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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第一章 異世界転移編
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助太刀


 イズルリの街を目指している俺達…。

 だが、進む先でモンスターに襲われている。


 ー《ファングウルフ》…。


 この付近に現れる狼型のモンスター。

 レベルはそこまで高くなく、初心者冒険者でも倒せる。


「これでラストォッ!」


 俺は複数の《ファングウルフ》に囲まれていたが、これを退け、残る一体もメタルソードで斬り裂いた。


 斬り裂かれた《ファングウルフ》は絶命し、地面に倒れ、暫くすると消滅する…。

 すると、俺やメリルに経験値が与えられる。


 この世界…ラインバルクでは、モンスターを倒すと、経験値が手に入り、レベルが上がるというまさにゲームの様なシステムがある。


 他にもアイテムや合成素材などもドロップする事があるようだ。


 イズルリの街を目指してから、現在までで俺のレベルは6まで上がる。

 おかげでありきたりだが、いくつかの攻撃技能(アタック・スキル)を手に入れる事も出来た。


 まず、剣系で扱える攻撃技能(アタック・スキル)…。《スラッシュ》と《パワースラッシュ》だ…。


 《スラッシュ》は通常攻撃よりも切れ味が上がり、《パワースラッシュ》はさらに敵を吹き飛ばす効果を得る。



 次に銃系で扱える攻撃技能(アタック・スキル)…。《ブラスト》と《パワーブラスト》だ。


 《ブラスト》は通常攻撃よりも弾丸の速さが上がり、《パワーブラスト》は貫通効果を得る。



 後は、素手で扱える攻撃技能(アタック・スキル)…。《パワーパンチ》と《パワーキック》、それと《スピンキック》だ。


 《パワーパンチと《パワーキック》はそれぞれ、パンチとキックが強化され、《スピンキック》は回転蹴りを浴びせる事が出来る。



 対するメリルのレベルは3で、《ヒール》以外、他の魔法技能マジカル・スキルも覚えていなかった。


 この世界では敵に攻撃を与えたり、倒したりした者に多くの経験値が入る様で、回復や援護攻撃をした者には少ししか、経験値が貰えない仕組みだ。

 勿論、何もせず、見ているだけの者には戦闘の場に居合わせても経験値を貰えないようだ。


 メタルソードを鞘に収めた後、軽く息を吐き、後方にいたメリルに視線を移す。


「怪我はないか、メリル?」


「はい! 全て、アルトさんが倒してくれたので、まったくもって無傷です!」


 グッドポーズを見せつけてくるメリル。

 実はこの世界の名前はアルトで、漢字ではないので、カタカナにしてもらった。


「だんだんレベルも上がって来たから、メリルの《ヒール》も必要なくなってきたな…」


 もう一撃がそこまで喰らわないから、《ヒール》の必要もないしな。


「じゃ、じゃあ…! 私はお役御免という事ですか⁉︎」


「いや、誰もそんな事言ってねえだろ…」


 イヤ〜!、と両腕で頭を抑えるメリルに俺はため息混じりにツッコミを入れる。


 確かにこのままじゃ、メリルのレベルも一向に上がらないし…。

 それはそれでメリルが狙われれば、面倒になる…。


 早く街に行って、クエストを受けないと…。

 俺達はさらに進み…暫くすると街が見えてきた。


「あっ! アルトさん、あれがイズルリの街です!」


「そんじゃあ、とっとと行くとする…「キャァァァァァッ!」…ッ⁉︎」


 俺の言葉が何処かから聞こえた悲鳴にかき消された。声からして、女性…?


 俺は辺りを見渡すとそこに一人の青髪の女性が複数の《ゴブリン》に襲われかけていた。

 それを見た俺はいてもたってもいられずに駆け出す。


「あっ、アルトさん!」


 遅れて、メリルも俺の後を追う…。


 



 ーー《ゴブリン》の集団に襲われそうになっていた女性は恐怖に囚われていた。


「い、いや…怖い…誰か、助けて…!」


 恐怖に歪んだ女性の表情を見て、《ゴブリン》達は下品な笑い声を上げる。

 その笑い声に女性はさらに恐怖を覚える。


 ジリジリと《ゴブリン》達は女性に詰め寄る…。もうダメ、と女性は諦め、目を閉じ、顔を逸らしたが…。


「《パワーパンチ》!」


 俺の声と《ゴブリン》が殴られた音を聞き、目を開けた。


 《パワーパンチ》で《ゴブリン》を一体殴り飛ばした俺は女性と《ゴブリン》の間に立つ。そして、視線だけを後ろの女性に向ける。


「大丈夫か?」


「あ…はい! ありがとうございます!」


「礼を言うのはここを切り抜けた後にしてくれ! メリル、その人を頼むぜ!」


「わかりました!」


 いつの間にか来ていたメリルに女性を任せ、俺は再び、《ゴブリン》達に視線を戻した。


 《ゴブリン》達は突如として俺とメリルが現れた事に驚き、邪魔された事に対して、怒りの表情を見せる。そして、《ゴブリン》達は一斉に俺に襲いかかって来た。


 俺は鞘からメタルソードを抜き、襲いかかってきた《ゴブリン》達を《スラッシュ》で斬り裂いていく。

 中には盾を所持していた《ゴブリン》も一体いたが…。


「吹っ飛べ!」


 《パワースラッシュ》で上空に斬り上げ、それに合わせ、跳躍した俺は《スピンキック》で《盾ゴブリン》を地面に蹴り落とした。


 さらに俺を見上げていた《ゴブリン》三体にリボルバーガンの銃口を向け、《パワーブラストを》発動して、三発発砲した。


 その三発の弾丸は三体の《ゴブリン》の肉体を貫き、《ゴブリン》達は消滅していく。


 最後…!

 残りの《ゴブリン》をメタルソードで斬り裂き…《ゴブリン》達は完全に消滅した…。


 俺は増援がないか、軽く警戒し…警戒を終えるとメタルソードを鞘に収める。視線をメリルと女性に移し、2人の下にへと足を進める。


 俺が着いた所で女性はメリルの手を取り、ゆっくりと立ち上がり、俺に頭を下げてきた。


「危ない所を助けて頂き、ありがとうございました!」


「気にするなよ。困った時はお互い様だろ?」


 俺の言葉に女性は顔を上げるとニコリ、と笑顔を見せた。


「私はあのイズルリの街で冒険者支援施設の受付をしています! ルル・ニカーターと言います」


「俺は麻生 アルトだ。…こっちはメリル・シーニングだ」


 ルル・ニカーターと名乗った女性は手を差し伸べてきたので、俺もメリルの分まで自己紹介をして、握手をする。


「アルトさんもメリルさんですね。お二人はどうしてここへ?」


「実は俺達もイズルリの街を目指していたんだ。そこで《ゴブリン》達に狙われているアンタを見つけて、助太刀に入ったってワケだ」


「そうだったんですか。それなら、一緒に行きませんか?」


「もう目と鼻の先だけどな。…メリルもそれでいいな?」


「はい! 構いません!」


 俺達はイズルリの街へ入った…。


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