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じょしょう:おくびょうもののおわり、そしておくびょうもののおわりのはじまり。

神崎レンは、刑務所から脱獄する瞬間を、馬鹿みたいな回数だけ想像していた。


そのどれもで、彼はもっと格好よかった。


闇に溶けるように音もなく進む。


看守たちは気づくのが遅れる。


サーチライトは紙一重で彼を外す。


夜風が、世間に理解されなかった天才を迎えに来るみたいに、彼の背中を押す。


最後には、振り返って何か気の利いた一言でも吐くのだ。


冷たく。


鋭く。


忘れられないような一言を。


残念ながら、現実というやつはフィクションに敬意を払わない。


濡れた草地を、重い足音が踏み荒らしていた。


神崎レンは森の中を走っていた。目には雨、口には泥、そして体力は、長年にわたって自室を天然の生息地にしてきた男にふさわしい程度しかなかった。


雨は大半の音を飲み込んでいたが、全部ではない。荒い息、泥に滑る靴、押し殺した罵声。それらが嵐の下で混ざり合い、ひどく汚いリズムを作っていた。


一歩ごとに靴が沈む。


濡れた草が足首を叩き、枝が頬を引っ掻く。囚人服は肌に張りつき、冷たく重い。まるで刑務所そのものが森まで追ってきて、襟首を掴んで引き戻そうとしているみたいだった。


左の方で、誰かが滑った。


「くそっ!」と、脱走者の一人が泥に足を取られて悪態をついた。


男は胸から泥に突っ込み、そのまま滑り、慌てて立ち上がり、踏み潰されるのを拒む虫みたいな惨めな根性でまた走り出した。


レンは笑ってやりたかった。本当に笑ってやりたかった。だが笑うには空気が必要で、その空気は今、肺と天候の間で交渉中だった。


「もっと速く走れ!」と、別の脱走者が叫んだ。


「黙って走れ!」と、また別の男が怒鳴った。


「お前らこそ静かにしろ、馬鹿ども!」と、レンが息も絶え絶えに叫び返した。


自分の声が最悪だった。


息切れしている。


かすれている。


必死すぎる。


神崎レンは、それが一番気に入らなかった。


雨が囚人服の奥まで染みるのも嫌だった。


泥が靴を奪おうとしてくるのも嫌だった。


背後から犬の吠える声が聞こえるのも嫌だった。


肺の内側を紙やすりで削られているような感覚も嫌だった。


何よりも、これが想像していたより全然格好よくないのが嫌だった。


一行はさらに森の奥へと走った。枝がレンの顔と腕を叩き、熱い線を残していく。見えるものといえば、暗い木々、雨、そして前を走る男たちの背中だけだった。


少なくとも、レンはそう思っていた。


あと数歩。


あと数回の呼吸。


すると、隣の足音が薄くなった。


最初、レンは気づかなかった。自分の呼吸音が耳の中でうるさすぎたからだ。


足がついに、プライドより大きな悲鳴を上げた。レンは速度を落とし、よろけ、両手を膝についた。


「やっと……おい……俺たち、やっと――」と、レンが呟いた。


振り返る。


誰もいなかった。


「……は?」と、レンが間の抜けた声を漏らした。


雨だけが、背後の空白を落ち続けていた。


つい数秒前まで一緒にいた男たちは消えていた。足音もない。罵声もない。急げと怒鳴る声もない。


ただ木々。


闇。


泥。


レンは空っぽの小道を睨んだ。誰かが木の陰から出てきて笑うのを待った。


誰も出てこなかった。


さっきまで動きで満ちていた森が、突然レンだけを置き去りにしたみたいに、空気がいやに空洞だった。


「……あいつら、俺を見捨てやがったな?」と、レンが言った。


目元がひくつく。


「忠義に厚くて偉大で見事に裏切り者なクソどもが――」と、レンが吐き捨てかけた。


霧の中で、何かが動いた。


レンは止まった。


かなり後方、木々の間に、大きな影が雨の中で立っていた。


遠すぎてはっきり見えない。看守にしては動かなすぎる。仲間にしては背が高すぎる。


レンの喉が締まった。


「違う。あいつらじゃない……」と、レンが呟いた。


心臓の音が大きくなる。


不安?


