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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第一章 異世界転移編
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ジョブ無し


 真っ白な女神空間を抜けると周りには青空と白い雲…そして、眩しいほどの日差しが照らされる太陽が見えた。


 いい眺めだ…いい眺めなのだが…。


「イヤアアアァァァッ‼︎」


 俺とメリルは絶賛空から落下中なんだよな、こん畜生!


 しかも大声を発する事しかしないメリル。

 女神の力はどうしたよ!


「おい、メリル落ち着け! 今、女神の力の発動のチャンスだろ!」


「私そこまでの力を持ってません!」


「使えねえな⁉︎」


「そもそも転移した時点で女神の力なんて使えませんよ!」


 規制とか掛かるのかやっぱり…。


 …って、納得している場合じゃない! どうにかして、落下を防がないと…!


「メリル! お前も転移特典はあるのか⁉︎」


「え…あ、あります!」


「じゃあ、とりあえず使ってくれ! 何か起こるかも知れない!」


 俺の言葉に頷き、メリルは目を閉じた。


 すると、メリルの身体がみるみる小さくなっていき…。小さな妖精になった。


「やあっ! …あ、あれ? 小さくなっちゃいました…。それにこの姿は…妖精?」


 おー! 凄え! 小さな妖精になる特典か!

 それに羽も生えたから安心…じゃねえよ!


「オイィィィッ⁉︎ 何さらっと自分だけ助かってんだよ⁉︎ 早く助けろよ!」


「は、はい!」


 小さな羽を羽ばたかせ、メリルは俺の服の袖をこれまた小さな両手で掴む。


「た、助かった…」


 これで落下を防ぐ事が出来たな…。


「うっ…うぅぅぅぅっ…!」


ん…? 何か、メリルから呻き声が聞こえて来る…。

それに、少しずつだが、下がって来ているぞ?


「メ、メリル…?」


 お、おいおい…まさか…!

 俺がメリルを見上げようとした時だった…。


「重い…もう、ダメです…!」


「ちょぉぉぉぉぉっ⁉︎」


 手が離され、俺はまた勢い良く落下し始めた。


「メリル、てめえ覚えてろよォォォォォッ!」


 って、叫んでる場合じゃねえ! 何か、落下阻止できる手段はないか…?


 俺の持ち物は…リボルバー銃と剣…しかない! いや、ここが異世界なら、魔法が使えるはず!


 …魔法って、どう使うんだよ⁉︎


 もう地面が目の前だ…本気でヤバイ! そ、そうだ…!ここでこそ、特典の出番だ!


「特典、発動だ!」


 両腕を斜め上に向けたポーズを取ったが、何も起こらず、俺は地面に激突し…俺型のクレーターを作った…。


「あ、或都さんー⁉︎」


 メリルがゆっくりと降りて来て、俺型のクレーターを覗き込んでくる。


 俺は勢い良く、立ち上がり、小さなメリルを掴んだ。


「おい! 何離してくれてんだよこのダメ神がァッ!」


 俺の鬼の形相を間近に受け、メリルはヒィッ、と恐怖を覚える。


「だ…だって、重かったんですもん…」


「だからって、容赦なく離す奴があるか! 危うく今度こそ死ぬ所だったんだぞ!」


 …まあ、生きていたけど…。


「で、でも…生きていたのですから、良かったじゃないですか! バッチグーです!」


「全然、バッチグーじゃねえんだよ!」


 俺はメリルを掴んでいた手を動かし、グラングラン、とメリルを揺すり、メリルからは言葉のわからない悲鳴が聞こえてくる。


 暫く揺すった後、俺はメリルを離すと、メリルは元の姿に戻る。


 彼女の服装は魔法士の様なモノだった。そして、俺も冒険家の初期装備の様な服装だ。


「それにしても…俺、よく無事だったな」


「転移特典の身体能力向上が効きましたね」


 成る程、特典の一つで助かったのか。


「メリルは俺の特典が何か知っているのか?」


「はい! 駆け出しでも女神ですから!」


 じゃあ、そろそろ聞くか…俺の特典の内容を。


「俺の特典って…身体能力向上以外に何があるんだ?」


「まずはカバンをイメージしてください」


 カバン…?

 メリルの言われた通りにカバンをイメージすると目の前に鞄が現れた。


「それは無限鞄(インフィニティバッグ)…その名の通りに無限にアイテムなどを入れる事が可能です」


 無限鞄(インフィニティバッグ)…厨二臭い名前だが、すごいモノだな。


「それと、或都さんが持っているメタルソードとリボルバーガン…以上が特典の内容です」


 …ん? ちょっと待て。


「は⁉︎ それだけ⁉︎」


「はい。これだけです」


 マジかよ!


「嘘だろ! もっとこう…チート級の能力とかないのかよ!」


「チートを持っていても面白くないとのイネスさんの考えです!」


 イネスゥ…! 今頃、笑顔であろうイネスを若干恨みながらも、俺は息を吐く。


「はぁ…。まあ、この世界で強くなればいいか。…所で俺やメリルの左腕に付いているこのブレスレットは何だ?」


「コンディションブレスです。これで今のレベルとステータス…そして、名前と職業を見る事ができるんです」


 え〜と…コンディションブレスをタッチすると、ステータス画面が表示されるんだよな。


 俺はコンディションブレスをタッチするとステータス画面が表示される。


 麻生 アルト…。それがこの世界での名前か…。


 ステータスは物理攻撃力、魔法攻撃力、物理防御力、魔法防御力、敏捷力、回避力が表示されていた。

他にも疲労度や空腹度などの表示されている。


 HPやMPの様な表示はないんだな…。それから職業は…ん? 何も書かれてない…?


「メリル…名前の横の職業…何も書かれてないんだけど?」


「え…? わ、私は魔術士と書かれていますが…」


 メリルのステータス表示を覗かせてもらう。

 名前、メリル・シーニング…確かに名前の横に魔術士と書いてあるな。


 どうやら、この世界の職業は戦い専門の剣士、銃撃士、拳闘士、盾士、魔術士、槍撃士、斧爆士の7つと支援専用の錬成士、鍛治士の2つが存在する様だ。


 メリルは暫く考えた後、何かを思いついた様に顔を上げた。


「もしや…無職?」


 む、無職…⁉︎


「はい。職業のない人の事です。そこまで珍しくはないですが…」


「…冒険者としては?」


「…いません」


 やったー!初めてのジョブ無し冒険者だー! って、喜べねえよ!


「マジかよ⁉︎ ますます、戦闘に向いてねえじゃん!」


「…確か、この世界では職業によって、強力な技能(スキル)を得る事が出来ます」


 え…って事は…。


「俺…ありきたりな技能(スキル)しか覚えられないって事か⁉︎」


「そ、そうなります…」


 はぁ…異世界転移…うまくいかないモノだな…。


「なあ、メリル。お前魔術士だろ? どんな魔法技能(マジカル・スキル)持っているんだ?」


 この世界では物理攻撃魔法の物理魔法(フィジカル・マジカル)と間接攻撃魔法の間接魔法(インダクト・マジカル)、回復やバブ効果などを与える支援魔法(サポート・マジカル)が存在する。


「今のところはヒールだけですね」


 現段階で銃弾のスペアもないし回復系のアイテムもない。ここでメリルのヒールは強いな。


「兎に角、街へ向かうか。…ここから一番近い街は?」


「イズルリの街ですね」


 じゃあ、そこに向かうとするか。

 俺達はイズルリの街へ向かい、歩き出した…。


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