いちわめ
よくありがちな、おはなし。
親は、少し、嫌いだ。
きっとあの人たちはお金で何でも買えると思ってる。
お金が大好きで、お金を生むものはもっと好きだ。
でも、家柄で人を見るような人はもっと嫌い。
家柄で人を見下す人はもっと嫌い。
そういう人は皆賢くない。
賢いひとはつねに謙虚でいるの。人を家柄でみたりしないの。
そういう人は、大好き。
レシートはいりませんって言われたから渡さずにおいた。
お釣りを渡す指先が少し手のひらに触れる。
いつものことだ、単純作業。
常連の客が周りに他の客がいないからか、ぺらぺらと話しかけてきた。
薄い唇に引かれたピンク色のリップクリームがてらてらと店内の蛍光灯をあびている。
あの黄色い髪の毛はきっと染めている。私と同じ色だけど、私よりも良く似合っている。
きっと私には黒髪のほうが似合う、と思う。
お父さんに似たかったな。
「私、塾のセンセーやってるんです」
「へえ、頭がいいってのは羨ましいですねえ」
「そんなことないですよぅ。」
ゆるい塾なのかな、彼女の格好は確かにスーツだったけどどこか軽く見えた。
彼女の視線は、胸元にぶら下がってるわたしの名札に。
話題は変わって私の名前になった。
「織姫って苗字なんですか、珍しいですね」
珍しいでしょ、私コレ気に入ってないの。
そうは言えずに
「そうなんです、よく言われるんですよね。」
気の利いた返事は出来なかった。
ばちっと店を出た所にある街灯が点滅する。
夜道は暗いから、切れると困る。
はやくエルイーディーにしてください。
ついでに店内も。
こんな薄暗いとおりにある店が潰れずにいるのは、周りにライバル店がまったくないから。
お昼になると大人がぞろぞろとレジ前に列をなす。
きっと、夕方のスーパーのレジより沢山並んでいる。
この人は昼間来た事ないからきっと分からない。
まあわざわざいう話でもない。
「織姫さんはいつもいますよね。」
「ほとんど平日は毎日朝から晩まではいってますよ。このお店24時間営業じゃないので」
「えっ、他のバイトの人は?」
「基本、店長とあと五人、昼間の時間帯に」
「お疲れ様ですね」
そんなことないですよ、案外楽しいです。
これは本心。
それから二、三言交えてさよならした。
いつもの一日が、終わる。
電気の消えているコンビ二っていうのも結構珍しいものなのです。




