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最終話 バレーは心

笛が鳴る。


ポジションに付く。


今回の試合は、いつもとローテーションが違っていた。


私はチームの中で一番ジャンプ力があった。


だから前衛にいる時間を長くして、とにかく相手のスパイクを止める。


そして、こっちの流れに持っていく。


それが今回の先生の作戦だった。


私もジャンプ力には自信があった。


期待してくれているなら応えたかった。


それでチームを盛り上げたかった。


そして相手チームにもプレッシャーを与えたかった。


先生の作戦通り、私は次々にスパイクを止めていく。


よしっ。


そんな気持ちだった。


肩の痛みは、結局引退まで治らなかった。


それでも私はここまでやってこられた。


スパイクも思いっきり打つ。


サーブも決める。


サーブが入らなかった時の、あの絶望が嘘みたいだった。


私、ちゃんと前に進んで来れたんだ。


そう思った。


みんなで、この一つのボールを追いかけるのが楽しかった。


絶対落とさない。


繋ぐ。


繋ぐ。


小六で始めたバレーに、こんなに夢中になるなんて、あの頃の私は思ってもいなかっただろうな。


もう、自分の足元に転がるボールは見たくない。


みんなの思いで繋いでくれたこのボール。


今度は私が決める。


そんな気持ちだった。


一試合目、二試合目。


時間はあっという間に過ぎていく。


だけど、この先へ進む壁はいつも高かった。


またこの先の景色が見たかった。


だけど、またそこで笛は鳴る。


私達の青春は、ここで終わりを迎えた。


短かった。


最後にコートへ整列する。


何度ここに立たせてもらっただろう。


私はいつもレギュラーとしてコートに立たせてもらえた。


なんて幸せ者だったんだろう。


涙が出た。


最後のミーティングが始まる。


本当に、本当にこれが最後だ。


すると後輩が、泣きながらこんな事を言ってくれた。


「あの時のSNSの事、本当にごめんなさい。私にも後輩ができて、先輩達の大変さにようやく気づく事ができました。本当にごめんなさい」


そう言ってくれた。


私達の思いは、ちゃんと届いていた。


ずっと気にしていたんだろうか。


SNSを書いた本人も、苦しい思いを抱えながらここまで部活を続けていたのかもしれない。


だけど、続けてくれた。


それだけで嬉しかった。


本当に。


ここでようやく、心のわだかまりが消えた気がした。


そしてその後、先生からも三年生一人一人に言葉を掛けてくれた。


先生は私に、こう言った。


「ゆきを見ていると、バレーは心だって事がわかった。みんなにそれを教えてくれてありがとう」


その言葉を聞いた瞬間、心が救われた気がした。


私は、がむしゃらに頑張ってきて良かったんだ。


私の三年間は、本当に幸せだった。


辛い事も、悩んだ事も本当に多かった。


だけど、その全部が今に繋がっている。


そして、きっとこれからにも繋がっていく。


努力する事が、こんなにも苦しいなんて知らなかった。


だけど私は、この日知った。


努力は、ちゃんと最後に自分を救ってくれるんだと。


明日からは、また普通の日常に戻っていく。


楽しかった。


幸せだった。


ありがとう。


ばいばい。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。


このお話を書きながら、当時の景色や空気をたくさん思い出しました。


楽しかった事だけじゃなく、苦しかった事や悩んだ事も本当に多かった三年間でした。


肩を壊した事。

ポジションに悩んだ事。

後輩との関係で苦しくなった事。


何度も「もうダメかもしれない」と思いました。


だけど、それでも私はバレーが大好きでした。


だから何度でも前を向けたんだと思います。


そして最後に先生から貰った、


「バレーは心」


という言葉。


あの言葉は今でもずっと私の中に残っています。


努力する事は苦しい。


だけど、努力した時間は絶対に無駄にならない。


私はこの三年間でそれを知りました。


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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