。」
レイヴンは剣を下ろし、呟いた。
「ヴェル=オルグ――あれはまだ“試していただけ”だ。」
リスティア:「試す……? あの魔族が、私たちを?」
ヴェイル:「確かに、全力って感じじゃなかったな。
まるで“研究”されてるみたいだった。」
ミュリオ:「はいっ、データ解析してたんですよ! 目が完全に“上から見下ろす観察者モード”でしたもん!」
風が止む。
不穏な静寂が谷を覆う。
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“ザァァッ……”
ティル=アクエラ:「……水が逆流しています!」
リスティア:「また!? 瘴気反応、増加中です!」
霧の奥――黒い影がうごめく。
虚界兵十体。
その中心から、漆黒の甲冑の巨影が姿を現した。
> 『我は――影の執行者ヴァルドラ。
ヴェル=オルグ様の命により、この地を影に還す。』
ヴェイル:「また厄介そうなのが出てきやがった……」
ミュリオ:「いやいやいや、これ完全にボス級の気配ですよぉぉぉ!!」
リスティア:「構えます!!」
レイヴン:「……全員、陣形を保て!」
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ヴァルドラが四本の腕を広げ、漆黒の鎖を展開する。
鎖が地を這い、触れた岩を腐らせ、霧を裂いた。
> 『“主の影”に抗うは、愚行なり。』
レイヴン:「“氷水双閃・流零断”!」
光の斬撃が黒影を裂く――が、すぐに再生。
リスティア:「なっ……!? 斬れてないっ!」
ヴェイル:「無限再生!? それ反則だろっ!」
ヴァルドラ:「“影に還る者”を斬る術を、人は持たぬ。」
ティル=アクエラ:「だめです!
聖樹の加護が……この影には届かない!」
ミュリオ:「属性完全相性負けぇぇぇぇぇ!!」
レイヴン:「……っ、撤退する!」
リスティア:「でも!」
レイヴン:「勝てん。今は――生き延びることが最優先だ!」
彼が剣を振るうと、爆風が巻き起こり、水柱が視界を覆った。
その隙に一行は谷を離脱。
ヴァルドラがゆっくりと見送る。
> 『……逃げたか。
だが、いずれ“影”は追いつく。』
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荒れた山道を駆け抜け、霧の外れでようやく足を止めた。
レイヴンたちの前に、血に濡れた帝国兵の一団が立っていた。
帝国副隊長:「あなた方が……救援に来てくださったのですね!
残り十名ほどが生き延びています……!」
リスティア:「谷の中はもう……。影の化け物が残っていました。」
ヴェイル:「まるで軍勢だったな。あれは“侵攻”だ。」
ミュリオ:「うう……研究者視点でも“ヤバさ指数1000%”ですぅぅぅ……!」
帝国副隊長は頷き、地図を広げた。
「我々は“聖樹水脈”を守る任務でした。
だが、封印の一部が壊れ、虚界から何かが溢れ出してきたのです。」
ティル=アクエラ:「封印が……“影の流れ”に飲まれたのですね。」
レイヴン:「あのヴァルドラを倒さねば、封印の修復も不可能だ。」
リスティア:「レイブン様……また戻るんですか?」
レイヴン:「ああ。逃げただけでは、この地が滅ぶ。
――倒す策を、練る。」
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帝国副隊長:「あの鎖の怪物は、どんな攻撃でも再生します。
こちらの聖印兵装でも傷ひとつ付けられませんでした……!」
ミュリオ:「再生の原理は“虚界還流”です!
あの鎖の中に、別空間へ魔力を逃がす仕組みが……!」
ヴェイル:「つまり、本体を斬っても“影に戻る”……」
ティル=アクエラ:「ならば、“光”か“聖属性”の力で封じるしかありません。」
リスティア:「でも、そんな装備……私たち持ってません!」
レイヴン:「……帝国の聖堂兵器庫に、聖樹由来の“封印槍”があると聞いた。」
帝国副隊長:「確かに、“ルミナ・シールド”が残っています。
だが、今は瘴気で封鎖状態です……!」
レイヴンは剣を抜き、静かに言った。
「ならば、奪い返すまでだ。」
いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、聖堂奪還 ― 闇に沈むルミナ・シールド




