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魔導技師商人-魔道具を作って売って世界を旅します  作者: ふみぃ


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9/12

冒険者達

(思い出した、移動に時間かけたくなくて空飛んでたら、魔鳥の()にに襲われて落下したんだった)


「怪我は無いかはこちらの台詞(せりふ)なのだが……」


 初対面の相手に(あき)れられてしまったようだ。


 奥を見ると倒れたままの一人と、警戒(けいかい)したような目でこちらを見る一人がいた。


「あの、状況を説明して貰っても?」


「……、情報交換といこう」


 彼等三人がどうしてこの状況にあったのかという説明を聞き、大体は理解することが出来た。


「なるほど、魔物に追われていたところに俺が()ってきたって事ですか」


「そういう事になる、でらそちらが空から降ってきた理由を教えてもらえるか?」


 これまでの経緯(けいい)()(つま)んで伝えると、今度は眼鏡を外して眉間(みけん)()み始めた。


陸路(りくろ)が遠いから人間大砲をつくり、空を飛び、襲われて落下したと」


 追い払いはしたものの、速度も落ち魔石の結界も消えてしまった。


 そして魔術を使って結界を張り直し、どうにか着地する事が出来たと言う訳だ。


「命知らずだな君は……」


「よく言われます、でも結果人助け出来たのでいい選択だったと思いますよ」


 知り合いにも命を大事に行動しろと怒られることがある為、これでも最大限の気を使っているつもりだ。


「ところで、洞窟(どうくつ)には何か目当ての物があったんですか?」


「目当てというよりは探索(たんさく)が目的でな、洞窟(どうくつ)に入って実戦(じっせん)を行うという課題(かだい)だったのだ」


「もしかして王都の学園の人ですか?」


「いや、そことはまた別の所だ」


 なんとなくで連盟員(れんめいいん)だと考えていたが、そうではないのならば助けを呼んだほうが良いかもしれない。


「良かったら人手を呼びましょうか?かなり疲れてるみたいですし」


 荷袋から口の広い銃を取り出し、それに着いている金属の(かざ)りを見せる。


「君は連盟員か……、二人と相談してからでも良いだろうか」


「もちろん」


(依頼(いらい)としてお金を取られると考えたかな)


