南境の手続き ― 第二都市アストリアにて
〈アルヴィス王国南方・第二都市アストリア〉
アルシオンから数百リーグ――
陽光あふれる南方の大地に、王国第二の大都市〈アストリア〉があった。
貿易と職人の都。
香辛料の香り、機械仕掛けの商車、異国語の喧噪――
ここは王国と帝国を繋ぐ“交易の門”だった。
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行政庁でのやり取り
クラリスが書類を整えながら言う。
「旦那様、帝国に入るには“南境通行証”が必要です。
発行窓口は、アストリア行政庁にあります。」
アリアが窓口の混雑を見て小声で呟く。
「……かなりの行列ね。
でも今日は“帝国使節団”が滞在してるらしいわ。」
イリナ(目を輝かせて)
「それって! 早く発行してもらえるチャンスじゃないですか!」
セリオ(小声)
「ボ、ボク……役所系って胃が痛くなるんですぅ……」
クラリスは手帳を閉じて告げる。
「旦那様、手続きの間は外でお休みを。
少々時間がかかりそうですから。」
レオンは穏やかに頷く。
「わかった。では外の様子を見ておこう。」
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大理石のホールに、赤い外套を纏った男が立っていた。
帝国の紋章が刻まれた金の徽章。
彼こそ、帝国使節団筆頭――
ライゼン・ヴァルハルト卿。
隣に控えるのは、黒髪に赤い瞳を持つ女性魔導士、
ミュゼ・ファランカ。
ライゼン
「アルヴィス王国の冒険者一行……と聞いている。
帝国への入国目的は?」
クラリスが深く一礼。
「王国よりの命にて――南境火山地帯の異変を調査に参りました。」
ミュゼが鋭い視線を向ける。
「異変……“紅炎の脈動”のことか?」
アリア
「やはり、帝国も動いているのね。」
ライゼンは顎に手を当てた。
「我々も聖地イグナリアの調査に向かう。
――だが、帝国の領土に入るには“同行条件”がある。」
クラリス「……条件?」
ライゼン「帝国軍の監視下で行動することだ。」
イリナが一歩前に出る。
「問題ありません! 一緒に戦えば、きっと何か分かります!」
ミュゼはイリナの槍に目を止める。
「その槍……“星紋”を持つ。
七星騎士団の装備ね。」
イリナ
「はいっ! イリナ・フェルディア、星槍アステリア所属です!」
ライゼンは短く笑い、印章を取り出した。
「面白い。勇気ある者たちだ。
ヴァーミリオン・ゲート通行を許可する。
――明朝、出発だ。」
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宿の窓から、アストリアの夜灯が赤く輝いていた。
街路には行商人の声と、遠く火山風の唸りが混ざる。
クラリス
「旦那様……帝国の協力、信じてよいのでしょうか?」
レオン
「どんな国でも、目的が同じなら歩み寄れる。
だが、油断はしない。」
アリア
「“紅炎の脈動”――聖樹イグナリアの封印が軋んでいる。
次の“影の根”はそこにあるわ。」
イリナ
「じゃあ決まり! 明日から炎の国へ突入ですね!」
セリオ
「ぜっ……全然テンションついていけませんぅ……!」
レオンは微笑みながら外を見やる。
遠く、夜空の向こうに赤く揺らめく光。
まるで炎の聖樹が――
彼らを呼んでいるかのようだった。
いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、炎と水の門 ― 二つの誓い




