17-6.対中華まん戦訓練(2)紳士でも非常事態中は歯を磨かないこともある
だんだんと、終活の時期が近付いてきます……
※基本土日祝日更新です。
スペランカーレベルに心の弱いおっさんの、とっても残念なお話です。おっさんが興奮しても凹んでもすぐに倒れてしまうお話なのです。生温かく見守っていただけると助かります。
題名が加齢臭で宣伝は終活で中身はパンツの話。こんなのどうやって収拾つけるんだよ!と思う方も多いかと思います。それは至って正常な判断かと思います。
面白いかつまらないかは読者様が判断することですので判断できませんが、一応、加齢臭も終活もパンツも繋がった話を最後まで投稿する予定です。お付き合いいただけるととても嬉しいです。
訓練するにも周囲の安全確保が必要だ。
竜の尻尾を振り回すのだ。
そのために、立ち入り禁止の範囲を設けなければならない。
「だいたいこのくらいかな?」 とりあえず、俺の思う安全距離まで来る。
ラハイテスが安全な距離がわからないと聞きに来たのだ。
実は俺もよくわからない。
「こないだ実際にどこまで退いたんだ?」 ラハイテスに尋ねる。
「我々は、この木より向こう側です」 ラハイテスが答える。
「じゃあ、進入禁止の杭は、向こうの木のラインにしよう」
俺的に250mって距離だ。人間からするとけっこうな距離だが、俺の竜の尻尾は数十mある。
そんなものを振り回して、石でも飛ばしたら、どこまで届くのか想像もつかない。
なので、見物席は、もっとずっと離したい。
「見物席は、もっと離れたところが良い。できれば高台。良い場所はあるか?」
「あまり適してるとも言えませんが、あの多少高くなっている辺りなら」
「距離は十分だな。じゃあ、あそこを見物席にしてくれ」
そうは言ったものの、問題はちゃんとあそこから見ていてくれるかだ。
もっと近くから見たがるように思った。
「あんな遠くに客席作って、見物人は集まるんだろうか?」 疑問をそのまま口にする。
「それなら問題ない。商人が店を出す」 スワーレンが言う。
「店出したくらいで集まるのか? 明日だぞ」
俺のイメージでは、この世界で明日用意できるような店は魅力に欠けるものだった。
「人が集まるような店を出せば良い。
時間があれば、もっと良いものを揃えられるが、明日までとなると、手身近にあるものを出すしかない」
一応考慮済みってことだろうか。
店の方の手配はブロソススワーレンがしてくれたようだ。
「ラハイテス、ありがとう。俺が雇ってるわけでも無いのに」
「そのような言葉。我々はあなたに投降したのです。それに、近くで見れると言う役得がある」
まあ、確かに見物に来たのはその通りなのだが……
「ブロソススワーレンも、俺がラハイテスを動かせば仕事が増える」
そう。俺がラハイテスを動かせば、警備のブロソススワーレンの隊の負担が増えてしまう。
だが、ブロソススワーレンはこう答える。
「いえ、あなたには恩を返せていない」
まあ、確かに、尻尾ビーンで俺は大変な目に遭ったが、あれも必要なイベントだったと思うので、特に恩を感じてもらう必要も無いのだが。
時間を考えると、夜遅くまでの作業になるだろう。
ダルガンイストやランデルを含むタンガレアでは竜は悪と聞いていたが、竜を見たがる人が多いのが気になる。
俺が動くと何か人の世が変わって行ってしまうのではないかと言う恐怖を感じるのだ。
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ストーンサークルは、危険領域になってしまったので引き払って、今日は上の町で宿を取った。
元々、俺は定期的にダルガンイストに来なければならないので、俺用の宿があるのだ。
一般人が入るような風呂の無い世界なので、風呂は無いが、ここでは湯がいっぱい使えるのだ。
要塞の長い階段を登り、上に辿り着く。
ここからは、たいした距離ではない。
「やっと帰って来た」 アイスだ。
「荷物重かっただろ」 そう言うと、
「リーディアの兵が運んでくれた」とアイスが答えた。
「私は結構自分で運んだよ」 ルルが言う。
「アイスもそのくらいは運んでたでしょ」 テーラが突っ込みを入れる
大半は、兵に運んでもらったと言うことだろう。
俺達軍人じゃ無いし、招かれた偉い人でもないんだから、自分で運べよと思った。
リーディアも、こういう私的なことに兵を軽く使うなよ……と思ったが、リーディアが見当たらない。
「リーディアはどこ行ったんだ?」
「(リーディアは)自分の屋敷に泊まるって」 エスティアが答える。
「大丈夫なのか?」
「リナが付き添い」 聞かれるのをあらかじめ知っていたかのようにエスティアが答える。
リーディアは、俺と離れると心配になって体調を崩すと言う。
無理しなくても良いのだが。
「弟がどうとか言ってたけど」 ルルが言う。
「リーディアの弟?」
「リーディアには弟が居るの。兄弟バラバラに引き取られたから」 テーラが言う。
「私も気になってたんだけど、弟さんのことは聞いちゃいけないのかなって思って」
ルルがそう言いながら、てへぺろみたいな顔をしたのでイラっとした。
とりあえず、リーディアは俺の準備のために屋敷泊まりになったというばかりでも無いようなので、少し安心した。
それに、リナも同行してくれてる。心配は要らないだろう。
だが、こっちは、とっても心配な感じだ。
なぜか巨大ベッドが運び込まれている。
とりあえずは風呂だ。いや、湯舟は無くて、体洗うだけだが。
「体洗ってくる。覗くなよ」 俺は主にルルに向かって言う。
「見られても減らないでしょ」 とルルが言った。
俺は思うのだ。男が人数的に少なくて珍しいとしても、俺はいつも女達と一緒に暮らしてるわけで、もう珍しくもなんともないと思うのだ。
つまり、
”おっさんの裸、何度も見て嬉しいか?” 俺はそう思うのだ。
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風呂は別に覗かれたりは、していなかったようだ。
女たちは先に食事終わっていたので、俺だけ食う。
「これ食うか? みつけたから取っといたんだ」 アイスが言う。
みかんのでかいやつ、タンガレアでバガバガとか呼ばれてたやつだ。
アイスが剥いてくれる……が、顔の高さに持ってくる。
丸ごと一口で食えってことか?