 彼等を待つ間に亡骸(なきがら)となった魔物の観察を始める。


 体色は紫で表面を(かた)く細かい(うろこ)(おお)われている、見た目の通り肉食なのか(きば)(するど)く伸びている。


 (あし)は太く大きいため走るのは速そうではあるが、腕は小さく短いため食事の補助程度(補助程度)にしかならないだろう。


 最も注目するべきはやはり首から尾にかけての結晶か、尾の先には特に長い結晶が伸びていて、武器としても有用(ゆうよう)そうだ。


 短剣を取り出し、尾の結晶を切り離す。


 手に取れば少し温かく、かなりの魔力が()められています事が分かる。


 背中側に回って散らかった背中の結晶を拾っては、布袋にしまっていく。


「話はまとまった、救援(きゅうえん)を頼めるか」


 残りは救援で来てくれた連盟員に、報酬(ほうしゅう)として(ゆず)れば喜んでもらえるだろう。


「分かりました、じゃあ待つ間にこれどうぞ」


 荷袋から()き通った緑色の液体が入った丸い(びん)を三つ取り出し手渡す。


「これは?」


魔力回復薬(マギポーション)」てす、信頼(しんらい)の出来る人から買ったやつですから安全ですよ」


 他にも自作の回復薬もあるが、まだ受け取ってもらえるような間からでもないし今は自重(じちょう)しておくとしよう。


 彼が回復薬を渡しに行っている合間に大口銃(おおぐちじゅう)の先から、これまた大きな(たま)を入れて(ぼう)を使って押し込み、天に向かって(かま)える。


「大きな音が出るんです注意してくださーい!」


 警告(けいこく)をしておき、三人が耳を(ふさ)いでから()いた左手と構えた二の腕で耳を塞ぎ、発射する。


 大砲(たいほう)を小さくした程度の音と共に、銃口から赤い弾が飛び出して空高く()け上がり赤い閃光(せんこう)を放った。


「荷台持ってる人とか来てくれないかな」


 不可抗力(ふかこうりょく)とはいえ殺してしまった魔物を、素材だけ()いで放置(ほうち)するのは気が進まない。


 それから程なくして青い光が空に打ち上がった。


「結構近くにいるのかな」


 荷袋から杖と紙、そして本を取り出して起動する。


「どれだけかかるか分からないけど一応冷やしとこう」


 今回使う魔法陣は『冷却(れいきゃく)』と『維持(いじ)』、まず魔物の熱をひんやりするくらいまで下げ、そしてその状態を維持する。


 二種類の魔法陣を紙に刻んでいく。


「それ何やってんだ?」


 倒れていた人も立てるまでに回復したようだ、とはいえまだ休む必要はあるが。


「このままにしておくと腐っちゃうんでその対策(たいさく)を」


「へー、助けてくれたお礼に手伝うぞ」


「本当ですか?じゃこの紙を魔物の頭と胸の辺りに()ってください」


 魔法陣を刻んだ紙を二枚手渡す。


「くれぐれも陣に()れないでくださいね、一瞬(いっしゅん)で眠りにつきますから」


「こ、怖いこと言うなよ……」


 慎重に紙を貼り付ける姿を見届けてから、二枚の紙を背と尾に()り付ける。


(つめ)たっ!」


 効果はちゃっと発揮(はっき)できているようだ。


「その本(すご)いな、ただの紙がこんな効果持つなんてさ」


 ただの紙と言うわけでも無いのだが、今は良いだろう。


自信作(じしんさく)の一つですね」


「え?それお前が作ったのか?」


「助言を貰ったりもしてますけど、一応一人で完成させました」


 実家を飛び出してから始めの方に作ったのを覚えている、あの時は旅しながら魔法陣を(おぼ)えるのが大変で、それで考えついたのがこれだった。


「てことはお前って魔技師なのか」


「そういう事になります」


 魔物の亡骸(なきがら)()れると手にひんやりとした感覚が伝わってくる。


「さて、救援(きゅうえん)がくるまで時間もありますし、自己紹介でもしませんか?」


「いい考えだな、そうするか」


 魔物から離れて、何か会話をしている二人の元へ向かう。


「まずは俺からな、名前はテオ、魔術は苦手だけど剣なら大得意(だいとくい)だぜ」


 活発さを思わせる茶の短髪、背中には剣を背負っている。


「僕の名前はアスト、主に使用する武器は槍、補助(ほじょ)の魔術を得意としている」


 白縁(しろふち)の眼鏡、穂先(ほさき)の青い槍、見た目は知的そうな印象(いんしょう)があ る。


「自己紹介ってそういうものなの?私はクラウディア、得意なのは攻撃的な魔術で、趣味はお菓子作りと庭で花を育てることかしら」


 赤い石が先端に付いた長杖に白を基調に赤い刺繍(ししゅう)が入ったローブ、そして金色の髪を後ろでひとつ結びにしている。


「いや見合いかよ」


「これが普通でしょ!」


 一時的に組んで依頼をこなすだけなら名前と武器、得意な魔術の紹介だけでも十分ではあるが、今回は両方に合わせておこう。


「レイです、魔術は苦手ではないけど普段はあまり使わないようにしてます、主に使う武器は剣と銃で趣味は魔導具作りと錬金術(れんきんじゅう)ですね」


 連盟員であるという事は伝えたし、話すのはこんなところだろうか。


「銃持ってんの!?」


「え?錬金術?魔導技師じゃないの?」


「色々と聞きたいことが一度に増えたな……」


 驚愕(きょうがくと)困惑(こんわく)、一度に情報を話しすぎたかな。


「聞いてもらえれば一つづつ答えますよ」


「じゃあ俺から!銃持ってるってマジ?」


「マジです」


「見せて!」


「良いですよ」


 ()め具を外し銃を引き抜いて見せると、テオの目が見開き輝きはじめた。


「すげー!これが本物か……!」


「そんなに(めずら)しいですかね」


「うちの学園じゃ銃は禁止なのよ、危険だからって」


「なるほど」


 威力が中級には(およ)ばないとはいえ、簡単に魔術が撃てるのは確かに危険か。


「なあなあちょっと持たせてもらっても良いか?」


「もちろん」


 テオに銃を渡すとより一層目を輝かせて、あちこちへと(かま)えと始めた。


「ちょっ、人に向けるんじゃないわよ!」


「すげー!かっけー!」


 安全装置が着いているとはいえ向けられていい気はしないだろう。


 そして不意に空へ向けると、テオは引き金を引いた。


「あれ?弾が出ない」


「安全装置を解除(かいじょ)しないと撃てないように作ってますから」


 銃の向けられた空を見ると、翼の生えた魔物が何体も飛び回っていた。


「なんだ……」


「なんだじゃないわよ!馬鹿!」


 クラウディアが(しか)りつけているが、残念(さんねん)がるテオはただ受け流している。


 返してもらった銃を収めて、しっかりと固定しておく。


「なぜ禁止されているのか、なんとなく分かるだろう?」


「そうですね」


 わざと人を撃ちはしないだろうが事故という物もある、未然に防げるならそれに越したことはないだろう。


「ーーーー」


「ーーーー」


 不意(ふい)(しげ)みの方から話し声が聞こえ視線を向けると、数人の冒険者達が草木を()き分けて現れた。


「連盟の者だ、救援信号を確認して来たがもう解決したのか?」


 代表らしき剣士が銀の板を取り出して掲示(けいじ)する。


「救援をありがとうございます、状況(じょうきょう)は俺が説明します」


 連盟証を見せてから、今に(いた)経緯(けいい)簡潔(かんけつ)に伝える。

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