↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/45

真実2

 シャインはネオスやホルノを紹介し、今回の顛末をノエルに言って聞かせていた。


「――と、いうことがあって大変だったのよ」

「で、どの部分を盛ったの?」

「全部本当の話!」


 えー、信じられなーいと言うノエルを鬼斬や王冠が説得した。

 予想外の方向からの援護射撃で納得したノエルが言う。


「それにしても酷い人だったのねニコラウスって貴族」

「ああ、結局今回の責任を全て負わされて死刑になったみたいだ」


 シャインがちらりと王冠や心音を見ると思い出したのか暗い顔になってしまった。無理もない、拷問されたあげくに仲間は消されて復活もできなかったのだ。今回の件で残された元ギフテッドメンバーの心には一生消えない傷ができた。シャインは同情に近い複雑な心境になっていた。


「絵に描いたような腐敗した貴族社会なのね。そういう人たちなら報復しにくるんじゃない?」

「ああ、それは心配ないと思う。魔王の恐怖という名の呪縛が掛かっている限りは」


 心配そうなノエルにシャインが言った。ノエルがよく分からないなりに頷いた。


「よーし祝勝会とはいかないけど、王冠ティアラちゃんたちが無事帰ってきたことだし、腕によりをかけて料理作っちゃうよ!」

「ありがとうございますノエルさん」


 王冠と心音が笑顔を見せた。



「おかしいわね、こういう時は絶対来るのにネオン」


 テーブルに並べられた豪勢な料理を前にノエルが呟いた。


「……」


 シャインは口をつぐんだ。

 ネオン、本当の名はアルフィリア・エル・シフォン。

 そして彼女が来ていないわけじゃないこともシャインだけが知っている。

 トレビアン亭を伺う怪しい影を発見したので、注意深く様子を調べていたらネオンだった。何故入ってこないのか理由は分からないが。


 魔王の息子というのは言ってないのだが、もしかしたら向こうも何かしらの鑑定スキルを所持しており、身元がバレたのかもしれない。シャインはそんなことも考え始めた。


 ――とすると魔王国に恨みのある人間の可能性がある。


 このことをノエルに言おうか悩む。

 そんなことを思っていた時、隅でコソコソとする動きを発見。

 リリーナが食事の終わったカイを二階に連れ出していった。


 謝罪でもするのだろうか。

 念のためにシャインはこっそりと後をつけた。



「あの時はごめんなさい」


 二階の廊下でリリーナがカイに土下座をしていた。


「え、あの、誰ですか?」

「え?」


 カイはリリーナを覚えていなかった。


「魔王の娘のリリーナです」

「あ」


 カイが思い出した。


「角や羽がないので分かりませんでした」

「あの時は本当にごめんなさい。謝って済むことじゃないけれど」

「立場が違うので気にしてないです。シャイン様も無事でしたし」

「ありがとう」


 ――ふーん、言われなくても謝れるんだ。


 シャインは少しリリーナを見直した。


「あの――それでシャインの砦で匿ってもらうことになるかもしれないのだけど――」

「そうなんですか?」

「いえ、決まったわけじゃないけど。もしそういう話になったら私を匿うように助けてくれないでしょうか」

「は、はあ」


 カイが気の抜けた返事をした。


 ――ああ、根回ししてる。


 シャインはこういうことは好まない。信用を損ねてしまうと感じるからだ。カイと和解できて迷惑をかけないなら匿うくらいはしてもいいと思っていたけど、こういう人間は保身のために裏切るかもしれない。

 ちょっと考えようとシャインは思った。


 しばらく様子を伺っていると、二人は和解はできたようだった。その時、


『きゃあああっ』


 突然階下からノエルの悲鳴が聞こえた。ただの悲鳴ではない、切迫した声。


 シャインは考えるより早く階段を転げ落ちるように降りた。

 襲撃、報復――そんな不安がシャインの胸を圧迫する。


 一階フロアに出て真っ先に目に飛び込んできたのは血塗られた短剣を持ったネオンと、その足元で血の海に伏すネオスだった。


《ダークネス・キングダム》


 暗闇の中、跳躍したシャインはネオンに体当たりをかまし吹き飛ばした。食器の壊れる音が暗闇の中響く。


 血溜まりの中に沈むネオスを確認する。意識はない。しかしまだ微かに息があった。

 シャインは急いでポーションをぶっかけた。

 赤い液体がじわじわ傷を癒やしていく。残りを口から飲ませた。


「ごほっ、う、うぅ」


 ネオスが呻き声をあげた。

 一命はとりとめた。シャインは安堵の溜め息をつく。


「てめぇ!? 邪魔するなぁ!」


 起き上がったネオンが叫び声が聞こえた。

 シャインが静かに睨み返す。

 ネオンが短剣を構えた。


「やめてよネオン! お兄ちゃんも!」


 ノエルが泣き叫ぶ。

 言っても無駄と悟ったシャインは、何もない空間から物を引っ張り出すように黒い剣を引き抜いた。漆黒の夜空を切り出したかのような剣にネオンが息を飲む。


「いっぺん死んどくか」


 シャインが言った。殺気を含んだ静かな怒気がネオンを襲う。

 シャインが床を蹴ろうとした時、


「や、やめて――」


 止めたのは、なんとネオスだった。



 ノエルたちが必死になってシャインとネオンを落ち着かせ、テーブルにつかせた。

 この場にはネオスのほかにカイ、ホルノ、王冠、心音、鬼斬も同席した。いざとなったら全員で止めるつもりである。


 ネオンはネオスをずっと睨んでいた。


「ネオス、分かるように説明してくれないか」


 シャインの言葉にネオスが覚悟をした目でこくりと頷いた。


「……私は1000年前に地球に転移したハイエルフ――本当の名前はアルフィリア・エル・シフォンと言います」


 とネオスが言った。


「地球に転移!? どういうこと」


 シャインが驚いた。


「融合が起こるずっと前には繋がりができるのです。それに巻き込まれて異世界側から地球に転移しました。私以外にもたくさんいました」


「どひゃ〜信じられない。え、ちょっと待ってネオスがネオンで、ネオンがネオスってこと!?」


 ノエルが驚きの声で言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。