第47話 最近よく出ると噂なんだ
集合場所に着いたとき、もう拓也達は来ており、雑談をしていた。
「おっす。お前ら速いな」
「お、来たか」
「結構楽しみにしてたからな。肝試しなんて幼稚園のとき以来だ」
此方もある程度会話し、5分後。拓也からの説明が始まった。
「今集まってもらったこの山は、最近よく出ると噂なんだ」
確かに最近はこの山の近くで霊が発生しているな。まだ、邪にはなってないからいいんだけど・・。
「で、ここをグループに分かれて登ろうと言うわけだ」
「何故ばっさり説明が省かれたのかは置いといて、グループになる意味無いだろ。5人なんだし」
「まあ、実際5人だからそのまま行ってもいいけど、少人数にして頼れる人が少ない状況にした方が怖くなるじゃん。そゆわけで、3人と2人に分けよう!」
拓也は声と共に何処からか5本の割り箸の入った空き缶を取り出す。
「準備いい事・・」
「娯楽に関しては手際いいんだぜ、俺」
呆れていると褒められたと勘違いされたのか自画自賛する。
「じゃあ、引いてもらいましょう!!皆一本持ったか!?」
それに対して皆それぞれ「ああ」「ええ」と答える。
「・・・3・・・2・・・・・・1・・・・・・・引け!!」
全員が缶から割り箸を抜き、頭上に掲げる。
少しの時間を置いて、輝明が割り箸を確認すると同時に各々の割り箸の先端を見つめる。
「俺赤いの付いてる」
「私も」
「俺もだ」
太郎、祝詞、俺の順で報告する。見ると拓也と輝明のはただの割り箸だ。
それを確認した拓也は一人無言で、集合場所である山の麓にあるベンチに行き、黒いオーラを撒き散らしながら、下を向いてブツブツと呟き始めた。
「・・・アレはほっとくとして、このグループで何するんだ?」
「ああ、それぞれのグループでこの山の頂上にある神社を目指して、三人全員そこにある狛犬にタッチ。お参りをして、賽銭箱の裏にある何かを代表者が取って降りてくる。あいつの考えそうな簡単なルールだよ」
「狛犬にタッチってのはぜんぜん普通じゃないけどな」
なぜにその行動をとらねばならないのかとても奇妙だった。
「そこは説明されなかったから良く分からん。まあ、放心状態の奴は違う班だし、三人組が先に行く予定だったから行こうぜ」
「おう。祝詞も早く行くぞ」
怖さのためかいつもの調子が出てこない祝詞に一言掛けて、太郎について行く。
「・・・あ、ちょっと!待ちなさいよ!!」
ボーっとしていたのか、俺は少し時間が経ってから返事(後にパンチ)を受けた。
麓
輝明side
太郎を先頭に三人グループが去った後、二人残った俺はどうすればいいのか、主にいつまで待ち、いつになったら出発するのか気になり、悲しんだ振りをする拓也を起こす。
「おい、拓也。三人はもう行ったぞ。変な真似してないでこれからどうすんのか教えろよ」
「・・・・ばれてたの?」
「少なくともあの三人は気付かず行ったみたいだが・・・。呆れて行ったって事は毎日そんな行動とってんのか?」
「さあ」
こいつが何を思ってこんな行動をとったのかは知らない。俺がいないうちにこいつがどんな行動をとってきたのかも知らない。
「祝詞ちゃんと一緒になれなかったからって悲しんでるように見せるのは彼女の性格からして好かれるための行動じゃないと思うんだが?」
「そうかな?女ってのは『お前と一緒じゃないのが凄く寂しい(もしくは悲しい)』みたいな行動をとれば少し嬉しがるって。この本に」
胸の内ポケットから一冊の小さな本を取り出す。
「・・・・おまえ・・・これからその本を読むのはやめた方がいい。それに価値観は人それぞれだぞ」
「・・・・まあ、うすうす気付いてはいたんだけどね」
拓也は何か一人で呟いた後、声高々に言った。
「じゃあ、俺達は三人を思いっきり脅かしますか!!」
「へ?」
「二人組みになったら三人の方を脅かそうって決めてたんさ。面白そうだろ!!」
全く。さっきまでの空気はなんだったのだろうか。
自分で作って置きながら自分でぶち壊すとは・・。
「ああ、そうだな」
まあ、いいか。こいつだし。




