1-22:模擬戦②
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22話:模擬戦②
マリンが母の魔力を吸い取ったところで、マリンの様子に変化が訪れた。
パァァァァンッ!!
マリンの身体が光り輝いたと思ったその時、そこから現れたのは少女だった。
幼女だったマリンが少女へと変貌したのである。
そして、その少女マリンは、向かってきている敵の攻撃魔法を迎撃したのだ。
《水龍》《水刃乱舞》
炎の攻撃を水龍で相殺し、岩の攻撃を水刃乱舞で粉々に切り裂いたのだ。
威力が桁外れに上がってる。幼女だったころにはここまでできなかったはずだ。
ということは、下級精霊から中級精霊にクラスアップしたってことなんだろうな。
《エレン、大丈夫?》
「...ええ、少し疲れてるけど問題ないわ。それにしてもマリンなのよね?」
《うん、そうだよ!エレンからもらった魔力で進化したの》
「中級精霊ということね。ふふっ、マリンもう一仕事お願いできる?」
《任せなさい!あの二人をやっつければいいんでしょ?》
「えぇ、お願い」
《それじゃあ、エレンの魔力も少ないし、ここには魔力の残滓が溢れてるからそっちを使うね!轟け!水流瀑布!》
水が爆発したようにはじけ飛び、その塊が敵魔法士に容赦なく降り注ぐ。
魔法士たちは度重なる魔法を行使し、さらに上級威力の魔法を使ったため、既に魔力は枯渇しており、防ぐ術なく攻撃を受けるしかなかった。
そこに魔法士たちの護衛として立っていた騎士が一人、剣を用いて飛んでくる魔法を次々に迎撃していく。
しかし、魔法士たちに向かってくる全ての攻撃を防ぐことはできず、吹っ飛んだ魔法士二人は仲良く壁に激突し、気絶した。
審判役である騎士団、副団長アレックスが二人の様子を見てリタイアと判断したため、魔法士二人は急ぎ救護班に連れられ退場した。
これでエレン&マリンVS騎士団候補魔法士2人の戦いは終了した。
「不甲斐ない魔法士どもが。私の顔に泥を塗りよって!」
最初に炎壁で動きを封じた騎士がやっと、炎壁を抜けたようだ。
「行くぞ!精々オレを楽しませてみせよ!」
そう言って、騎士は剣を振りかざす。
それにしても、もう一人の騎士は開始位置から動かないな。
オレは騎士の攻撃を避けながら、もう一人の騎士を見ていた。
そんなオレを見ていたのか、苛立ちながら攻撃を仕掛けてきている騎士が言う。
「安心しろ!もう一人の騎士は戦わん。オレがお前を倒すまで動くなと指示を出しているからな!」
「何故です?二人できた方が確実かと思いますが?」
「ハッ!たかが役立たず精霊術師一人に騎士は2人も必要ない!それに私は騎士団長だ。奴は私の命令に従えばいいのさ!」
役立たずって、その精霊術師にお宅の魔法士たちはやられたの見てたよね。
それにまだ騎士団候補の段階だから、正確にはまだあなたは上級貴族に仕える【護衛騎士】という身分なんだがな。
それにその言い方と態度、明らかにかませ犬ポジションの気がするんだけど。まぁ言わないけどさ。
「どうした精霊術師!避けるだけで精いっぱいか?!」
オレがこの騎士の攻撃を避け続けていると騎士が挑発してくる。少しは頭を使ってほしい。
なぜ精霊術師のオレが【護衛騎士】の攻撃を避け続けられているのかというのを。
本来であれば【戦士】である職業の者の剣筋を捉えることは戦士系以外の職業では難しいのはわかるだろうに。
ならなぜオレが避けきれているのかというと魔力を使って身体強化をしているからに他ならない。
身体強化といっても凄い怪力になるとかではなく、力と動きが多少良くなるといった程度ではあるけど。
魔力を使って術を行使するのであれば、その魔力を身体に纏わせることはできないか?と考えたのだ。よくラノベとかではあったからな。
で、試してみると出来たという訳だ。ただ万能という訳ではない。魔力量の消費が激しいのだ。でもそのデメリットは魔力量の高いオレにはあまり関係なかった。
だからこそ、ハイデルブルグ領にいる【護衛士】の中でも一番強いのはオレと言う事になっているのだ。
まぁ最初はコテンパンに負けまくりでしたけどね。オレが勝てるのは精霊術と身体強化の部分が大きい。
話は戻る。
この騎士団長(仮)の人は力はありそうだけど、一つ一つの動作が大雑把だ。まともに打ち合えば勝てないが。
さて、そろそろこちらも攻勢に出るかな。「ムギ、狐炎!」
クゥゥゥ!
ボボボッ!
「ちっ!」
バッ!
騎士団長(仮)の人が距離を取る。精霊術師や魔法士相手に距離を取っちゃダメだよ。まぁ距離を取らせるために攻撃したんだけど。
これで、常に先手が取れる。
「ムギ、炎舞!」
クゥゥゥ!コン!
