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1-21:模擬戦

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本当にありがとうございます!

もちろん登録はしていないけど、読んでるよって方もありがとうございます!

今話もぜひお読みください。

21話:模擬戦



騎士団候補との模擬戦の為、オレと母は今、闘技場に立っている。



観客席には陛下をはじめ、大勢の貴族とその共たちが集まっている。



「5年前も思いましたがここにいる貴族って暇なんですかね?」



「娯楽が少ないのよ。だからこういう催しがあるとこぞって見に来るのよ。特に王都に居を構えている貴族たちはね」



「王都に構えてるって、自分たちの領地は大丈夫なんですか?」



「王都に居を構えているほとんどの貴族は法衣貴族なのよ」



「法衣貴族?それはなんですか?」



「法衣貴族というのはね、領地を持たず、王宮で文官や武官として働いている一代限りの貴族のことよ」



「それって領地持ち貴族と上下関係とかあるんですか?」



「ないわよ。一代限りでも爵位は爵位ですからね。ただ、その性質上、法衣貴族は領地を持てないのよ。だから法衣貴族の目的は領地持ちになることなのよ」



「なるほど。領地持ちになれば法衣貴族でなくなり自分の子供に爵位を継がせることが出来るようになる。そのために、王宮で功績を挙げて任じられるのを待つってことですか?」



「そうよ。ただ、王宮での仕事と領地運営は丸っきり違いますからね。おいそれと陛下や宰相も領地持ちにはさせないのでしょう。下手に法衣貴族に直接任せて失敗されたら、王宮の責任になりますからね。大体は領地持ち貴族に領地を下賜して、そこの貴族がその領地に法衣貴族を宛がう。それでうまくいけばそのまま領地貴族になるっていう寸法よ。だからこそ派閥なんてものができやすいんだけどね」



「確かに。それであれば領地を貰った法衣貴族は元の貴族に頭が上がらないですもんね。あれ?それでも領地より貴族の方が数多くないですか?」



「そう。だから手っ取り早いのが領地持ち貴族を蹴落として、そこの領地をもらうってことね。既に土台が出来上がっている領地なら下手なことしなければいいわけですからね」



「もしかして、うちって狙われてます?」



「狙われているわね」



母が断言する。だから目の敵にされているんだな。



「でもそれってうちだけですか?」



「うちだけではないでしょうけど、ここまで露骨なのはうちだけでしょうね。うちを追い落として、サボル侯爵は自分の息が掛かった貴族をハイデルブルグに据えたいのでしょう。うちの領は自然豊かだから資源は大量にあるといっても過言ではないですからね。恰好の的なのよ」



「でもそれは精霊の森があるからですよね?あそこがなくなれば【精霊術師】は困りますよ?」



「サボル侯爵は困らないわよ。【精霊術師】は役立たずの欠陥職と言われているから。これを機に【精霊術師】の不要ぶりをアピールしたいのでしょう」




貴族のゴタゴタに巻き込まれるのは嫌だな。まだ10才なのにこれだ。あと5年して成人したら、これ以上に巻き込まれるんだろうな。領地に引き籠りたい。



「母上、もしなんですが、王都に出向かず領地に引き籠るということは可能なんでしょうか?」



「無理ね」



即答ですか。まぁそうですよね。



「もしそれをするなら独立しかないわ」



独立か。でもそれは陛下が許さないだろうな。反乱と一緒だもん。そんなことしたらそれこそ軍が派遣されて数の暴力で鎮圧されるだけだ。


ということは、爵位を上げて、上級貴族になる。それで手を出しにくくさせるのが一番手っ取り早いということか。



貴族の社会は嫌だけど、それを回避するには貴族の爵位をあげないといけないというのだから皮肉なものだ。


家族を守るためにも貴族の地位は必要だもんな。



さて、母と話していたが、やっとこさ相手の騎士団候補たちの登場だ。




騎士甲冑やローブに身を包んだ【騎士】と【魔法士】たちが歩いてくる。



ガチャガチャ...



「陛下、お待たせしてしまい申し訳ございません。こちらが騎士団を創設した際の幹部の4人になります」



サボル侯爵とズリーノ伯爵が騎士団を伴い陛下へと挨拶をした。



「うむ、それでその中の誰が今回の模擬戦の参加者なのだ?」



「はっ?えっと...」



ズリーノ伯爵が困惑している顔だ。え?まさか4人全員戦わせるつもりなのか?いやいやさすがにそれはないだろう。



「どうした?まさかそこにいる4人全員ということではあるまい?エレンたちは2人なのだから、そちらも2人でなければおかしいであろう?」



陛下もオレと同じ意見のようだ。それはそうだよね。



「陛下、騎士団は個人の武勇は大切ですが、何よりも重要なのは、その連携力です。この者たちの実力をしっかりと見て頂きたく。それに精霊は意思があるとのことですから精霊も人数に数えれば4対4でございます」



侯爵が割って入ってきて、飛んでも理論をぶっこんできた。【精霊術師】は精霊と術師あわせて、1という認識なんですがね。



母をみるとこっちも呆れた顔をしている。よくもまぁ、こんな人が侯爵をやってるよ。世襲制ってやっぱ良くないんじゃないだろうか?



