出会い
この子は私だけの子供…。この子は必ず幸せにする。
「シングルマザー」という言葉が流行りだして十数年。私の周りにもシングルマザーがちらほら…。
しかし、まさか自分がそのシングルマザーになるなんて、予想もしていなかった。
[1]
20××年6月、大学の先輩の紹介で知り合った10歳年上の祐樹はベンチャー企業の経営者だった。高校を卒業して間もない私にとって、祐樹は大人で、とても魅力的な男性だった。
「夕食食べに行こう。」
祐樹からの電話に私はうれしくて、すぐにOKした。その夜祐樹は車で家まで迎えにきてくた。イタリアンの夕食をごちそうになり、ドライブをした。
「絢香ちゃんは少食だね。いつもそんなに少食なの?」
大食いだと思われたくないから、祐樹の前では食べなかっただけだ。
「はい。あんまりたくさん食べられないんです。」
「細いんだからたくさん食べなきゃダメだよ。」
よし。好印象だ。このまま祐樹の隣でいつまでもドライブをしていたいところだ。家に帰りたくない…。
「抱き締めて、キスしていい?」
「え?」
うれしい。そんなこと言って貰えるなんて…。
「どうぞ。」
あー。もっと他に言い方があるはずなのに。と、思った瞬間、祐樹が私を抱き締めて、キスをした。
嬉しかった。とても…。
「ホテル行こう。」
大人の男性なら、キスがOKならその先もと思うところだろう。躊躇してこのチャンスを逃したくない。というか、断って子供だと思われたくない。
「はい。」
それから数ヶ月、祐樹とは順調に交際が進んだ。祐樹は社長なので、昼間もデートする時間を作ってくれた。大学まで迎えに来てくれることもあって、そのたびに、祐樹が運転する高級車に乗り込むことに優越感を感じていた。
しかし、大学には恋愛の他にも夢中になれることがたくさんあった。祐樹との時間は大切だけど、キャンパスライフを満喫することも大切なのだ。
今日は梨花ちゃんとご飯食べに行くことになった。梨花ちゃんは服装は子供っぽい。でも、整った顔立ちとスラッとした体型が羨ましくて仕方なかった。何にしても大学で一番仲のいい友達だ。ファミレスで食事をし、お互いに彼氏の自慢話が尽きない。
「この前、祐樹とデートしたら、お寿司食べに連れていってくれたんだ。美味しかった。」
「いいなぁ。私なんてデートで食べられるお寿司は回転寿司くらいだよ。」
「でも、梨花ちゃんの彼氏は早慶大じゃない。学生のうちは仕方ないよ。しかも、カッコいいし。」
「まぁね。でも、絢香の彼氏が羨ましいな。私も社会人と付き合おうかな。」
「そんなこと言って、梨花ちゃん彼氏とすっごい仲良しだよね。」
「うん。実は回転寿司でも満足してる。あはは。」
そんな話を3時間以上たっぷり話し、その後はカラオケで2時間は歌った。
そして、楽しく充実した日々はどんどんながれていった。