表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女がメイド!  作者: 紅玉ツバキ
1/20

聖女に認定!

勢いで書きはじめたものです。

深読みなさらずにサラっと読んでいただけるといいかもしれません。

世界観を練り込んでないので、矛盾が出て来たら申し訳ございません。


思えば子供の頃からついてなかった。いや、産まれた時からかもしれない。


産まれてすぐに親に捨てられるかして、引き取ってくれた孤児院は悪徳だった。孤児院とは名ばかりで、とてもマトモとは思えないその筋の客に引き渡すし、たんまりその客からお金は貰っている筈なのに孤児達の食事も衣服も死なない程度の物しか与えられなかった。

その上、院長や職員の機嫌が悪い時には八つ当たりで意味もなく折檻されるのは日常茶飯事。

孤児院というよりは裏家業専門の養殖場といった方がよいのかもしれない。


分別が多少ついて大人の言う事が、自分の置かれた状況が理解出来るようになる5歳前くらいには、私も今まで孤児院にいた子達と同じように、その筋の客に引き取られた。

見目がとても素晴らしい子は男女問わず、頭のてっぺんから足の爪先まで綺麗に丹念に磨かれ、やがて春を売るよう教育をされた。

そうじゃない子はどんな汚い仕事でも出来るように朝から晩まで仕込まれる。貴族の養子からチンピラまでetc・・・どんな職業にでも紛れ込めるように。結局どんな境遇に陥ってもやることといったら、暗殺、密偵、窃盗のどれかだ。


そうやって私が振り分けられたのは一級の暗殺者にもなれるよう鍛えられる場所だった。

そこから逃げだそうとすれば殺されるのは目に見えていた。自分達より年齢も技術も経験も上の殺人のプロがすぐ側で教えているのだ。


運よく裏家業の教育期間が終わるまでに生き残ると、それぞれの職場に振り分けられ、それぞれの任務を遂行する。

私の場合はどこぞの貴族の屋敷に住み込み働きながら情報を収集する事だった。私は戦闘力が非常に抜きん出ているらしくとても期待されていたから、ここぞと言う時が来るまでは目立たない職場に配置されたのだ。


それなのに、どうした事だろう。

住み込みで働いてる貴族が教会への寄附の品物を届けるというから、その手伝いの為に来た教会で、思わぬ事態は引き起こされた。


下女の中でも下っ端で、屋敷全体を見ても使いっパシリの立ち位置なのに、なぜだかこんな地方の教会にいる筈もないお偉いさんの神官に捕まった。中央の教会で何かやらかして飛ばされて閑職にでも追いやられたのだろうか。

しかしそれにしては目の前の神官は歓喜に打ち震え、感動の余り泣き出しそうだ。そうして震える声で私に向かって宣言した。



「ようやく・・・ようやく見つけた・・・!貴女は聖女様です!魔物を殲滅し魔王を倒して世界を浄化してください!」



私の周囲は半信半疑な表情で私と神官を見比べている。それも法皇っぽい偉そうな服を着た神官を見つづけていると、やがて確信を持って神官の言い分を信じ、今度は驚きの表情で私を眺めはじめた。


宣言された瞬間に終わったな、詰んだなと思った。


だって考えてもみてほしい。

裏の組織に属している身としては、聖女なんてものになったら死の制裁しか待っていないだろう。聖女になれば嫌でも表舞台に立たされ、裏家業なんてやってられない。細々とやれたとしても、万一でも組織との繋がりが発覚すれば組織そのものが危うくなる。

役に立たないならまだしも、足を引っ張るような存在なのだ。聖女とは。


どうしようかなと思いながら目の前の神官をみやった。



「何かの間違いでは?」

「いえ、間違いではありません。中々現れない聖女様を国中からどうにか捜すべく、こうやって私のような聖女様の神気を感じ取れる神官が地方に出向いて様々な人を視ていたのです。こうやって私が聖女様を発見出来たのは、私の生涯の中で一番の幸運と言えるでしょう」

「・・・・・・」



目をキラキラさせながらこちらを見つめて来る神官には悪いが、刺客とか毒殺とかに毎日怯えるのは是非とも避けたい。



「魔物を殲滅したり魔王を倒したりなんて、私にはそんな力ありません。それに世界を浄化せねばならない程、世界が・・・その、汚れているとも思えません」



とりあえず実際はどうであろうと、今はか弱い下女を装っているので、聖女なんて私には到底無理ですよ~、他を当たってくださいね~という気持ちを込めて言う。

大気が淀んでいるとか、魔物があちこちで被害を出しているとかも聞かないし、聖女が浄化とか魔王討伐って大袈裟なんじゃないか、とも思う。



「大丈夫です。聖女様は前線に出て戦わずとも勇者や優秀な騎士達が御身を守ってくださいます。聖女様、今世間では人さらいに殺人、窃盗、売春が当然のように横行しているのです・・・残念ながら世は乱れに乱れております。それもこれも世界の淀みが、魔族によるものだからです」



クッと少し芝居がかったように神官は目頭を押さえて俯いた。


殺人、窃盗、売春・・・て、うちの組織がやってることですよね。

人さらいも手足になるような人材をさらって来てても不思議ではない。都合のよい孤児がその辺に転がっているわけもないので、むしろ息をするように自然に誘拐している可能性すらある。


それ、魔王倒すよりうちの組織潰した方が世のためではないですか?


とは、もちろん言えないので、黙って神官の言葉を聞く。

聖女様として今後やらなければならないこととか、待遇とかをふんふんと熱心に聞くふりをしながら、自分の今後について真剣に考えた。


聖女活動を頑張ったら、組織にやっかまれて暗殺。

聖女にならない為に辺境とか他国に逃げたら、組織の裏切り者として暗殺。

もう聖女とか既に目立ってしまったので、やっぱり暗殺。


組織の暗殺者を差し向けられる運命しか待ってない気がする・・・orz


世の中の為とか聖女の尊い使命とかどうでもよいので、組織に始末されたくない。

というか、本当に私が聖女なのかな?養成所みたいな所を出てからは大した悪事はやってないけど、その時になって尻込みしないよう養成されてる時はそれなりに実地訓練をやってる。

そんな私が聖女?マジでこの世界の神とか大丈夫かと思う。


ああ、でも一つだけ助かりそうな方法があった。


それを思い付いた瞬間、自分を絶賛した。

そしてすぐさま実行に移した。


プレッシャーに思うが善処すると告げ、貴族の主人や神官に断ってトイレに行く──ふりをして逃げ出した。









*******





明日も同じ時間に投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