凄いのは、その地位まで高めた人が凄いだけで在り、苦労していない2世・3世が凄いわけじゃない。


ただ親から貰い受けた地位に胡坐をかいている貴族は滅ぶべきだとオレは思うけどな。どう考えても侯爵をはじめ複数の貴族はそんな感じがする。



「陛下、私どもは気にしません。4人で結構でございます。早く始めてしまいましょう」



母も我慢の限界のようだ。オレも早く終わらして領地に帰りたい。これは本格的に王都と関わらない方向で今後動きたい。




「うむ、エレンたちが問題ないというのであれば、私からとやかく言う事ではないな。それでは始めてくれ」



オレたちは闘技場の中央へと進み、そこから互いが10メートル下がる。直進距離で20メートル離れたところが開始地点になるようだ。



「此度の模擬戦、王国騎士団副団長のアレックスが審判役を務めさせてもらいます。両者、準備はよろしいか?」



あの審判、副団長なんだ。爽やかなイケメンだな。あれは絶対にモテる。断言できる。くっ、羨ましいぜ!いや、きっとオレも将来は...すいません。あれにはなれないわ。



どちらも準備できたことを伝える。



「それでは......はじめ!!」



ダッ!


開始の合図とともに、騎士が1人飛び出してきた。その後ろから【魔法士】が攻撃を仕掛けてくる。




「アレン、攻撃は任せます。防御は私が担当します。遠慮はいりません。殺さない程度に全力でやりなさい」




「わかりました!ムギ、まずは前方の1人を足止めするよ。炎壁!」



コ~ン♪




ボボボッ!



騎士は突如現れた炎の壁に止まるしかない。



その隙に【魔法士】が放ってきた攻撃がこちらに届こうとしている。同じ【火】属性の魔法だ。



「マリン!水壁をお願い!」



《はーい!》



ズドドドドッ・・・・・ジュッ!



相手の火球は水の壁に衝突・吸収された。



「まさかその程度ではないですよね?時間が勿体ないです。全力で来なさい!」


母が敵魔法士を煽る。



「くっ、舐めるな!精霊術師ごときが!【炎よ!敵を貫く槍となれ・炎槍】」


「調子に乗りやがって!【土よ!敵を囲め・土流障壁】」



ふむ。土で壁を作り、逃げ出す場所を塞ぎ、そこに炎槍を叩きこむか。いい連携だけど初手の攻撃を何故防がれたのか理解しているのだろうか?



「甘い!甘すぎます!マリン!水流砲!」



《はいはーい!》




なんだろう、マリンの所為でまったくシリアスにならない。



マリンの水流砲で敵の炎槍は全て消滅した。



4大元素と言われている火・水・土・風はそれぞれに相性がある。火は風に強く、風は土に強い。土は水に強く、水は火に強い。



相性が全てというわけではないが、隔絶たる力の差がないのであれば、ここは火属性ではなく土属性で攻撃をするべきだ。



それがわかったのか、今度は土属性の魔法士が攻撃を仕掛けるようだ。



「ならこれでどうだ!【土よ!敵を貫け!土竜槍】」



母の周りの地面から土の槍が突き出す。これはまずいか?と思ったが、余計な心配だったようだ。



「マリン!この前練習した水刃よ」



《マリン!がんばるー!ウキャー!》



可愛らしい掛け声と一緒に土の槍が切り裂かれた。あれは以前、家族と行った鉱山でオレが鉱石を取るために使ったウォーターカッターだ。



ウォーターカッターは300メガパスカルほどに加圧された水を0.1mm-1mmほどの小さい穴などを通して得られる細い水流のことだ。



現代では鉄ほどの固さであれば切断が可能だ。さすがにこの世界では鉄の固さを切断できるほど加圧はできないが岩程度の固さであれば問題なく切れる。



オレが鉱石を取るために使ったウォーターカッターを母がえらく気に入ってマリンと一緒に練習していたのは知ってた。



結局あの鉱山では、使えるようにはならなかったけど。あれ以降、練習していたんだな。



これにはさすがの魔法士たちも呆気に取られているようだ。まぁ4大元素の優位性が覆されたんだからしょうがないか。





それからは、オレに標的を変えて攻撃しようとしても悉く、魔法士の攻撃はマリンにより防がれたり、切られたりしている。



「チクショー、ならこれならどうだ!押し潰せ!岩竜壁!」



ゴゴゴゴゴッ!



「ならばこちらも!燃え落とせ!炎竜!」



ズガガガガッ!



魔法士は同時攻撃で母を討ち取ろうと考え攻撃を繰り出した。どちらも上級に近い威力だ。恐らく全ての魔力を使ったのだろう。



さすがに母とマリンでは防げないと思ったので、オレが防ぐために動きだそうとした瞬間



「アレン!言ったはずです。防御は任せなさいと!」



母が強い口調で言ってきたので、オレは動くのをやめた。



その強い口調にオレだけでなく、陛下も父も苦笑いしている。昔何かあったのだろうか



「マリン、あなたの力はこんなものじゃないわよね!私に遠慮はいらないわ!」



《......いいの?エレン?》



「全力を出しなさい!」



《......わかった!ならまりょくもらうね!》



そうマリンが言うと、母の魔力が急激に減っていった。だがマリンの魔力が上がっていっている。



母も少し辛い感じのようだが、耐えている。すると、マリンの様子に異変が起きた。



もう少しで敵の攻撃が当たるところまで来ている。

本話を最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白い」「次話も楽しみ」など思っていただけたら、とても励みになるので、

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