27-1.足長おじさん捕獲される(7)
※22-31.足長おじさん捕獲される(6)の続きになります。
栫井は、洋子と、カニのコース料理を食べに来ていたが、想定外なことに、
なんと、メインとも言える”茹でガニ”が、カニの仲間ではなく、ヤドカリの仲間のタラバガニだったのだ。
その上、酔っ払った洋子は、すっかりアクージョ様になっていた。
※栫井は、高校生の頃の洋子は純真で可愛かったと思っていますが、忘れているだけです。
24-28.洋子のいたずらの意味 参照
そんなシーンからの続きです。
…………
栫井には、尻尾が有るかもしれない。
さっぱり、洋子の体に興味無さそうな素振りにも、理由があるとしたら?
尻尾が有るから、それを隠すために、距離をとっているのだとしたら?
それが理由なら、洋子は、その秘密を共有したいと思った。
もし、お尻に尻尾が有ったら?
見てみたい。
ずっと一緒に居ると約束した。だから、そんな関係になる日も近いと思う。
でも、尻尾が有ったら……それを隠そうとすれば、裸は見せないかもしれない。
もっと言えば、体の関係は避けるかもしれない。
でも、秘密を二人で共有できるなら、もっと近付くことができるかもしれない……
秘密が秘密で無くなれば……
むしろ、そこに活路を見出す。
洋子の頭の中で、何かが弾けた。
”見てしまえば良いのだ!”(ババーン(効果音))
栫井のパンツを脱がす!
むしろ、尻尾が有るかどうか以前に、パンツを脱がしたい!
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なんか、アクージョ様の目が怪しく光ったように見えた。
きっと、何か、悪だくみをしているに違いない。
気を付けなければ……
それより、あの声が気になる。
あの声はいつも突然降ってくる。……いや、俺がフラグを立てるから降ってくる。
とは言え、突然ではある。話も難解だ。
それにしても、今回はひどい。
『お前は、その世界に未練が無くなったとき、おまえが異世界と呼ぶ世界に行くことになる。
時間がいくらかかろうと構わない。
お前が異世界と呼ぶところに行くのは、この世界で未練が無くなったときだ』
フラグ管理間違えて、2つのメッセージが、くっ付いて出てきちゃったみたいな……
いや、本当に2つくっ付いて出てきた? 誰かが居るわけじゃ無くて、自動化されてるのか?
いろいろ、詰まってて、打ち切りマンガレベルのやつだった。
急に打ち切りが決まると、話を大幅に変えなければならなくなるので、急に話が変わる。
いきなりすごい設定が暴露されて、なんだよ、その設定!今言うか?とか思うと、次の次くらいで終わったりする。
俺は、打ち切りマンガの世界の住人なのかもしれない。
でも、急ぐ必要は無い。良かった。
とりあえず、小泉さん(洋子)に話しておく。
「話の続き、してもいいかな?」
「え? おしりの?」
尻? 尾骨? その話かよ!!
痔だと思われてたら嫌だなと思うとともに思う。それはあんまり大事な話じゃない。
「ああ、これ、尾骨痛。そのうち治るから。
それより、さっきの一緒に居てくれるって」
一緒の意味を確認すると、洋子は言う。
「いいよ。一緒に居れば、どこにも行かないんでしょ」
良かった。酒癖の悪い、小泉さんには、飲み友達が居ないから。
※栫井の、勘違いです
でも、一緒って、どういう一緒なのだろう?
「ありがとう。ところで、一緒って、どう言う……」
「いきなり結婚、なんて言わないから安心して」
ぐはっ(エア吐血)
まさか、結婚と言う言葉が出るとは!!!!
