1-11:謁見の間
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11話;謁見の間
「ハイデルブルグ男爵様一行をお連れしました」
「入れ」
バタン...
中に入ると奥の椅子に座っている30代ぐらいの男性と、その横に立っている40代ぐらいの男性、2人の近くに立っている騎士の男がいた。
そして中央には王都貴族らしき人間たちが左右に並んでいる。なんか偉いとこに来ちゃったな。来て早々帰りたいと思ってしまう。
父と母の後ろを歩き中央で片膝をつき、拝礼をする。
「陛下、召喚状により参上しました」
「うむ、遠いところ、わざわざすまなかったなハイデルブルグ男爵。息災ないか?」
「はい、妻も子もこの通り健やかに」
「それならばよいのだ。エレンもすまなかったな」
「いえ、陛下にはご迷惑をお掛けしておりますから」
「そういえば、エレンは精霊と意思疎通ができるようになったと書いてあったが誠なのか?」
「はい、姿も見え、話もできるようになりました」
「そうか。では軍については...」
「陛下、その件はお断りさせていただきます」
ザワザワ...ザワザワ...
~陛下に対してなんという態度だ~
~役立たず男爵風情が調子に乗って~
~全く不敬であろう~
周りにいる貴族たちがザワつく。
軍に入ってくれという話だったのだろう。母は即却下してるけど。大丈夫か?不敬罪とかにならないのかな?
すると今度は列の左側に立っている男が割って入ってきた。
「ハイデルブルグ男爵!いや、男爵夫人。そこを何とかお願いできないだろうか?今、ハイデルブルグ男爵の置かれている状況も理解されておるだろう?軍で【精霊術師】として活動してくれれば、抑止力としても大きく意味を持つのだ」
軍の偉い人なのかな。今のハイデルブルグが周りからどう思われているかを指摘して、軍に入るよう促してきた。
「リュウセン軍務卿、それはできません。精霊は争いごとが嫌いなのです。そんなことをしたら精霊は私との契約を切り、いなくなってしまうでしょう」
しかし母はその要請を一刀両断した。今の母とマリンなら契約が切れることは考えにくいけど、確かにマリンを戦争に駆り出すとなると母はいい気はしないだろう。
するとその答えを聞いた、別の貴族がさらに食って掛かってきた。
「確かに契約が切れたという事例があるのは事実だが、そうならなかった事例もあるだろう。現に他国では【精霊術師】が軍で活躍しているという話があるではないか!精霊が争いごとが嫌いであれば何故、他国の【精霊術師】は活動出来ているのだ?不確かな事で国家の要請を断り続けるのは貴族としての義務を放棄しているのではないか?」
「サボル侯爵、お言葉ですが、万が一契約が切れたしまった場合は責任を取っていただけるのでしょうか?」
「な?!き、きさま!侯爵の私に「もう良い!」...陛下」
「サボル侯爵、その話は終いだ。私も悪かったが、本日この者たちを呼んだのはこの件ではない。リュウセン軍務卿も良いな?」
「「ハハッ!」」
この場の空気がより一層悪くなった気がする。すると王様の右側に立っている40代男性が話を変える。
「それで、その子供が例の【特別職】かつ【新職業】を発現させたアレンだな」
「ハッ!ランドール宰相の仰る通りでございます。我が息子のアレンが【精霊術師】と【錬金術師】の特別職【精錬術師】という職業を発現させました」
ザワザワ...ザワザワ
~新職業だと、いつぶりだ~
~だが、欠陥職と不遇職の特別職だぞ、なんの役に立つんだ~
~精霊とは契約できるのか~
わぁお!今度はオレの方を全員が見てる。視線で穴が開くならオレの身体はもうズタボロだ。
「それで、報告には精霊との契約まで出来たと聞いているが、誠なのか?」
王様が質問してきたが、父も母も話そうとせず、2人はオレの顔を見た。あぁ、オレが喋れということですね。
「はい、陛下。運よく精霊と契約することができました」
