15話 信盛 (其ノ一)
桶狭間での勝利の後、1年が経った。
俺は4歳児とは思えぬ早熟ぶり(当たり前)を見せ、織田家中での期待値を上げて行ったが、
元々の怠け者の気質が災いして、学問に励むでもなく、武芸に励むでもなく、
相変わらず、富裕層の息子に生まれた特権を満喫していた。
毎日美味しい食べ物を食べ、美しくて優しい乳母(滝川殿)に甘えまくり、
ダラダラと日々を過ごしていた。
信長は相変わらず、滝川殿の館には訪れて来なかった。
「いや〜 親ガチャに成功すると、戦国時代に生まれても、人生楽勝かもな〜〜」
などと、庭を見ながら呟いて居ると、どこからともなく、藤吉郎が館にやって来た。
「若様におかれましては、お元気に日々過ごされている様だぎゃー」
藤吉郎。。。こいつは、今川とのスパイと言う事が判明し、本来であれば磔の刑にされるべきところだが、
桶狭間の戦いで今川義元をおびき出し、俺を窮地から救出した功で、罪を帳消しにされ、
その後、立ち回りの上手さを発揮して、織田家の中でも頭角を現し始めていた。
「藤吉郎。何用じゃ。」
俺は、何となく嫌な予感がして、藤吉郎を問いただした。
どうせ、また、館の若い侍女(今川に勝つと、どこからともなく戻って来た)たちをナンパしに来たのだろうか。。。。
「信長様が若様をお呼びで御座います」
親ガチャ成功とか、言ってしまったが、、、、、親が信長だということを忘れていた。。。。
藤吉郎に連れられて、信長の館に行くと、信長の部屋の中には、見知らぬ男が座っていた。
「奇妙丸。大儀である。此度は、そなたに、守役(教育係)を付けようと思ってな。信盛。」
「佐久間信盛で御座いまする」
信長から、紹介されたのが、佐久間信盛だった。信盛は年は30代半ば位と思われ、
やや白髪が混じり始めてはいるものの、権六や藤吉郎ほどは、個性が強いという感じはしなかった。
サラリーマンなら、中間管理職という感じで、高校の歴史の先生に居そうな実直な感じがした。
「週に1回、信盛がそなたの館に出向いて、諸々学問や武芸の指導を行う。励むように。」
信長はそう言うと、手払いをして(下がれと言う合図)、俺と信盛は館から退出した。
翌週、信盛は、滝川殿の館にやって来ると、武芸や学問の初歩的なことを指導して、
去っていった。
(家庭教師という感じか。。。。)
そう、この時は、特に何も無い日々が続くと、思ったんだ。。。。。