「何やってるの。大丈夫よ。少しずつ距離を縮めれば。
……まだ、お尻痛いの?」
「いや、尻は平気だから。そうじゃなくて、ちょっと驚いただけだから」
尻を触ってみたが、尻尾は無さそうだ。
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「じゃあ、約束。一緒に居てあげるから、私に命預けて」
どこにも行かないか……俺は、正直、死んでも良いと思ってた。でも、自分から死ぬ勇気も無かった。
死ぬ気だったわけじゃない。
でも必要としてくれる人が居るなら、俺は小泉さんに命を預けても良いと思う。
俺は、足長おじさんじゃ無いことがバレた時、捨てられるのが嫌だったのだ。
「俺が足長おじさんじゃ無くても?」
「ええ」
「そうか。じゃあ預けようかな」
俺は、未練が無くなったっら居なくなってしまう。
でも良かった。俺を待っててくれる人は居たんだ。
俺は、誰からも、必要とされていない、と思ってた。
何故かこの時、俺の心を縛るものから解放された気がした。
肩が軽くなった。
背筋を伸ばす。
バキバキと音が鳴った。
何年振りかに、背筋を伸ばしたみたいな感覚だった。
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今、何かが起きた。洋子にもわかった。
栫井が、背筋を伸ばしたら、とんでもない巨人になった。
「え? ジン君?」
「ああ、肩が凝って」
目の前にいる人物は、高校の同級生だったあの栫井と同一人物なのだろうか?
少なくとも中身は同じだと思うが、こんなに大きかっただろうか?
元は平均より少し高め位だが、今は軽く2mを超え、2.5m?
そして、また背筋を丸めると、元に戻った。
今のは? 気のせい?
なにかフラグに関係のある事、栫井が去ってしまったらどうしよう。
急に心配になる。
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何だろう、急に視界が広くなった気がする。呪いが解けた?
何か自由になった気がする。首が軽い。
いったい、俺は、何に縛られていたのだろう?
俺は今なら、異世界に行ける気がする。
異世界に行く資格が戻った?
どういう条件だったのかわからないが、俺はこの世界に縛られていた?
未練ができたのに、異世界に行けそうな気が。
でも、行きたくない。俺は小泉さんと過ごしたいのだ。
ダルガンイストに行く日は、ずっと遠くなった。
「俺は、どこにも行かないから」
「うん。やくそく」
洋子はそう言うと、グラスを前に。
栫井も、グラスを合わせる。
洋子は、一気に飲み干す。
「ああ。俺、独りは辛くなった。
一緒に居てくれる人が居るなら、俺はどこにも行きたくない」
「一緒って?」
俺は、夜寝るとき、一緒に寝てくれる人が欲しいのだ。
性的な意味ではなく、俺は、”寝る時も一緒に居られる女が欲しい”。
でも、そんな言葉、口から出ない。
「夜、独りだと……」
ぐふ(エア吐血)
「なんでよ!もう!」
良いとこまで来てたのに、何か言いかけたのに、なんでそうなるの!!!!
「ちょっと、トイレ行ってくるから!」
洋子は、プリプリ怒りながらトイレに行った。
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残された栫井は、急に心配になる。
そうなると、足長おじさんは何だったんだ?
俺は、俺は命を預けたら自由になった。
捕らえられたら自由になった。
どういうことだ?
俺はたぶん、今は異世界に行くことができる。
そう感じた。
未練を無くしたときという情報の方が嘘なのだろうか?
足長おじさんは、考えれば考えるほどわからない。
悩んでいると、洋子が戻ってきた。
「何悩んでるの? 白状したら、気が楽になるよ~?」
アクージョ様が何か言っている。
そのとき、何かが来るのがわかった。
頭がチリチリする。あれ? もしかして、転移ってやつか?
あれ?俺は、この世界に未練ありまくりだぞ
俺は、行きたくない。
タカアシガニまだ食ってない……いや、タカアシガニはどうでも良い。
でも、ここで失踪すれば、目撃者多数で小泉さんは疑われずに済むかな?
いや、俺は小泉さんと一緒に居たい。
咄嗟に、小泉さん(洋子)の手を取る。
「なに?」
そのとき、バチーーーンと来た。けど、頭で止まる。
時間が止まった?
いや、俺の頭の中が加速している。
『貯金の使い道は思い出したか?』
貯金……斬新だな。
なんか、お告げ的な感じなのに、貯金の使い道の話だった。




