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陰陽師のしごと  作者: 遼東
肝試し
44/56

第44話 その娘(こ)誰?


「は~い。どちら様ですか~」


姉さんがインターホンを押した客に対応する。

俺はそのインターホンの押し主であろう玄関先に意識を集中させる。


(何か・・・普通じゃない・・)


その客から何かしら邪の気配がした。しかし邪がこの様に陰陽師の家に入ってくるはずが無い。

元々邪は昇天を拒む者の集合体。陰陽師の家に入れば退治してくださいと言っているような物。



その気配を察して、祝詞に対して


「俺達部屋戻った方がいいかもな」


と言った。


「え?ええ、そうね」


そうして、二人で部屋から出る。


「あ、ちょうど良かった。二人とも、友達よ」


「友達?・・・おい、拓也。お前いつもここに来る気か・・・」


玄関先に言ったのは拓也だった。

というか、もはや、消えていた。気配を感じたのは一瞬だったので仕方が無いかもしれない。


(・・・さっきの気配は?いや、一般人じゃなかったら町に付いた瞬間に気付くか・・。考えす

ぎだな・・・)


「おっす。いや、今日はお前がちゃんと祝詞様をさそったか・・・うおっ!!・・がはぁ!!」


拓也は昨日の約束を果したか確かめに来たようだ。しかし、その話題を持ち込んだ瞬間祝詞に

よるボディアタックからマウントポジションを取り、一発殴りつける。


「コラ!祝詞止めなさい!!」


その光景を見て、姉さんが止めに入る。

しかし、良く見ると拓也は殴られても満更でない顔をしている。


「姉さん、こいつの自業自得だから止めなくていいよ」


「でも・・」


「こいつは祝詞を肝試しに誘えと俺に強要してきたんだ。俺はさっき祝詞にそれを話した。祝

詞が怒るのもしょうがない筈」


「そう・・。ならしょうがないわね」


そういいながらも、その表情はしょうがないで済むわけが無いと言わんばかりで、もはやもっ

とやっちゃいなと祝詞に檄を飛ばしているようにも見える。


「祝詞。話が進まないからそこまでにしてやれ。後でいくらでも殴っていいから」


「最後のは言わんでも良いだろが!!!」


喜んで殴られてたくせに・・・。


祝詞は俺の一言の後に大きな一発をお見舞いし、拓也を伸した後ゆっくりと顔を上げ、そして

一言。


「え?貴方誰?」


「へ?どうしたんだ」


「いててて。まあ、今回来た本命はこっちなんだけど」


ちょっと上がらせてくれ、と言い靴を脱ぎ始める。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



拓也達を居間に上がらせ、座卓を囲む。

祝詞はもう一人の方と拓也との関係を知りたいと言って居間の開いたスペースで勉強(写し)を

しながら此方の話に耳を傾けている。


しかし、拓也との関係って?普通に友達なんだけど?


「まず、その()誰?」


「誰って、輝明しか居ないじゃん」


そして、祝詞が凍りつく。


「え?マジで?」


「マジだよ。お前まさか顔忘れたとでも言うわけじゃねえよな?」


「いや、分かんないのはしょうがないと思うぜ。こいつ顔いっそう女っぽくなったし」


拓也が祝詞に同意する。こいつも一目では分からなかったのか?

それに対して祝詞が大きく首を縦に振る。


「五月蝿いぞ拓也。一応気にしてんだから」


「お・・おう」


輝明が拓也の右手を取る。

拓也の顔がうすら赤くなる(オイ!!)。


「グギャ!!」


輝明は手にした右手を思い切り締め上げる。

それに対する拓也の悲鳴はとても大きく、台所にいる姉ちゃんもビクリと震える程だった。


『ガラッ』


客間のふすまの開く音がする。


「・・・・んあ、誰です?大きな声出したのわぁ」


寝起きで寝巻きを乱した葵が出てきてしまった。


そして、拓也と輝明の顔が驚愕の色に変わった。








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