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雪時計  作者: るーぷ
最後の幸せな時
11/20

第十話

この前の逃走中も面白かったですね~……って、関係無いですけど。

そのうち、オリキャラ等々を混ぜて書きたいなぁ、とは思ってますが。

「ほらよ」

 シェーラの部屋に入り、クロスは買ってきたそれを軽く投げた。

「ふぇ!?」

 いきなり投げられたので、シェーラは受け取れずに床に落とす。

「あ、ごめん……」

 シェーラは急いで拾い上げ、袋を開ける。

 そして、嬉しそうに微笑み、袋の中の一つを口に入れた。

「美味しい……ありがと、クロ」

「って、俺は買ってきただけだけどな」

 しかし、シェーラは首を横に振る。

「クロが美味しい、って思えるものを食べられるのが嬉しいの」

 クロスはドキリ、とする。

 シェーラの食べているそれが何なのかすら分からない。

「あ、ああ……そうか」

 そう言った瞬間、右手に鋭い痛みが走った。

 苦痛にクロスは一瞬顔をゆがませる。

「どうしたの?」

 心配そうにシェーラがクロスの顔を見つめる。

「何がだ?」

 シェーラに心配かけるわけにはいかない。クロスはそれだけだった。

 クロスにそう言われたシェーラは、何も言えない。

 何が、と聞かれたら、あれは見間違いだったのだと思うしかない。


「じゃ、俺はもう部屋に戻るぞ」

「うん、ありがと」

 シェーラは笑いながら、言いお菓子を食べた。



「――っ……」

 クロスはシェーラの部屋を出て、壁に左手をつきなんとか体を支える。

 そして、自分の部屋に向かって体を引きずるように歩き始めた。

 右手だけでなく痛みは広がって、右半身が熱を持っているようだった。

「無様な姿ですね」

 頭上から声がし、顔を上げるが目の前には誰もいない。

 確かに、あいつ……ウェガの声がしたはずなのだが……それすらも幻聴だというのか?

「こっちですよ」

 さらに上から声がする。クロスは恐る恐る顔を上げた。

 すると、天井に穴が空いていて、そこからヴェガが顔をのぞかせていた。

「何をしているのです。クロス」

 クロスは何でもないように右手を隠す。

「なんでもねぇ――」

「見せなさい」

 ヴェガはクロスの隣に降りて、右手首を掴む。そして、無理やり手を開いた。

 クロスの右掌は赤くなっていて、特に中心部分が酷く膿んでいた。

「一体これは何ですか」

「しらねぇよ」

「では、来てください」

 無理やりクロスは手を引かれ、廊下を進む。

 そして、一つの部屋に入れられた。その部屋はシンプルな作りの書斎の様だ。

 あるのは一つの窓に黒いデスク、それに大量の本だけだった。

「なんだよ、ここ……」

「私の部屋です。いいからそこに座りなさい」


 クロスはしぶしぶ座る。ヴェガはほんだなをガチャガチャあさる。

 折角、綺麗に整頓されていた棚がめちゃくちゃだ。

 ヴェガは漁り、かき集めながら電話をかける。

「ああ、今すぐ来れるか……。頼む」

 手短に話し、クロスの座る椅子の前に来て跪く。

 無理やり、手を掴み掌に黒い液体を染み込ませた布を巻いていく。

「――っ!」

「いいから黙っていろ。何でそうなったのか分からないから一応万能薬を塗っておいた」

 ヴェガは手際よくクロスの右手に布を巻いていった。

「……手際、良いな」

「当たり前だ。私はお嬢様の保護者の様なものだ。いざというときこれぐらい出来なくてどうする」

 ヴェガは顔も上げずに答えた。

 なぜか、クロスにはそう言うヴェガの口調がさびしく聞こえた。

「なんか、お前って……」

 クロスは一度言葉を切って反応を見るが、ヴェガは何も言わない。

「俺にだけ冷たいよな」

 ヴェガはぴく、と肩を動かす。そして、顔を上げた。

 どうやら、巻き終わったらしい。ヴェガは立ち上がり、布と黒い液体の入った瓶をデスクに置く。

「あ、ありがとな――」

 そうクロスが言いかけた。

 その時、ヴェガの目つきが鋭く、冷たく獣の様だということに気付いた。

 そして、クロスは壁に押し付けられる。

「なっ――!」

「貴方もお嬢様と同じように――」

 ヴェガは怪しく微笑みながら、優しく語りかける。

「それ以上に優しくしてあげましょうか?」


 沈黙が続く。ヴェガはよく分からない瞳でクロスを見つめ続けた。

「冗談ですよ、私も貴方に対して乱雑にしすぎましたね」

 まるで、シェーラに話す様なとげのない口調で言う。

 やはり、こいつは俺のことが嫌いなんだな。クロスはヴェガの顔を黙って見つめた。

「なんです? ああ……分かりましたよ。貴方に対しても今まで以上には優しくします」

 ヴェガは半分諦めた様な口調で言った。

 そうしていると、いきなりドアが開き一人の小柄な少女が中に入ってきた。

一応この作品は、男女シェーラとクロスの純愛をテーマとしています。

間違った方向には進みませんよ!?



……たぶん。

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