成長3
『気』を氣に変更しました。
本日二話目の投稿
とうとう見られてしまった。
沈黙する空気が重い。
あぁ、またがっかりされる。失望される。
恐怖に冷たい汗が額を伝う。
5分か10分か長い沈黙の後、父さんが口を開く。
「基礎だけでもできることがある。練金も調薬も難しい魔法を使うものだけではない。基礎魔法だけでできるものもある。」
普段無口の父さんが今日はよくしゃべる。
慰めてくれているのだろう。
「そ…そうね、儀式の日のことを思えば……それに自然治癒上昇に施術効果上昇っていうと多分治療の道に進めそうなスキルだものね。鍼・灸っていうのがよくわからないけど…縫い物に使う針とは違うのかしら??うん!これから調べていけばいいのよ!!!」
必死に言いつくろう母さん。
あぁ鍼灸に関しては知ってるから調べなくてもいいんだけど、ここは母に合わせておこう。
「うん。俺頑張る!!基礎魔術でもできることいっぱい教えて!!」
力強く抱きしめられる。
うげっ、く、くるしい、、
「3歳になったら少しずつ一緒に勉強しようね。」
瞳を潤ませながら母さんが頭を撫でてくれる。
3歳になるまで待つのか。
ま、まぁ仕方ないこの歳での魔法は危ないのだろう。
「今からできることってないの?」
聞いてみるが
「まずは言葉を覚えましょう。ひらがな、カタカナ、漢字をきちんと書けるようにね。」
とか言われる。いや知ってるし!書けるし!!
書けるからと羽ペンを手に持とうとするがうまく持てずに落としてしまう。
「あはは、まだ早いかな?」
ぐぬぬぬ。
これあれだ、体がある程度成長しないとろくに字も書けない。
力加減も難しい。
氣を扱うよりもこっちが難しいなんて今まで意識してなかったわ。
よし!これからは体の感覚を慣らさないと!!
翌日からは一旦『氣』や『魔力』のことは置いといて子供らしく遊ぶことにした。
「よ〜し、思っきり遊ぶぞー!!まずは友達を〜お〜‥‥‥あれ?」
よく考えるといつも家に引きこもって友達の一人すらいない。
所謂ぼっちだ。
自覚すると無性に寂しくなる。
友達欲しい、アホなガキでもいいから友達欲しい。
でもスキル上げのために外に出たくないと駄々をこねまくったのは自分自身。
今更遊びに連れてってと言ってもいいのだろうか??
よし!ここは3歳になるまで我慢しよう。そうしよう。
さて何するぅぅ????
スキル上げるぅぅぅ!!
はいそこ、ただスキル上げたかっただけじゃねぇかとか言わない!!
基礎魔法しか使えねぇんだから今のうちにあげとくんだよ!!
基礎だけでも錬金術も調薬もできるってんだから!!
早いとこ両方できるようになると鍼も灸も確保できる可能性が上がるんだよ!!
あとは書斎で本を読もう!薬草にヨモギっぽいのがあるか探さねば!!