オレの言葉にまた周りがざわつくが陛下が話を続ける。
「それで、その精霊は強力なのか?そちの母と比べてで構わない」
その言葉にオレは母を見ると頷いたので答える。
「母が契約しているのは下級精霊というのはご存じでしょうか?」
「あぁ、そう聞いている」
「今、私が契約しているのは中級精霊になります」
ザワザワ
またざわつく。陛下が静まれと手を上げると一斉に静かになる。
すると先ほど母に文句を言っていたサボル侯爵が一歩前に出てきた。
「陛下!それが本当かどうかはわかりません。もしかすると嘘をついているかもしれません。ここは一度その真偽を確かめるべきかと存じます」
無駄に腹だけが出ているサボル侯爵ってやつは何か恨みでもあるのか?さっきから突っかかってくる。
「ほう、この子供が我に対して嘘を言っていると申すのか?」
「い、いえ、そういうわけでは...ただここには精霊の強さを判断できる人物がいないため確かめるべきかと」
精霊の強さを判断できる人物がいないのにどうやって確かめるんだ?このポッチャリ侯爵は。
「それでどうやって確かめるのだ?その方法は?どうするつもりだ?」
陛下も同じことを考えているようだ。だから陛下は母と比べてと言ったのだろう。
「そ、それは...そうだ!騎士団と模擬戦をしてみては?」
サボル侯爵がナイスアイデアという感じに言ってきた。
「模擬戦か...リュウセン軍務卿、どうだ?」
「ハッ!我が騎士団であれば【精霊術師】と戦った経験もございますので、ある程度の力はわかるかと思います」
「おぅ!そうであれば騎士団との模擬戦で力を見せてもらいましょう!」
サボル侯爵が両腕を広げて高らかに宣言する。
あれ?これ受けないといけない流れ?一応、今は姿を隠しているソラに聞いてみたけど、問題なく協力してくれるってことだからいいんだけど。
ちなみにムギはセナのところで魔力コンロトールに勤しんでもらっている。
「エレン、どうだろう?これは軍事目的ではなく訓練だ。息子のアレンの実力を見せてはもらえないだろうか?」
陛下が母に聞いてくる。
「陛下、アレンはまだ5歳です。精霊と契約したのもつい1か月前ですが、万が一精霊術が暴走しても構わない...ということでよろしいでしょうか?」
「...確かに、まだ5歳の男児に騎士団との訓練というのは過酷すぎか...身体も出来上がっていない状態で何かあれば問題にもなる。そうだな...であれば、今から5年後、アレンが10歳になったときに騎士団との模擬戦ということにしよう」
「しかし、陛下!それでは事実確認が」
「サボル侯爵、何をそんなに焦ることがある?だが、他の皆の者も気になっている気持ちは理解できる。そこでどうだろうか?訓練場で精霊術のお披露目をしてもらうというのは?」
陛下が母に対してそう言ってきた。
「アレン?行ける?」
母がオレに聞いてきたので、オレが頷くと母が了承の旨を伝える。すると、早速謁見の間が慌ただしくなり陛下がまた鎮める。
その横に立っていた宰相が軍務卿と何かを話していた。
「本日訓練場は使用中の為、明日、アレン殿の精霊術のお披露目を訓練場にて執り行うこととする。これにて謁見を終了とする」
「「「「ハハッ!」」」」
途中から父が空気のような存在になっている。対外的には父が男爵ということになっているが、実質は母がその男爵の位置にいるからな。
下位貴族は男のみの世襲だからな。女性がなるには上位貴族でないといけない仕組みらしいから、父も何かと大変だな。
アシタガタノシミダ
聞こえてきたのでそちらを見てみると、サボル侯爵が嫌な笑みを浮かべながら退出していった。
何なんだ?
オレらも退出しようとしたその時、宰相からついてくるよう言われたので付いていくと、執務室に通された。
そこには陛下と軍務卿が部屋にいた。
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