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14.秘密! ガールズ(?)トーク

 なに、なんでそんな話になるわけ?


「だって、女の子って恋をしたら変わるじゃない? 綾ちゃんもそうなのかなぁって思って」

「……そんなことあるわけないでしょ」


 恋愛なんかしている余裕あるわけない。この数日間の私の苦労、見せてあげたいわよ。


「ねぇ、綾ちゃんの好みのタイプってどんなの?」

「えっ、何? いきなり」

「いいじゃないの。教えてよ」

「えー……」


 B・Bは興味津々って顔でこちらを見ている。

 まいったなぁ。これは答えるまで、解放してくれなさそうだ。

 仕方がない。ため息をつきながら、私は答える。


「……まぁ、いいけど。私の好みのタイプは、落ち着いた大人の男性ね。頼りがいがあって、カッコイイの。もちろん周りとのトラブルも起こさない。紳士的な人がいいわ」


 ところ構わず喧嘩するヤツは最低ね。あと女にだらしないヤツは論外だわ。


「へぇー、なるほど。落ち着いた大人の男ね。しかも紳士……」


 B・Bは私の言葉を聞いて、面白そうに笑った。ん、何か変だった?


「何、その反応。なら、B・Bはどんな人がタイプなの?」

「私? そうねぇ……」


 B・Bは少し考えた後、まるでいたずらを思いついた子供のような顔をした。


「私は、ジョーカーの中で言えば、ドラゴンちゃんかしら」

「へっ? ドラゴンフライヤー?」

「そうよ。可愛らしい顔しているし、あの危なっかしいところがなんとも保護欲をかきたてるわ。私、年下の守ってあげたくなる子が好きなの」

「か、可愛い? アイツが……?」


 断言するけど、ドラゴンフライヤーは決して可愛いタイプではない。傲岸不遜なヤツで、いつもふてぶてしい顔をしている。


 そもそも暴走族の総長をしていたヤツが可愛いわけがない。まるでアイツのことを愛らしい美少年のようにいわないでほしい。


「やんちゃで可愛いじゃない。あら、そういえば、さっき綾ちゃんが言った好みと正反対ね」


 “偶然ね”とか言いながら、B・Bはニコニコと笑う。


「……そうね」


 なんだろう、この会話。なんだか……。だめだ、話題を変えよう。


「ねぇ、B・Bは普段何してるの?」

「あら、綾ちゃん。私に興味があるの?」


 からかうような口調だ。さっきから絶対、面白がっているでしょ。


「まぁ、少し。聞いちゃいけなかった?」


 その手には乗らないもんね。素っ気ない口調で私は返す。


「そんなことないわ、大歓迎よ。普段やってることっていったら、トレーニングかしら。私、覆面プロレスラーなのよ。ホワイトデビルっていう名前なんだけど、知ってる?」

「うーん、ごめん。プロレスはよく知らないの」


 これは、半分本当で、半分嘘。プロレスについてはよく知らないけど、私はB・Bのことについてはある程度知っている。


 私はジョーカーの怪人に対しても情報収集を行っている。周囲を把握していないって状態が落ち着かなくて嫌なの。


「まぁ、そうよね。気にしないで。これでもプロレス界ではちょっと有名なのよ。テレビにも出ているわ。よかったら見てちょうだい。なんなら、今度試合にも招待するわ」


 実際、B・Bはかなり有名なレスラーだ。ヒール(悪役レスラー)だけど、人気も高い。同じプロレスラーからは、“白覆面の魔王”の異名をもって、恐れられている。

 でも、B・Bって、プロレスやってる時は、オネェ口調じゃないのよね。なんでだろ?


「うん、今度見てみる。B・Bがやたら顔が広いのも、プロレスの関係?」

「そうよ。仕事でいろいろな人と関わりがあるの。海外で試合することもあるし」

「そうなんだ」


 ……ふーん?

