日常?
「ひどいよぉ・・・・・・如月さんの裏切り者ぉ・・・・・」
涙目で私に訴えてくる神恵さんは子犬のようだ。
だがしかし、私の辞書には同情なんて言葉は載っていないのだ。残念だったな。
私が登校すると神恵さんは既にぐったりしていた。
どうやら、彼女は捕まったらしい。
私は「はは!ざまぁ!!」と言う言葉はそっと胸にしまって
「残念だったね。」と棒読みで言った。
私は鞄を机の横にかけると財布を持って席を立った。
「あれ?どこいくの??」
私は何でお前に言わなければならない。と思いつつ行き先を告げた。
「・・・・・・売店。」
「え?なんで??」
訳わかんない。と言う風に聞いてくる神恵さん。
別に分かんなくてもいいよ。関係無いしね。
私は神恵さんの疑問に答えず教室を出る。
「・・・・・・・なんで、付いてくるの?」
「え?友達だから?」
「・・・・・・・・・・。」
誰と誰がだ。
いつ友達になったって言うのか、教えて頂きたい。
あぁ、こう言う人は『話した人は皆友達』的思考回路を持っているのか。
非常に残念な部類だ。同情するよ。うん。
「そんな顔しないでよ。」
満面の笑みで私に笑いかける神恵さんは天使のようですね。
何処か私ではない誰かにその微笑みをお与え下さいまし。
そんな事を考えていると売店に着いた。
「すみません。」
「はいはい。どうしたの?」
「ジャージを頂きたいのですが・・・・・」
「ジャージね。サイズは?S?2700円だよ。」
私は三千円渡した。
お釣りを貰ってからいつ頃届くのかを聞き、礼を言って教室に戻る。
「買い替えないとやばいくらいやばいの?」
・・・・・・日本語で話せ。やばいくらいやばいって何だ。
「・・・・・まぁ、それなりに。」
私は適当にかえしたが、それなりに、なんてもんじゃない。
ジャージはボロボロだった。
買い替えないといけないくらいには・・・・・・・・・
くそぅ・・・・・犬っころめ・・・・・・・・・末代まで祟ってやる・・・・
私は密かに『犬っころ~藁人形で後始末☆~』計画を頭の中で練りながら教室に戻った。
一時間目が始まる。
私の日常は戻ってきた。そう思った。
思っただけだった。




