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転生したら織田信忠だった話(わ)  作者: ましお
墨俣
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16話 信盛 (其ノ二)


信盛は、それから、毎週やって来ては、書道や、兵法、歴史、武芸などを教えてくれた。

信盛は、俺が出来ない場合でも、決して怒ることはせず、ただ、出来なかった原因を一緒になって考えてくれた。


中でも、兵法については、特に時間が割かれた。戦国時代ということもあり、武将の子供にとって兵法は必須科目と言っても良い。


「今日は、孫子の時間で御座いまする。」


「『百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり』と、孫子は申しております。いかにして、戦いを少なくして、目標を達成するか、ということが、戦上手の考えることで御座います。」


信盛は、また、武芸にも通じていた。


「拙者は権六の様に大きな身体で生まれたわけではありません。ただ、基本的な技術で、ある程度のところまでは行けます。自分の身を守るための武術であれば、身に付けるために必要なものは、日々の努力と鍛錬で御座る」


まだ4歳の身体なので、どこまで成長するかは分からないが、少なくとも、父である信長の身体からすると、遺伝的には権六の身体能力には達しないと思う。


信盛は、来るたびごとに、滝川殿に軽いお土産を持って来たり、

館の侍女たちや下男たちにも、礼を欠かさなかった。


俺は、あるときに、信盛に聞いてみた。


「なぜ、それほどまでに、侍女や下男たちにまで気を使うのだ?」


「それは、『運』を得るためで御座います。『運』は運びと表される様に、自分以外の万人からもたらされるものなので、天地万物あらゆる人に対する感謝の心を忘れないことからもたらされます」


そうして、信盛に師事する事、半年がすぎた。


その日に限って、信盛は、珍しくいつも決まった時間から遅れて来た。


「どうした、信盛。今日は遅刻か」


俺は、軽口を叩いていたが、信盛の思い詰めた様な顔が気になり、少し間を置いた。


しばらく、沈黙の時間が流れたが、信盛は重い口を開いた。


「それがし、明日、出陣いたします。若様に置かれましては、しばしのお別れで御座います。」



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