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聖女がメイド!  作者: 紅玉ツバキ
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聖女が困惑!


宰相による菓子テロから数日、わりと早めに復活したシエルさん指揮の元、魔王城のメイドによる宰相の締め上げは終わり、私に嫌がらせを二度としないと誓わせて魔王城に平和が戻った。


そう、平和になったはずなんだけどなぁ~。


磨き上げた窓ガラス越しに入口を見ると、そこには部屋の扉をうっすら開けてこちらを覗き込んでいる宰相がいた。


締め上げられた翌日からこの調子だ。

どこを掃除していても大抵こんな感じでじっと見てくる。別に何かして来るでもなく、ただ見てくるだけで何もしない。


なんか、恐い。

新手の嫌がらせ?

前よりずっとダメージあるんだけど・・・



どうしたもんかな~



お昼だってちょっと離れた席に座って、こちらをチラチラ見ながら食べるのだ。

このちょっと離れた所ってのが、精神的に来る距離だったりする。


これなら直接何か言われたりされたりする方が断然いい。



ため息をついて、宰相の方に全力で移動する。窓から扉まで全力で走って距離を詰め、扉をおおっぴらに開けた。

ビビった顔の宰相が目の前にいて、口をパクパクさせている。


まさか気付かれていないとでも思ったのだろうか。

いやいや、素人でも気付くって。



「あの、つけ回すの止めてもらえませんか?」



ちょっと気味が悪いですという言葉はさすがに飲み込む。

逆上されると面倒だし。


そう言うと、表情を硬くした。



「ホント、止めてくださいね。でないとシエルさんに言い付けますよ」



個人的な恨みがあるから(多分、食当たりになったからだろうな)と、個人的に仕置き続行していたメイドの先輩を思い浮かべる。

宰相も同じ事を思い出したのか、若干青ざめているように見える。


とりあえず私は言う事は言ったし、掃除の続きでもするかと窓の方へ向かおうとすると、ガッと腕を掴まれた。



「何かご用で?」

「・・・・・」



宰相はどこか悔しそうにしながら喋りはじめた。



「その、貴女の事を先入観を持って見ていたようです」

「はぁ・・・」



早く腕を離してくれないかな~と思いながら、話を聞く。


こちらとしては、もう前回の仕置きで全てを水に流している。

これ以上なにもないんだけど。って言うか、それ以外に何か?



「しかし、貴女も悪い。就職の為に来たら来たで、何故戦闘になるんですか」

「いや、まあ・・・申し訳ございません」



アレはしょうがないと思うけど。

先に問答無用で攻撃された訳だし。



「それに何をされても無表情で受け流すとか何なんですか。もう少し何かしらの反応くらいみせなさい」

「はぁ、申し訳ございません」

「それですよ!それ!」

「・・・・・」



何が宰相の熱意に着火したのかはわからないが、こちらが口を挟む余裕もないくらいアレがダメだった、コレがダメだったとダメ出しし始めた。



というか、何で説教されてんの?



宰相の言葉が右から左に流れていっている。

もう聞く気が起きない。


聖女なんだからもうちょっとマジメに、って?

知らないよ、そんなの。

聖女として育ってきた訳じゃないし、そもそも好きで聖女になった訳じゃないし。



「聞いているのですか?」

「あ、はい、申し訳ございません」

「聞いていなかったという事ですか?」

「申し訳ございません」

「・・・・・」



とにかく謝っとけ精神で申し訳ございません連発していたら、不服そうな宰相と目があった。



「・・・バカバカしくなってきました」



ため息混じりにそう言われて、もう一度申し訳ございませんと言いそうになった。



「とりあえず、こちらも謝っておきます」



え・・・何を謝ると言うのか。


よくわからない説教を聞かせたこと?

それともここ数日のストーキング紛いなこと?



「聖女が魔王様の命を狙う為にメイドとして潜入してきたとばかり思ってまして。途中からどうやら違うようだとわかったんですが・・・意地になって貴女に固執してしまいました。すみませんね」



ああ、そうか。

この城の門番からして既に“聖女がやって来た=聖女が魔王討伐にやって来た”の図式が出来上がってたもんなぁ。


だから、あんな嫌がらせされてたのか。

今ようやく納得出来ましたよ。うんうん。



「これからは聖女としてではなく、少し特別なメイドとして扱いますので、覚悟しといてくださいね」

「ええ、侵入者や不審者のお掃除も出来ますので、遠慮なくお申しつけくださいませ」



組織で習ったように、メイドとして丁寧に臣下の礼をする。


すると、お辞儀をしている頭の上からクスクスと笑い声が降りかかった。


おや?魔族の中での礼節は人間のそれとは違ったのだろうか?

今まで魔王城の中で過ごして来たのだけど、違和感なく過ごせていたから何の問題もないと思っていたけれど・・・

先輩メイド方に礼儀を学ばなければならないようだ。



顔を上げると、宰相殿の顔が先程よりずっと近くにあった。

その上、私の髪をひと房手に取り、リップ音をさせて髪にキスをした。


ビックリして思わず目を見開いてしまう。



「ふふっ・・・これで少しは溜飲が下がりましたよ」



そう耳元で囁くように言われて、宰相殿は颯爽とこの場を離れて行った。



いや、本当にあの人、何しに来たの?


私の中に疑問だけが残った。








********




自分の中で、ラブコメってどんな物だったかしら?ラブにもコメディーにもなってないんじゃないかしら?その上キャラが迷走中!という負のスパイラルに陥っているので、今後の更新は緩やかになります。

更新時間は朝の8時限定にしますので、チェックなさる方は朝8時に更新がなければ、その日の更新はないものと思ってくださいませ。



最終的に主人公の中の宰相に対するわだかまり的な物が消えて、ホント何しに来たの?嫌がらせ?謝罪?どっち??な疑問が残りました、の回です。

なので、主人公の心の中の呼び名が宰相→宰相殿変化しております。


次回は魔王様のターンにしたいです。


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