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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第一章 異世界転移編
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フィーリン森林攻略


 フィーリン森林に入った俺達を待ち構えていたのは草や虫系のモンスター達だった。


 勿論、降りかかる火の粉として俺はなぎ倒していく。

そして、前回とは違うのは…。


「《ファイアボール》!」


 メリルが火属性の魔法技能(マジカル・スキル)…。《ファイアボール》で俺を援護してくれる事だ。


 前回、イズルリの街で今回のクエストに向けて、装備を整えていた時に技能(スキル)屋を見つけ、そこでこのファイアーボールの技能(スキル)書を見つけ、購入した。



 ラインバルクで技能(スキル)を覚えるには、敵を倒してレベルを上げ、新たな技能(スキル)を開放するか、技能(スキル)屋で技能(スキル)書を購入し、使う事だ。


 しかし、技能(スキル)書の使用はその職業(ジョブ)にあった技能(スキル)しか覚える事はできない。


 つまり、無職《ジョブ無し》の俺にはどれを買ったとしても、宝の持ち腐れってワケだ。


 でも、これでメリルのレベルもガンガン上がる…。


「やった! やりましたよ、アルトさん!」


「周りの木々を焼かない様に気を付けろよ」


 漸く戦う事ができ、メリルも嬉しい様だ。

 それでいいのか、女神さん…。


 俺達はモンスターを倒しながら、奥に進む。大分進んだが、まだ先がある様だな…。


 それにしても…そろそろ、声をかけてもいいかな。


 俺は立ち止まるとメリルが首を傾げ、足を止める。


「どうしました、アルトさん?」


「こそこそしてないで出てこいよ」


 俺は勢い良く、振り向く…。すると、少しして紫髪の女性が木の影から出てきた。


「あら? 私に気付いていたの? 索敵用の技能スキルも持っていないのに」


 余裕の笑みを浮かべる女性に俺はリボルバーガンの銃口を向けると、これまた余裕そうな顔で両腕を上げる。


「バレバレの尾行じゃなかったら、気がつかなかったかもな」


「うーん、尾行スキルはまだまだって事ね」


 銃口を向けられているというのに微動だにしない女性に俺は眉を顰める。


「アンタ…何者だ?」


「私はガルナ・シリング。冒険者兼情報屋よ」


「情報屋? アンタが…?」


 ガルナ・シリングと名乗った彼女はコンディションブレスのステータス画面を見せてくる。


 捏造していない限り、本物か…。


「冒険者兼情報屋ね…。そんな器用なお姉さんが俺達に何の用だ?」


「あら、お世辞がうまいのね! …ただ、情報屋として貴方達に興味があったのよ。麻生 アルト君、メリル・シーニングちゃん」


どうして私達の名前を⁉︎ とメリルは驚くが、俺は冷静に聞き返す。


「アンタも昨日の冒険者支援施設にいたんだろ?」


「ご名答! 無職(ジョブ無し)のアルト君がどういう人間か、見ておきたくてね」


「だから、コソコソと尾行していたってワケか」


 俺はリボルバーガンをしまうとガルナも両腕を下ろす。


「ごめんなさいね。見ず知らずの私にパーティを組もうって言われても組んでくれないと思ったの」


「それで? 尾行対象の俺達に見つかって、アンタはこれからどうするんだ?」


「良ければ、私もパーティに入れてくれないかしら?」


 尚も俺達の様子を見たがるのか。…肝が座ってるな。


「そ、そんな! 信じられません! 後ろから狙われたりする可能性もあります!」


 メリルは完全にガルナを信用していない様だな。


「…いいぜ。もし、後ろを狙うなら、相手をするまでだ」


 まさかの俺の了承にメリルは大いに驚き、ガルナも一瞬だが、眉を動かす。


「へえ、貴方も肝が座っているのね。少しの間だけど、よろしくね」


 俺は警戒しながらも握手をした。

 そして、俺達は三人パーティで先に進む事になった。


 進み出した数十分後…。

 俺達は数十体程いる蜂のモンスター《ビーソルジャー》に襲われていた。


 コイツら、集団で襲ってくるから、面倒なんだよな…!


