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悪辣魔女のフリをしているだけなのに、なぜか王弟殿下に魅了魔法ををかけたことになっていて絶体絶命です!  作者: 柳葉うら


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プロローグ

「やあ、麗しの魔女様。最近なにか困ったことはないかい?」


 レヴェレンティア王国の王都郊外にある、薄暗い雰囲気の二階建ての建物の前に、精霊と言われても信じてしまいそうなほど恐ろしく整った顔立ちの美丈夫が現れて、まるで恋人にでも聞かせるような低く甘い声で、麗しの魔女様ことマグノリアに話しかけてきた。

 

 男性は胸元が大きく開いている白色のシャツに黒色のスラックスと同色のレースアップのブーツを合わせており、マグノリアとしてはどうもシャツの胸元が開き過ぎているようで気になってしまうが触れないことにする。

 すらりと背が高く、服の上からでもわかるほど均整の取れた筋肉がついていて、帯剣するための茶色の革製のベルトが回された腰にもしっかりと筋肉がついているから、簡素な服装は彼の美貌を引き立てているように思えた。

 

 おまけに、胸元まで伸ばした長髪は太陽のように眩い金色で眩く、しどけなく開いている白いシャツの襟元と相まって退廃的な雰囲気を醸し出している。

 それに、垂れ目がちで気だるげな水色の瞳で見つめられたり、薄く形の整った淡い薄紅色の唇で微かに笑みを湛えている表情はどこまでも艶やかで、見ていると落ち着かなかった。


 彼はレヴェレンティア王国の王弟ことアドルファス・レヴェレンティア。


 マグノリアの使い魔から聞いた話によると、アドルファスは二十三歳にして騎士団の副団長を務めているのだが、いつまで経っても結婚しようとせずに浮名ばかり流しているため元老たちの悩みの種らしい。

 とはいえ、見目麗しくもうすぐで公爵位を授かる彼は国中の令嬢たちにとって憧れの存在だ。

 彼女たちからすると、アドルファスの色恋沙汰などさして大きな問題ではないため、彼の目に留まろうとして追い回しているのだとか。

 

「特にないわ。それに、王弟殿下ごときが私のためにできることなんてないのよ」


 素っ気なく返事をしつつ、ツンと澄ました顔でそっぽを向く。

 チラリと横目でアドルファスの様子を窺うと、彼は不遜な態度を取られても甘やかな笑みを浮かべてこちらを見つめてきているので、慌てて視線を彼から引き離して目が合わないようにした。

 

 マグノリアもまた美しい顔立ちだが、どこか悪女めいた狡猾さと妖艶さを併せ持った雰囲気がある。

 年齢は二十歳。腰の辺りまである髪は月の光を紡いだような銀色で美しく波打っており、新緑の森が宿るような緑色の目はやや釣り上がっているうえに化粧が濃い。

 唇も真っ赤な口紅を塗っており、陶器のように滑らかで白い肌によく映えている。


 身に纏うのは、魔女のしきたりに従った宵闇のような黒色のワンピース。

 胸元が大きく開いており、おまけにタイトで胸も腰も強調するようなマーメイドシルエットだ。片側に裾から太もも辺りまで深いスリットが入っており、長くしなやかな脚が覗く。

 ワンピースには袖がないため、黒いショールを羽織っている。


「あなたの相手をする暇はないの。さっさと帰ってちょうだい」

 

 大きなため息をつき、渾身の睨み顔を向けてみるが、相手は笑みを深めるだけ。

 他の人なら、すぐさま逃げ帰ってくれるのに。


 表面上は澄ました顔を貼りつけているが、内心狼狽えた。

 この王弟、嫌味も脅しも効かないから、対応に困る。

今後の新作は完結してから投稿する!と宣言しておきながら、我慢できずに別の息抜きで書いていた新作を思いつくままに書いて投稿してしまいました。

不定期更新ですが、お付き合いいただけますと嬉しいです。

よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾

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