第十六話
「君達を採用してあげてもいいよ」
ジョーカーはあっさりと言う。
「ただし、俺は君達を養うつもりはないよ」
「じゃ、どうすれば……」
「ま、一回見てみなよ。俺のサーカス」
ジョーカーはそう言い、テントの中に引っ張っていく。
「あ、ジョーカー。誰? その子たち??」
小さな女の子が不思議そうに首をかしげている。
フードをかぶっていて表情は分からなかったが。
「彼らは特別なお客さん。そして……仲間になるかもね」
すると、きゃきゃと女の子ははしゃぐ。
「仲間……家族だね! 嬉しい! いっぱい増えるね、ジョーカー!」
「うん、そうだね」
ジョーカーはにっこり微笑んで答える。
女の子はあ、と声を上げる。
「もうそろそろ出番だ! お客さん、楽しんでいってね!」
そう言うと、パタパタと可愛らしく走っていった。
「あの子も……団員ですよね?」
「ああ、そうだよ。まだ、幼いけどここでは実力主義だからね。あ、始まるよ」
ジョーカーに指定された場所にクロスとシェーラは座る。
すると、明かりが消えて何も見えなくなる。
『さあ、お集まりの皆さん。
一時の夢の世界へようこそ』
声が響き渡り、仮面をつけた青年が舞台上に現れる。
「あれは……ジョーカーさん?」
シェーラが呟く。
「多分な……」
おそらく団長である彼が一番初めのあいさつをするのは当たり前なのだろう。
ただ、そこに立っている青年の纏って雰囲気が違う様な気がした。
「わぁ、すごいっ」
シェーラの歓声でクロスは現実に戻される。
舞台では先程の少女が綱渡りをしていた。
「そう、彼女はすごいんだ」
後ろから声がして、振り返る。
「ジョーカーさんっ!」
にこにこと笑いながらジョーカーが観客席に座っていた。
「で、君には覚悟がある? 競争を勝ち抜いて、生き残る自信が?」
クロスにジョーカーは問いかける。
おそらく、シェーラの体調を知った上で聞いているのだろう。
シェーラに苛酷なことはさせられない。
しかし、他に道がないのなら。
クロスはジョーカーをにらみつけ、口を開いた。
「俺が……二人分、活躍します。だから、連れていってください」
君を守るためならどんな犠牲を払ってでも。
君の願いを叶えるためなら、命だって惜しくない。
クロスの性格が安定しない……。




