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2-2 ヒモから始める異世界生活


 留置所を出ると、優しい日差しが俺を包んだ。

 太陽の位置を見るとどうやら昼ごろのようだ。

 先ほどアルクレアにかけてもらった解毒魔法のお陰で体はだいぶ楽になっていた。


「ごめん、アルクレア。かなり迷惑かけたみたいで……」

「ううん。私の方こそごめんなさい。トウマくんは遠いところから来たのだから、流通してる貨幣が違うことに注意すべきだったよ」


 どうやら俺は昨日、酒場で散々飲み食いした挙句金がないのでこの世界でいう警察組織のようなところにつまみ出されたそうだ。


 でも冷静に考えればそうだよな。この世界じゃ俺の元いた世界の貨幣や硬貨は使えないよな。


「それにしても、さっきからなんかよそよそしくないか?」

「えっ!?」


 びくっとアルクレアは肩を揺らす。

 そういえば、昨日はスパイクとアルクレアも一緒にいたはずなんだよな。

 厚かましいことを言うようだが、その場は酒代を立て替えてくれてもよかったのでは。


「いや、実はね……私もスパイクくんも相当酔っ払っていたっていうか……スパイクくんは近くにいた冒険者と喧嘩始めて憲兵さんに連れていかれちゃったし、私も気がついたら路上で酒瓶抱えて寝てたのです……」

「つまり、支払いの段階で酒場にいたのは俺だけだったと」

「そういうことです……」


 アルクレアは申し訳なさそうに俯く。


「そんなに顔しないでくれよ。誰も悪くねえさ」


 裏を返せばみんな悪いのだが。


「それより、迎えに来てくれてありがとうな。この世界にきてから檻に入れられっぱなしだけど、いつもアルクレアが迎えに来てくれて助かってるよ」

「それが私の役目だからね。主の御命に従って、これからはトウマくんが立派な勇者になれるように導くからね!」


 気を取り直してもらえたようだ。


「ああ、よろしく頼むよ。胸張って言えることじゃねえが、正直この世界のことよくわかってないんだ。案内してくれないか」

「うん、任せて」


「あと、金を貸してくれ」

「う、うん。任せて」


 食い扶持を見つけるまで、俺はこの僧侶さんのヒモになるしかないんだよな……。

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