表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

case1

 この私の人生の理由付けに、いつも利用している一言を書き記してみる。

 それは


『義父に犯された』


 ホント言うと

 それは正しくはない。


 私は

 私の幼さから来る

 直情的な感情と

 興味と

 欲求と

 独占欲と

 嫉妬でもって

 母から

 恋焦がれる男を

 寝取ったに過ぎない。

 禁断と背徳の感情の隠れ蓑としての

 シーツに()()()()とこびり付いた残骸は

 何度洗濯しても

 容易には消えず

 私自身の

 恰好の欺瞞となった。


 ぶち壊れた家の中を世間にさらさない為に

 私は排除された。

 なまじ優秀だったのがわざわいして

 首都圏のとある国公立大学へ進学する事になり

 一人暮らしが始まった。

 しかし……私の幼さと若さのみを求めた義父と

 今や嫉妬と憎しみが綯い交ぜとなった女の目でしか私を見ない母が……

 真面まともな援助をしてくれる筈もなく

 私は『東京貧因女子』となった。

 朝から晩まで授業とバイトに追いまくられ

 ついにはぶっ倒れた時に

 うっかり侵入を許したのがきっかけで

 私はクズ男達にとって

 都合のいい

 アパートの住人となり果てた。

 でもそれは……

 決して悪い事ばかりではない。


 クズ男達が私をかまってくれる間は

 それが僅かな期間ではあっても……

 私の……()()

 食べさせてもらえたから。

 そして、そのくらいの

 魅力と言うかメリットと言うか……

 そういうものが

 私にはあると

 分かったから。


 就職は上手く行った。


 それは……クズ男の一人から紹介されたオジサマのおかげ。


 オジサマは何が嬉しいのか……

 自分が根城にしている“帝国”の一室(もちろんそこでも何度も逢瀬を重ねたが)でわざわざユニクロコーデにお召し替えして

 私のボロアパートへ遊びに来た。


 余りにも生活感があり過ぎだし……どうかするとクズ男達の残骸も残っているかもと、こちらが心配しても

「そういう若さに私は励起させられるんだ」

 と私を激しく抱いた。


 オジサマは

 今までのオトコ達の中で一番上手かったし

 優しくもあったから

 抱かれている間は

 物凄い満足感を得られた。

 でも、

 オジサマの為に

 ()()()()

 つまらない夕食を作ったりしてあげてると

 嵐の様に虚しさがこみ上げて来て

 妙にタマネギを刻んだりした。

 ああ、すぐにこれも消え失せるのだろうと……

 しかし、それも悪い話ではない。

 私は……

 オジサマの紹介でインターンシップに入った大手企業に

 結果として就職できたのだから。



 無事、大手企業へ就職しても

 奨学金は返さなけらばいけないし

 せっかく掴んだ安定した生活もふいにはしたくないから

 私は何事も控えめに

 卒なくこなす事に注力し、オトコと関係を持つことも無く3年が過ぎた。


 入社4年目の私は……()()()()()()の小さな小さなチームだけれども……そのリーダーを任され、新人の女の子が下に付いた。


「私の指導如何でこの子の会社人生が決まってしまうかも」

 そう考えると私は……このプロジェクトと後輩ちゃんの育成に全身全霊を傾けていた。


 幸い、プロジェクトの第一弾が成功を収め、私達は二人だけの祝賀会で羽目を外した。


 お互いの電車が無くなって、私が彼女のお母さんに電話を掛けて

「娘さんは私がキチンとお守りします」って見得を切ったのに……


 ふたりで泊まったハリウッドツインの部屋で

 ()()()()()()()()()


 後輩ちゃんは……過去にそういう経験があるようだったし……私は私で自分のカラダの欲求は都度自分で済ませていたので、それが燃えカスの様に燻っていたから……彼女の手管に激しく燃え上がってしまった。

 そして私と後輩ちゃんは公私を共にする関係となった。


 けれど次の年にこのプロジェクトは解散。

 私は今の上司のチームへ、後輩ちゃんは私の前の上司のチームに入った。


 仕事的には……今の上司は申し分の無い優秀さだったし、その上司の元でチームリーダーとしての重圧から解き放たれた私は思う存分飛び回れた。

 飛び回れば飛び回るほど、私にとって上司はかけがえのない、離れられない人となり……どうしても手放したくないと思ったから()()()()()

 でもそれは……手放されたくなかったと言う事の裏返しで……

 “カレ”は3回を数える頃にはもう

 私と言う楽器を自由自在に掻き鳴らしていた。


 私は幸せの絶頂に居たのだけど……

 久しぶりに会った後輩ちゃんは思い詰めた様に元気が無かった。

「どうしたの?」って訊くと、

 後輩ちゃんは黙って自分のスマホをタップした。

 そこには隠し撮りされた私が……カレに狂っている私の映像が……

 流れていた。

 震える指でスワイプする度に……

 ()()()()()()()()()()()女達の映像が

 いくつもいくつも

 臆面も無く流れた。


 それから数日……

 カレの脇の甘さには心底打ちひしがれたが……


 一度刻まれたデジタルタトゥーを消せる筈も無く……

 私は依願退職へと追い込まれ、カレの奥様からは慰謝料請求をされる始末!

 まだまだ奨学金も返し終えてはおらず……

 すぐにでもお金は必要なのに再就職への道は遠い。


 せめて割のいいバイトをと……探してみれば見える景色がある。


 どうせ真面に愛される事の無い私の……魂の持って行き場は

 そこなのかもしれない。



 こうして私は今日も“待機部屋”に居る。

 肌の温もりと……

 お金を得る為に。





ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
タイトルの通り、とっても危険ですね(;^_^A
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