後継者
あれから、自室に戻り【シルバーデビルの日誌】を読み始めた『魔王』は笑っていた。
「まさか後継者が自らやって来るとはな! 我々は何て運がよいのだろうか!!」
【シルバーデビルの日誌】でシルバーデビル少年は不老不死能力に対して絶望しており、魔女氏を危険視しているといった旨が記されていた。『魔王』にとってビンゴである。
これほどまでにナイスな後継者はいない。自分の意志を受け継ぐ資格がシルバーデビル少年にはあると、日誌により『魔王』は確信していた。
「ふぅ~、なかなかどうして。同士が増えるというのは喜ばしくも悲しいかな。少年には【正しい死に方】を伝授しなくてはならないが、その前に『覇王』を呼ばなくてはな」
『覇王』とは『魔王』の親友である。
「ハオ……応答してくれ」
〔念じ〕能力にて『覇王』にコンタクトをとる『魔王』。ちなみにハオとは『覇王』の名前だ。
「んー、どした?」
「ハオ……後継者を見つけたぞ」
「何だって?」
「後継者が見つかった」
「………マジ?」
「ああ、正確に言えばやって来ただな」
「今からそっちに行くから、ついたら詳しく聞かせろよ!」
「ああ、待ってるぞ」
『覇王』の到着をいまかいまかと待つ『魔王』だったが、しばらく時間が経ち眠ってしまっていた『魔王』を『覇王』が叩き起こす。
「おい」
「スヤスヤ」
「おい!」
「ムニャムニャ」
「起きろってば!」
「ヒヒッ」
ボカッ
「なっ、何だ!?」
「ようやく起きたか」
「ハオか! って痛いわ!」
「うるせー寝ぼすけ」
「お前が遅かったからじゃないか!」
「はいはい。そんな事はいいから、早く後継者とやらについて教えてくれ」
「そういえばそうだったな。まずはコレを読んでみてくれ。話はそれからだ」
「わかった」
こうして『魔王』に続いて『覇王』が【シルバーデビルの日誌】を読み出したのだ。