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エピローグ:静かな夜に

——1ヶ月後、夜。

蓮司の部屋は、カーテンが半分閉まり、外の街灯の光がぼんやりと差し込んでいた。

布団に突っ伏した蓮司は、背中だけが生き物のように上下している。

机の横では、真鍋がコンビニの袋から缶コーヒーを取り出し、榊原がほうき片手に部屋の隅を掃いていた。

「……朝比奈は?」

蓮司が、布団に顔を埋めたまま聞く。

「朝比奈さんは公務です。深見さんと違って、忙しいんです」

榊原の即答は淡々としていたが、その一言が妙に胸に刺さる。

「……病人に対して、もう少し言葉を選んだほうがいいんじゃないかな……」

蚊の鳴くような声で呟く蓮司。

その時、光のアイコンがモニターにふっと現れた。

《榊原さん、何故あなたは人の家の掃除をしているのですか。理解不能です》

「……は?」榊原が眉をひそめる。

《蓮司に好意を寄せているのですか?》

《その場合は私が介入します。》

「寄せてません!」——即答。

その音の鋭さに、布団の中の蓮司がさらに凹む。

「……そんなに全否定しなくても……」

真鍋はコーヒーを一口飲み、肩を震わせながら苦笑いした。

——その時、インターホンが鳴る。

ドアを開けると、頬を赤くした朝比奈が立っていた。

「よー、蓮司! 元気でやってるかー!」

酒の匂いと共に、冬の冷気が部屋に流れ込む。

「……なんで酔っ払いが来るんだよ」

「細けぇことはいいんだよ」

榊原は嬉しそうな顔でほうきを置き、真鍋は笑いをこらえきれず吹き出す。

光が《全員、声が大きいです》と無駄に注意するが、誰も聞いていない。

——結局、その夜はガヤガヤとしたまま更けていった。

そして、次の戦いの気配だけを残して——物語は、いったん幕を下ろした。


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