 俺はメタルソードとリボルバーガンでバッタバッタと《ビーソルジャー》を薙ぎ払っていき、メリルもファイアボールで援護してくれた。


 …何だが…。


「お〜! 凄い、凄い!」


「そう思うなら、アンタも少しは戦ってくれないかな⁉︎」


「私のレベルは30だからね。貴方達はまだ10未満だから、少しでもレベル上げをさせてあげようと思って!」


「嘘つけ! 自分が楽したいだけだろ!」


 バレた? と舌をぺろり、出して腹の立つ笑みを見せてくる。額を撃ち抜いてやろうか。



 《ビーソルジャー》を全て倒した俺達はついに一番奥にまでたどり着いた。

 目の前には大きな一本の木がある。


 その木には銅のリンゴが幾つか生っていた。


「銅のリンゴ…ありました!」


「見つけたのはいいけど、本当の試練はここからよ」


「ああ、わかってる」


 俺の考えが正しければ、あの巨大な木は…モンスターだ。俺の考え通り、巨大な木に両眼が現れた。


 巨大な木のモンスター《アークウッド》…。

 やはり、情報通り…銅リンゴは《アークウッド》が守っているんだな。


 《アークウッド》は俺達に気付くと、目をギロリと動かし、周りの地面から複数の根らしきモノを出す。


 そしてその複数の根の先端は鋭く尖り、俺達に襲いかかる。


 根の攻撃を跳躍で避け、俺は《アークウッド》に接近し…メタルソードを振るう。


 しかし、それは根に防がれる。一度、《アークウッド》から離れ、睨み付ける。


 あの、根っこ…邪魔だな…。

 かくなる上は…!


「メリル! 《ファイアーボール》で援護頼めるか?」


「わかりました!」


 俺の指示に従い、メリルは《ファイアーボール》を繰り出す。


 それを《アークウッド》は根で防ごうとするが、火には敵わず、根は燃え出してしまう。


 負けじと《アークウッド》は葉を鋭くさせ、メリルに向けて、弾丸の様に複数放つ。


「そろそろ私も動こうかしら!」


 しかし、メリルに向けられた葉による攻撃をガルナが大型ランスで全て弾いた。


「アルト君、倒すなら今よ!」


「言われなくても!」


 俺は勢い良く駆け出し、《アークウッド》に向かって跳躍し…メタルソードで枝を全て斬り落とした。


 枝と共に生っていた銅のリンゴもボトボト、と地面に落ちていく。

 さらに空中で回転して、《アークウッド》を縦に斬り落とした。


 そして最後に、《アークウッド》の額部分にリボルバーガンの銃口を当てた。


「じゃあな!」


 そのままトリガーを弾き、フィーリン森林に銃声が響いた。

 銃弾を受けた事により、《アークウッド》は絶命…そのまま消滅した…。


 軽く息を吐いた瞬間、メリルの嬉しそうな叫び声が聞こえた。


「アルトさん! 銅のリンゴを回収しましたよ!」


 銅のリンゴを俺に見せてくる。その横ではガルナも微笑んでいる。


「よしっ! 帰るぞ!」


 一仕事終え、俺達はイズルリの街へ戻ろうと足を進める。


 戻る時は不思議とモンスターに襲われる事はなく。順調に出口付近まで戻って来れた。


「戻ってくる時は楽でしたね!」


「…何か、不自然じゃない?」


 ガルナは辺りを警戒している。レベル30の情報屋も鈍いんだな。


「…おい、待ち伏せしているのはわかっているぜ。出て来いよ」


 俺の言葉にメリルとガルナはえ? という顔で俺を見る。


 すると、俺の声に反応したのか、1人の女性が物陰から出てきた。


「待ち伏せに気がつくとはやるわね。初心者さん」


 物陰から出てきた赤毛の女性は不敵な笑みを浮かべながら、俺達三人を獲物を見つけた蛇の様な目で見回して来た…。


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