 私が考え込んでいると、B・Bが真面目な顔をして話しかけてきた。


「そういえば、綾ちゃん聞いた? 最近怪人が倒されたって話」

「えっ、怪人が倒されたってどういうこと?」


 驚いて聞き返す。これはもしかして……。


「言葉どおりの意味よ。任務に当たっていた末端怪人が倒されたらしいの。時間になっても戻ってこないから調べに行ったら、現場に怪人の爆発した跡があったらしいわ」


 怪人は死んだら、腕時計型の装置が自動的に爆発する。機密保持のためだ。


「爆発してたのに、倒されたってわかるの?」

「爆発した跡だけじゃなく、その怪人が運んでいた薬や武器も全てなくなっていたの。末端戦闘員が倒された跡もあって、何者かがやったことは間違いないそうよ」

「……また、JVAの仕業じゃないの?」


 JVAというのはJoker Victims’ Association(ジョーカー被害者の会)という反ジョーカー組織のことだ。


 ジョーカーは陰で行動しているし、目撃者はことごとく消すという方針なので、一般人には存在を知られていない。

 しかし、中にはジョーカーの魔の手から逃げのびるヤツもいる。そういうヤツらが集まって反ジョーカーを掲げる組織を作っているのだ。


 そういったものの中で一番過激で大きな組織がJVA。メンバーが皆、白ずくめの服を着ているため、裏の世界では“白の組織”とも言われている。


 ヤツらはジョーカーと怪人の撲滅をスローガンに掲げ、武装して襲ってくる。

 ヤツらを突き動かしているのはジョーカーへの恨みだ。そのため、自爆覚悟で突っ込んでくることもあるので、はっきり言ってスターレンジャーよりも危険な相手だ。


 いくら怪人といえど、銃で撃たれたら普通にダメージを受けるし、死ぬこともある。

 私だって、いきなり銃で撃たれたら死ぬだろう。街中でも平気で銃を撃ってくるヤツらなのだ、あいつらは。


 もちろんジョーカーもヤツらを野放しにするつもりはなく、見つけ次第叩いてはいるが、残念ながらヤツらの本拠地はまだわかっていない。


 B・Bは私の言葉に首を振る。


「それがそうではないみたいなのよ。JVAの場合は、現場に自分たちの仕業というメッセージを必ず残すでしょ。でも今回の場合は、そんなものはなかったの。しかも、銃などの武器を使った跡もなかったそうよ。なら一体どうやって怪人を倒したのか。そのあたりもまだわかってないみたいなの」

「でも末端とはいえ怪人が倒されるなんて……」


 口ではそういいつつ、私には犯人の目星がついていた。十中八九、スターレンジャーの仕業だろう。ついに、ジョーカー退治に乗り出したってことか。


「そうね。普通では考えられない事態よね。今、カマキリちゃんが必死で犯人を探っているわ。上からも色々言われているみたいだし、まーたカマキリちゃんの眉間の皺が深くなるわね……」


 そう言われて、私はカマキリソルジャーの顔を思い浮かべる。いつも眉間に皺を寄せて深刻そうに思い悩んでる顔を。


 カマキリソルジャーは、私たちと同じジョーカーの大幹部の1人だ。カマキリの改造人間で、私たち怪人のリーダーをしている。


 上からは無理難題を言われるわ、協調性のない私たちをとりまとめなきゃいけないわで、苦労ばかりしているかわいそうな人だ。不幸な星の下に生まれたっていうのは、彼のような人のことをいうのね。


「私たちも、任務をするときは気をつけなくちゃね。綾ちゃん」

「そうね……」


 気をつけるね……。犯人は、私の通う高校で居眠りしているわよ。

 しかし、ついにスターレンジャーと戦うことになるのか。私たち高校生だし、まだまだ先のことだと思ってた。


 いいようのない不安が胸に広がる。その後食べたパフェの味はほとんどしなかった。


◆◇◆◇◆


 日本に帰国した私は、早速家でごろごろする。

 

 ふー。観光は楽しかったけど、やっぱり家が一番ね。こうしていると落ち着くわ。

 任務って、とっても疲れるのよね。こっちの都合はお構いなしだし。

 本当は私だって、皆みたいに遊びたいのに……。


 そんなことを考えつつ、スマホを手に取る。

 あれ? 遠崎さんからRINEがきている。なんだろ?


“やっほー! 今度の日曜、空いてる? 街研の女子メンバーで、ワッフル食べに行かない?”


 こ、これは、遊びのお誘いでは……! 

 いいえ、あせってはダメよ、綾。とにかく、返事を……。


 私は素早くスマホを打つ。


“ぜひ、参加させて!”

次回は木曜日に更新。


 女友達(仮)とのお出かけにウキウキの綾。

 そんな中、彼女は一人の少年に出会う。


 次回、『運命? 彼が噂のスターブルー①』

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