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雪時計  作者: るーぷ
サーカス団の旅
20/20

第十九話

「ベトとパーシィはここの部屋を使っていいって」

 夕食の後に連れられたのは『メイン』の部屋の一つだった。


「じゃ、遅いからもう寝た方がいいね、そうだよね」

 トールはにこにこしながら無邪気に言う。

「あ、ああ。そうする……」

「じゃ、おやすみ」

 トールはそう言って扉を閉めた。



「もうそろそろ次の街に行こうと思うんだ。いいよね」

 次の日の朝。

 この街を離れることを突然ジョーカーは告げた。

「ね、その方がいいでしょ?」

 クロスの方を向いてジョーカーは微笑む。

「ああ。なるべく早く南の方に行きたいからな」

「じゃ、今日は……バランス、トール」

 呼ばれた二人は立ち上がり、頷く。


「じゃ、代わりにベトレイヤル。君が綱渡りしてね」

「お、俺が……!?」

「嫌なら追い出すよ」

 ジョーカーは微笑んではいるが、本気だ。

「大丈夫、君ならできるよ」



 まあ、それから色々あって、なんとか俺は無事に終えた。

 そして、その夜。

「はい、みんな準備できたね~。行くよ」

 サーカステントをたたみ、2台の馬車にメインのメンバーが乗り込み、残りは道具を入れた荷台を引きながら歩く。

 何日も進み続けようやく次の街に着いた。



 ただ、着いてから様子がおかしい。

 メインに限らず、サブやノーネームの奴らまでも。

 テントは建て終わっているのに、一向に公演しようとしないのだ。

「んー、まあ、忙しいんだよ。ほら、練習しておいてね」

 ジョーカーは微笑みながらそう言うだけだった。



 そして、その夜。

 クロスは物音で目を覚ます。

 何やら、外が騒がしい。

「クロー? どうしたの?」

 シェーラが目を擦りながら問いかける。

「分からない……」

 クロスは少しだけドアを開けてみる。

 すると、パタパタとメインのメンバーが忙しそうに走っていくのが見えた。

「もしかして、準備してるのかなぁ?」

 シェーラがクロスの下で同じように外をのぞいていた。

「シェーラはここにいろ。俺が見てくる」

 クロスはそう言って部屋を出た。



 サーカス団員は全員出ていくようだったので、後をつける。

 そして、街外れの一軒家にだどりついた。

「ねえ、気付いているんだよ」

 ジョーカーの突然の呟きにクロスは息をのむ。

 しかし、次の瞬間だった。

 周りが赤く燃えるように明るくなった。否、燃えていた。

「やっぱりね。君、相当の実力者でしょ?」

 ジョーカーはいつもの口調で言っていた。

 その手には白く輝く光をともして。

 そして、彼は叫ぶ。

「行けっ!」


 その声で、しっている仲間達が殺人鬼に代わるのを俺は見た様な気がした。

 そして、その中には――。

「嘘……だろ」

 いるはずの無い、ヴェガ達の姿があった。

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