「なんだ?!これは?!」
これはこの5年で編み出した技だ。炎を敵の周囲に円柱型に発現させ、そこから無数の炎の球が敵を襲う。
中級威力の技に入るが、騎士団長(仮)というのだから、この程度なら防ぐだろう。だからこれから用意するのは上級威力の技だ。
相手がまだ炎舞に対応している隙に準備をする。
「ムギ、狐焔槍だ!」
コン!クゥゥゥ!コン!
ボボボボボッ!
槍の形をした炎の槍が発現する。その炎の槍からは超高温の熱の影響で、周囲の温度が上げる。
オレ自身はムギがフォローしてくれてるから熱くはない。
さて、そろそろ炎舞が終わる。
シュウゥゥゥゥ...
オレは終わると同時に狐焔槍を放つ!
ボゥッ!
しかし、炎舞が終わってそこから現れたのは、倒れ伏した騎士団長(仮)の姿だった。
「えっ?!」
炎舞で倒れたのか?騎士団長(仮)なのに?あっ、やばい!加減はしているとはいえ、あの状態で狐焔槍を喰らったら死んじゃうかも。
ガキンッ!
シュウゥゥゥゥゥ...ボンッ!
そう思ったとき、もう一人の騎士が団長(仮)の前に瞬時に動き、オレの狐焔槍を下からカチあげ上空へと弾き飛ばした。
助かった...いろんな意味で。
にしてもあの動き、速かったな。結構距離があったと思ったんだけどな。
そこで審判が騎士団長(仮)のリタイアを確認し退場となった。
これであとは目の前にいる騎士一人だけになった。
すると、その騎士から言葉を投げかけられた。
「あの男の役立たずという発言について、申し訳なかった。それと我が主が貴殿を愚弄する発言をしていたと聞いてな。それも謝罪したい」
騎士が謝ってきた。どうやらこの男性騎士は、結構まっすぐな性格をしているようだ。
「我が主というのは誰でしょうか?」
「そこにいるズリーノ伯爵だ」
なんと、この紳士騎士はサボル侯爵の腰巾着伯爵の部下のようだ。それにしてもズリーノ伯爵ねぇ。
「そのズリーノ伯爵からは、直接何かを言われたことはありませんので、お気になさらず」
「そうか、そう言ってくれると助かる。さて、残りは私一人になってしまったが、騎士としての矜持がある。挑ませてもらおう!」
カチャッ!
対峙しただけでわかる。この人は今までの誰よりも強い。これもいい経験だ。
「受けて立ちます!」
「参る!」
ダッ!
速い!一気に詰めてきた!「ムギ!炎壁」
コン!
ボボッ!
「ハッ!」
ザシュッ!
マジか?炎壁を斬った?!
そのまま袈裟斬りしてくる。この距離じゃ精霊術は間に合わない。オレは収納袋から刀を出す。
キンッ!
身体強化しているといっても、大人の力に対抗できるわけもないので、受け流す。
少し驚いている様子だったため、受け流した状態から、刀を振る。
騎士はそれを防ごうとせず、バックステップで躱す。
オレは収納袋から、投げナイフを数本取り出し、相手目掛けて投げる。
もちろん、投げナイフで相手を倒せるなんて微塵も思っていない。時間稼ぎが目的だ。
投げナイフは全て騎士に弾かれる。でも距離はできた。
「ムギ、炎舞!」
クゥゥゥ!コン!
炎を敵の周囲に円柱型に発現させ、そこから無数の炎の球が敵を襲う。あの騎士団長(仮)はこれで倒せたけど、どうだ?
「ハァァァッ!」
ズバンッ!
炎の中から現れたのは2本の剣を振り下ろした姿の騎士だった。
「もしかして【双剣士】という職業ですか?」
「よくご存じで。今は【双剣騎士】という職業です」
邸に職業大全という本があって、その中に【双剣士】も載っていた。特別職までとはいかないが、珍しい職業の一つだ。
「その2本の剣で炎舞を斬るとは...その剣、魔力でコーティングしているんですね」
「ええ、貴殿の身体強化と同じ要領です。まぁさすがに常時発動するほどの魔力は持っていませんが」
オレが魔力で身体強化しているのは知っていたか。恐らくこの騎士も要所要所で使っているんだろう。その証拠が、騎士団長(仮)を助けたときのあの速さということだ。
「私の魔力も、もう残り少ない。次で最後にさせていただく!」
「わかりました。それじゃあ、オレも全力で行きます!」
・・・・・・・・・
ダッ!
騎士が最後の魔力を使い、地面を蹴り接近してきた。
「ムギ、炎槍連弾!」
コォォォン!
炎の槍を4つ展開し放つ。それを相手は避け、斬り、避ける。しかし4つ目は避けきれず直撃を受けた。煙が立ち込める。
その時、煙の向こうから飛び出してきた。その手には剣は1本しかなかった。恐らく片方の剣を犠牲にしたのだろう。
魔力も残っていないようだから速さはもうないが、それでも鋭い太刀筋で振ってきた。
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