表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星に、願いを。  作者: 桜花陽介
2/32

2

教室について、クラスと席を確認した。俺と柊は同じクラスだ。柊は一番左後ろの席だったみたいだ。俺の席を見た。


席の横には、机の上に足を乗せている、態度の悪い金髪の女子がいた。あの、パンツ見えてますよって思ったけど、言ったら気持ち悪いよね。うん、やめよう。肩より下まで伸びている金髪だが、黒髪が少し混ざっている。イヤホンを耳に差している。指でとんとんとリズムを取っていた。音漏れも酷く、洋楽が聞こえてきた。


俺が席に座ると、じろりとこちらを見てきた。つり目で、でも整った顔立ちだ。モデルと言われても信じられるぐらいだけど、目付きが怖すぎる。攻撃的で刺激的な美しさが、その態度で余計増幅されている。その鋭い目付きで、まだ俺を見ている。一体どういうことだろう。


「あの、なにか用ですか?」、俺はおそるおそる聞き返した。


「なにも」、そうやって言って、彼女は目をそらした。


不良として、結城恋織は有名だった。元スケバンだとか、隠れて煙草を吸っているとか、ノーヘルでバイクを乗り回しているとか、チェーンで人を殴っていたとか、いろんな噂が広まっている。実際に本当か本当じゃないかは別として。どちらにせよ態度も悪いし、女子も男子も少し引いて接している。


そのうちに、朝のホームルームが始まった。


このクラスを担任しているのは女教師だったが、このクラスには当たりたくないだろうなと、先生に同情した。


担任の先生は楠という名前で、赤い眼鏡にふんわりとした茶髪、ふんわりとした雰囲気、全てが柔らかそうな雰囲気の可愛い新任の女教師だった。英語の担当だ。しゃべり方もなんだか気が抜けるような感じだ。


クラスの中心人物みたいなのは、イケメンでサッカー部の人気者の花田、いつも憂鬱そうな顔をしていて、女子のオタク組を率いる物静かな山村、性格が悪いと陰で言われてる女子達が集まった林のグループ、あとは男子のオタク組のリーダーで酷く攻撃的な川中ぐらいか。カナンは花田や山村のグループによくいるみたいだ。


隣の席の結城はイヤホンを全く外していないし、ペンをずっと回している。


「あの、結城さん。ホームルーム中なので、イヤホンを外してください・・・・・・」


「あたしに言ってるの?」、結城が低い声でうなるように言った。


「なんでもないです」、楠先生が震え声で答えた。


「なんでもないなら話しかけないで欲しいんだけど」


結城は虫の居所が悪いのか、両方の眉をきつくさげている。こっわ。先生びびっちゃってるよ。先生は結城を無視することに決めたのか、イヤホンを外さなかった。


陽に透けている金髪を眺めていると、結城がこっちを見てきた。


「なんか用?」


「な、なんでもないです!」


結城が笑った。


「あんた、それでも男?」


「頼りないけど、男です」


いきなり肩を結城に殴られた。痛みで肩が焼けそうだ。


「いった、なにするんだよ」


「肩パン、知んないの?」、結城が笑った。


そんなヤンキー文化のことは知らない。俺はバイクを乗り回すような人とは接点がない普通の人です。


「もっとしゃきっとしなよ、あんた男なんでしょ」


なんで俺はいきなり説教されているんだ?しかも殴られて。


「返事は?」


「はい!」


「いい返事じゃん」、結城が満面の笑みで、俺にウィンクをしてきた。けっこうかわいいところもあるじゃん。普通に肩痛いけど。結城のじゃんが移った。何か強い視線を感じて振り向くと、カナンがむ~という擬音がつきそうなふくれっ面で俺を睨んでいた。


 ちなみに先生は完全に無視されていて、少し悲しそうな顔をしていた。


そして自己紹介の時間がやってきた。


「柊香南です!カナンって皆呼ぶのじゃ。金色の目は魔族の証!実はわらわは千年の時を生きる妖怪狐娘なのじゃ!」


カナンはピースで決めポーズを取ると、教室を湧かせた。いつか黒歴史になって、恥ずかしがるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。


「あたしは結城恋織、恋に織物の織でレオ」、結城はぶっきらぼうにそれだけ言うと、席に座った。


俺の番は適当に流した。言うことが特に思いつかなかったからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