『穿った見方』 それ、穿って見てない。疑って見てるんや
今日も僕は小説を書く。
いつか商業作家として活躍できるような輝けるスーパー売れっ子作家に!
その為にも毎日少しずつ小説を書きためる。
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『お前が本当にこいつを倒したのか……?』
『信じられませんか』
『お前みたいなひょろいのがAランクの魔物を倒せるわけねえだろう』
ギルドマスターはどうやら僕の見た目が弱そうに見えるからと穿った見方をしているらしい。
ひょっとして僕とギルドマスターの実力差が離れてるからか?
そうだったら冒険者ギルドも底が浅いな。
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「ちょーっとまっえーっくしょん!!」
「うわっ!鼻水ついた!汚い!!」
僕は後頭部にレッコンの鼻水を浴びた。
批難の視線を向けるがレッコンは目を逸らし口笛を吹く。
「そんなことより、誤用してるよ!」
「そんなことよりって……、で、どこどこ?」
「穿った見方、これの使い方間違えてるよ」
「え? 穿った見方って疑ってる時に使う言葉じゃないの?」
レッコンはノンノンと呆れた様に尻尾を振る。
レッコンの態度に僕の防御力が一段階下がった。
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『穿った見方』
『捻くれた』『物事を浅く見る』『疑り深い』という否定的な意味に使われがち。
実際は肯定的な意味で、物事の本質を捉える様な見方や見解、掘り返すようなほど的確に癖や欠陥を指摘する。
『詮索』に近い意味があります。
『穿つ』が『疑う』に音が近かったから生じた誤用?
例)君はすごく穿った見方をするね。おかげでミスに気付けたよ。ありがとう。
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「そうだったのか」
「そうだったのです。君も小説家を目指すなら『穿った見方』をしないとダメだよ」
「……はい」
僕は頬を叩いて気合を入れた。