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第17話 横流し伝票の提出先
監査課の臨時聴取は、夜勤明けの会議室で行われた。
姉崎が机に並べたのは、隠し保管庫の写真、偽装返品のロット番号、宮坂の買い戻し打診の録画、そして白鷺メディアから《煌牙》へ流れた支援金の明細だった。
「物資の横流しで視聴数を稼ぎ、スポンサー料を吊り上げる構造です」
姉崎の声は静かだけれど、内容は十分すぎるほど重い。
桐生は途中まで言い逃れようとした。
「演出用の予備物資だ。救助便とは別だ」
私は伝票を一枚差し出した。
「別ではありません。これは救助便ロットです。欠品した二十四箱と連番で、搬出承認者は宮坂課長」
数字が揃った瞬間、会議室の空気が死んだ。
白鷺メディアの担当者だけが最後まで営業用の笑みを貼りつけていたけれど、その目は完全に泳いでいた。
莉央は配信にはせず、記事用に最低限だけ記録した。煽れば数字は取れる。でも、今必要なのは見世物じゃなくて、止血だ。
聴取が終わったあと、姉崎が私に頭を下げる。
「あなたが黙っていたら、もう何件か事故が増えていました」
「私は、自分の夜勤を守りたかっただけです」
「それで十分です」
誰かにそう言われるたび、少しずつ、長く張りついていた責任の形が変わっていく気がした。




