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真実3

 ネオス(中身アルフィリア)がさらに口を開く。


「地球にあるエルフやドワーフの伝承は私のような異世界側から地球にやってきた人物がモチーフにされているのですよ。VRMMOも来たる異世界融合に備えてその筋の子孫が作りました」


 さらりと告げた荒唐無稽な話に全員が言葉を失った。


「エターナルファンタジアって世界的な一流メーカー群が技術の粋を集めて作ったものの、軍事転用されるわけでも医療に使われるわけでもなかったのはそのためだったんですね」


 この中では比較的冷静な鬼斬が言った。

 

「なるほど――」


 今までのネオスの怪しい行動の辻褄が合い、シャインも合点がいったように頷いた。

 アルフィリアが話を続ける。


「地球にはマナが存在せず、必然的に内包する魔力も弱くなっていきます。私以外は地球人として暮らしました。ハイエルフである私でも魂の劣化は止められなかった。私の魂も朽ちようとしていた時、ついに融合が始まったのです。

融合に耐えられないと悟った時、どうしても故郷に帰りたくて全ての能力を生け贄に捧げ奇跡的に転生の術を生み出しました――この世界の胎児に転生する予定でそれを行使しました――結果、同格のネオスさんと入れ替わってしまいました。ネオスさんには本当に迷惑をかけました」


「けっ」


 ネオン(中身ネオス)が吐き捨てるように言った。


「じゃあネオンがネオスってことで合ってるの?」


 ノエルが目を白黒させながら言った。


「そうだ、おれがネオスだ」


 ネオンが言った。


「ええ!? 私水浴びの時にさんざ体を見られたんだけど――」


 ノエルが驚きの声をあげた。


「お、女の体なんだから見ても何とも思わねーよ。大体今はそんなことどうでもいいだろ」


 ネオンが慌てて否定する。


「なによー」


 ノエルがフグのように頬を膨らませた。



 少し落ち着いたところで解決策を探すことになった。


「問題は元に戻る方法があるかどうかだろ? 無ければ諦めるしかないんじゃないのか」

「できる。こいつを殺して、転生の術をやり返せば戻れるはずだ」


 シャインの言葉にネオスがはっきりと断言した。


「だから襲ってたのか。ネオス――じゃなくてアルフィリアはどう思う?」

「成功すれば、戻れると思います。ただ今は融合時と違い完全に魂が癒着した状態ですので、魂が傷ついてしまう可能性はあります。肉体と違い魂は繊細で欠損した魂は二度と回復しません。人格変異や記憶障害などが起こります。特に弾き出されることになる私は……」


 アルフィリアが暗い顔になった。それを見てシャインがネオンに言う。

 

「ネオン、諦めることはできないか?」

「絶対嫌だ! この体は勝手が違うし弱いし。お前らだって逆の立場なら嫌だろ!」


 ネオンが激昂した。


「ありがとうシャイン、私の責任だからネオスさんの望むようにします。一つだけ、ネオスさんが転生の術を使った後すぐ私のほうにも復活魔法を掛けてもらえませんか?」


「それぐらいは協力してやる。問題は蘇生魔法使いをどうやって探すかだ。王国の奴等は信用できねーし、エルフ村にはダークエルフであるおれはいけねーからな」


 アルフィリアの言葉にネオンが言った。


「……それなら心当たりがある」


 シャインが言った。



 出発は翌朝となり、ネオンが支度のためにトレビアン亭を出た。

 さすがに疲れたのか、アルフィリアとシャイン以外は寝に上がった。


 食堂で二人になったシャインはふと疑問が湧いた。


「入れ替わりといえば、俺のパターンも似ているよな」

「え?」


 何気なく言ったシャインの一言にアルフィリアが動揺を見せる。


「偶然ではないでしょうか。融合時は肉体と魂の繋がりが曖昧になりますので」


「そうかな? 例えばビリヤードの球を魂と見立てたら、玉突き事故みたいなことが起きたんじゃないか?」

「か、可能性はゼロではありませんが――」


 アルフィリアが絞り出すように答えた。顔色は悪くなっている。

 その様子でシャインは自分の仮説が的を射ていたことを理解した。

 転生者だと真っ先に気づいたことや自分に親切にしたのは罪滅ぼしのためではないか、そう考えると色々辻褄が合うことにシャインは気づいた。

 ただアルフィリアは仲間だと思っているし、これ以上追い込むのは可哀想だと判断して何も言わなかった。

 しかし正直シャインにとってもそれが事実ならかなりのショックな話である。言ってしまえば全ての元凶がアルフィリアということになるのだから。

 そんな深刻な顔で考えるシャインを見てアルフィリアが言った。


「分かりました。戻れたらパフパフしてあげます」

「え、パフパフって。……そんなことするってやっぱり黒なんじゃ」


 シャインは疑いのジト目で見た。


「ち、違います。それに好意がない人にはしません」


 アルフィリアがきっぱりと言った。

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