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祝福の儀

胡散臭い教会と神社の前には4〜50組ほどの子連れ夫婦が賑わっている。

先頭付近には神父と神主らしき人が現れて『祝福の儀』の説明をし始めた。


小難しい上に回りくどい話を聞かされる苦行に耐える。

話が終わり神主が整列をさせ始め、神父が儀式を行うようである。

並んでる間に話をまとめると大体こうなる。


この世界にはソルマート王国、初代国王が神より賜ったとされる『祝福の宝珠』という生後1年以内の生物が持っている今ある潜在能力を引き出しステータスカードを作成してくれるアイテムが存在し、その宝珠を使うことを祝福の儀と呼んでいる。

儀式によって力を開花させることで、有るのか無いのかわからない魔力を引き出す修行や、どの属性が使えるか調べる修行などをする必要がなくなる。

祝福の宝珠は年に2度ソルマート王国より各村や町の宗教施設に貸し出され、家族構成を決められた書類に記載し提出すれば無償で祝福の儀を受けることができる。


ステータスの項目は名前、魔力量、魔力属性とその練度がF〜Sのランク分けをされていて、他に保有スキルが記載されている。

魔力は火・風・水・土・雷・聖・闇の7属性が存在する。

持っている属性の数によってシングル、ダブル、トリプル、クアドラ、と呼ばれ、現在4属性もちのクアドラが最多とされている。確率は魔力なし60%、シングル25%、ダブル13%、トリプル2%と言われていれ数年に一人クアドラが生まれることがあるという。


2時間にわたる苦行でわかったことはこんなところだ。


余談だがこの宗教はもともとは別の宗教だったのが融合してしまったらしい。

『魔力』を神聖視していたのが教会、『気』を神聖視していたのが神社で祝福の宝珠によるステータスに『気』が記されてないことで教会こそが神の代弁者だと幅を利かせ始めたのだが、王族が『気』の信奉者であるために争いが始まった。『気』の信奉者の元に授かったのがことをややこしくしたのだ。そんな時スキルで『気』の察知・操作に長けたものが現れ始めたことで争いも次第に終息し始め、ステータスは神よりもたらされた神聖なものだと一つの宗教となったのだとか。

一つになってからソル教と名乗っているのだが別々であった時の名前ははぐらかされてわからない。

建物が別な時点で派閥があるのは丸わかりなのがなんとも言い難い。


其れはともかく、効率よく才能を伸ばすことができるのはいいが、体に負担はないのだろうか??

乳児期に魔法が使える状態って危なくないのか??

ソルマート王国は今いる町が所属している国のことだろう。

『祝福の儀』を利用した国勢調査?をしているということは国自体は安定しているのかもしれない。


そういえば宗教の話で『気』という概念がこの世界にもあるようなので、前世が鍼灸師の俺にはかなり嬉しい。

さて儀式の番が回ってきたぞ!!

玉虫色のボーリング玉のようなものを持った神父が詠唱を始める。


「この地に芽吹く清らかな魂よ、その命の泉より湧き出でる恵みを糧に咲き誇れ!!」


お腹の底から熱い何かが沸き起こる感覚わ感じる。

ボーリング玉から何かが飛び出し目の前に浮かぶ。

カッと虹色に輝くと四角い金属板が現れる。


母さんの腕に抱かれながら板をまじまじと見上げるとそこに文字が書かれている。

これが俺のステータスカードか。


================

名前 サワダ ムツキ


魔力    F

魔力属性  雷 F

スキル   鍼灸術(固有)

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