違う。


ありえない。


神崎レンは不安など感じていない。興奮しているのだ。最高に、危険なくらい、美しく、素晴らしく興奮している。


足は反対意見を述べていた。


手も反対していた。


ついでに胃まで、裏切り者の臓器らしく反対していた。


レンは唾を飲み込み、無理やり笑みを作った。


「ここまで来て止まるかよ。あいつらは腐ってろ。俺は走る。走って走って走り続ける」と、レンが言った。


犬の吠え声がまた聞こえた。


さっきより近い。


それで決まりだった。


レンは身を翻して全力で走った。


足はすぐに燃えるように痛んだ。それでも前へ出した。泥は靴にまとわりつき、地面そのものが捕まえようとしてくる。息は荒く、痛く、恥ずかしいほど乱れていた。吸うたび喉が削れ、吐くたびこれが最後の呼吸みたいだった。


犬の声が大きくなる。


背後で看守が叫んでいたが、嵐が言葉を引き裂いて、意味は届かなかった。


レンは前だけを見た。


木々の先に開けた場所がある。


青白い隙間。


自由かもしれない。


道路かもしれない。


あとで倒れ込み、最初から全部計算通りだったと自分に言い聞かせられる場所かもしれない。


「あと少し……」と、レンが囁いた。


「ほんの少しだけ……」と、レンが続けた。


レンは最後の茂みを突き破った。


地面が受け止めてくれると信じて。


足が、何もない空間を踏んだ。


「……は?」と、レンが言った。


一秒だけ、馬鹿みたいに宙に浮いた。


次の瞬間、世界が落ちた。


心臓が沈む。


これまでのクソみたいな人生で一番深く。


「あああああああああああああああああああああ!!」と、レンが叫んだ。


落下しながら、看板が見えた。


泥に半分埋もれ、傾き、草に隠れかけている看板。


この先、崖。


レンの目が見開かれた。


「今さら言うなああああ!!」と、レンが怒鳴った。


崖の縁に爪を立てる。濡れた草を掴む。だが根は土から抜け、靴は泥を無意味に引っ掻き、腕は空を切った。


三十フィート下で、コンクリートが待っていた。


嵐がほとんど隠してくれる音を立てて、レンは排水溝の底に叩きつけられた。


しばらく痛みはなかった。


衝撃だけだった。


冷たい雨が開いた目に降り込む。


浅い水たまりの中で、身体はねじれ、脳からの命令をすべて拒否していた。指を動かそうとする。動かない。首を回そうとする。動かない。息をすることさえ、胸で建物を持ち上げるようだった。


上の犬の声が遠くなる。


犬が離れたからではない。


レンが、世界から遠ざかっていたからだ。


口の中は血と雨水の味がした。


罵りたかった。


笑いたかった。


宇宙の方が恥ずかしくなるくらい気の利いた一言を言ってから死にたかった。


唇はほとんど動かなかった。


これで終わりか。


何もかもあって、最後は溝の底。


嘘をつき、企み、逃げ、笑い、人生を引っ掻き回してきた神崎レンは、泥の中で臆病なクズとして死んだ。


「……」と、レンは声にならない沈黙を落とした。


――


人は、本当に、そして十分に、自分自身を憎めているのだろうか。


誤解されがちな「自己嫌悪」という概念は、こうだ。


人が簡単に手に入れているものを持たないこと。


人に望まれないこと。


人がとっくに手のひらに乗せている理由を、自分だけが持てないこと。


欲望を鎮めるために、人はしばしば、他人が当然のように抱えているそれらを憎む。


だが多くの者は肝心な点を理解していない。


我々はすでに、それらの理由そのものを内側に持っている。


我々は、まさにその理由と同じものなのだ。


満たすことでも、成し遂げることでも、何かの方法で欲望をごまかすことでもない。


望んだ時点で、もう十分なのだ。


そして望んだものが手に入らないとき、人は少しだけ自分を憎む。


いや、訂正しよう。


羨む者は、必ず自分自身を羨む。


少なくとも、たいていの場合は。


人がすでに達成した反射像を、なぜわざわざ憎むのか、私は理解できない。


ここで言う達成とは、ただ「自分はそうなれたかもしれない」という思考を抱いたこと、その信仰を得たことを意味する。


そしてその反射像は、必要以上に嫌悪される。


向こう側にあるからか。


届かないからか。


触れられないからか。


通り抜けられないからか。


あるいは、そもそも向こう側にいないという事実が憎いのか。


逆もまた言える。


向こう側が悪いからか。


届きたくないからか。


触れたくないからか。


通り抜けたくないからか。


あるいは、やはり、そもそも向こう側にいないという事実が憎いのか。


もっとも熟した自己嫌悪とは、両側を憎むことだ。


珍しい話ではない。


人間は毎日、無意識に自分たちの種族を憎んでいる。


羨む側も、羨まれる側も。


もちろん、君も私も含めて。


嘘をつくな。


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