アイスを見ると、凄く嬉しそうな顔をしている。
「こないだ食ってただろ」
タンガレアで、フルーツ地獄に遭ったときのことだ。
あれは、丸ごと食った方が汁が零れないからだ。
バガバガなんか、小さくバラしても汁が零れないんだから一口で食う必要無いだろ!!
と思いつつも食う。
「おお!豪快だな」 何故かアイスが喜ぶ。
やばい。女達が見ている。
フルーツ持って列を作ったらどうするか?
先手必勝と、いきなり行動する。
「いや!デザートまで食った。寝るか!即寝るか!」
聡明な俺は、即寝る戦法でその場を切り抜ける。
女達が何か言う前に、背面跳びチックにベッドに横になる。
「とりゃ!」 ”ぼふ”
尻尾袋は装着済みなので問題ない。
「もう寝るの?」
「ひざまくらは?」
「トルテラ、歯磨いてないぞ。紳士は歯を磨くって言ってなかったか?」
確かに俺は紳士だ。だが、今は緊急事態なのだ。
女達が寝室にやってくる。
俺は無事、フルーツ地獄を回避することに成功したようだ。
いつも通り、何故か1つのベッドに女が殺到する。
「ねぇ、今日は私が隣じゃない?」「でも、リーディア居ないし」
いつも通り、寝場所で揉める。
いや、巨大ベッド1個になったから仕方ないのかもしれないけど、隣の部屋が丸々空いてるのだ。
「ねえ、そんな端に寝たら隣が狭いでしょ。そっち持って」 エスティアの号令の下、無理やり移動される。
「相変わらず重いわね」
そして、俺がどこに寝ようが、勝手に運ばれたりして、だいたい団子の真ん中になる。
俺は餡子になった気がするのだ。
いつも通り、何故か服を着たまま添い寝する。
困るのは、けっこう密着してくるのだ。
そこまでは、いつも通りなのだが、それにプラスして、ちょっと困ることがあった。
だんだんこいつら、良いお年頃に育ってきたのか、なんだか色気が出てきたような気がするのだ。
俺はあくまでも、コイツらを娘として愛でているのであって、色気が出てくるとまずい。
ますます、やっぱり一緒に寝るのはよろしくない気がするのだ。
「なあ」
俺が声をかけると瞬間に返される。
「つ・ま」エスティアだ。
阿吽の呼吸ってやつだ。俺も阿吽の呼吸で返す。
「違うんだよ。俺にとっては娘なんだって」
「つ・ま。一緒に寝るのは妻」
「だから、別々に寝た方が良いと思うんだが……」
「つ、ま」
「妻だよ」
「私あなたの妻なの! えへ?」 ルルが言う。
えへ? じゃねー! 相変わらずイラっとする……が、ルルは元々見た目的に、ちょっと俺の好みで……
「もしかして、すぐ寝たの、寝るの楽しみにしてた?」 エスティアが言う。
「トルテラは、私と寝るのを楽しみにしてたんだよ」 テーラがサクっとテキトーなことを言う。
「私と寝るのを楽しみにしてたんだよね」 ルルだ。
「トルテラ変なんだよ。最近”加齢臭”出やすいんだよ」 アイスが言う。
「ぐはっ」 俺は心に甚大なダメージを受けた。
”加齢臭”俺はその言葉を聞くとダメージが、違う意味で使われているのは知っている。
だが、何度聞いてもダメなのだ。その言葉の響きだけで、俺の心は大ダメージを受けるのだ。
ぐふっ。俺は明日の尻尾訓練が大失敗に終わるような、深い不安に襲われる。
「アイス、”加齢臭”って言うと、トルテラは傷つくの!」 エスティアがアイスに言う。
俺は全力で叫んだ ”やめてー! 俺の心のライフは0よー!” もちろん俺の心の中で。
俺は、なんでコイツらがそんな言葉知ってるのかと疑問を感じつつも、知らぬ間に寝ていた。
夜目が覚める。何か衝撃を受けた気が?
……衝撃の発信源はだいたいわかってるのだが。
広いベッドで窮屈に寝ている。
そんな中、エスティアは、いつも通り、思い切り俺を蹴る。
他の女が邪魔な時でも、俺を蹴るので、ベッドが広くても意味がない。
そして、ルルがベッドから落ちた。
俺は見ていた。テーラが割り込んできて、ルルが端に追いやられて落ちたのだ
そして、ルルも適当なところに割り込むと、エスティアの蹴りが、俺にヒットする。
なんだか、いつも通りの平和な日々が戻ってきた。
そんな気がして安心した。




