表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導技師商人-魔道具を作って売って世界を旅します  作者: ふみぃ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/8

楽しい魔導具制作


 村の騎士団詰所(きしだんつめしょ)敷地(しきち)に戻り、建物の裏側へ行くと施錠(せじょう)された扉があった。


「お邪魔します」


 鍵を焼き切って扉を開くと、中には幾つかの大鎧(おおよろい)と、(たて)が壁に掛けられていた。


 それぞれに()れて確かめてみるが、これといった魔術が(ほどこ)された様子もない、ただ頑丈(がんじょう)なだけの装備(そうび)であることが分かる。


「これだけあればいけるかな」


 村から少し(はな)れた場所にそれらを運び出し、荷袋から本と杖を取り出して(ちゅう)()かべる。


「よっと……」


 大鎧(おおよろい)を開いて三つを地面に並べ円形を作り、その上にまた三つを乗せる。


「盾を使って身長より少し大きいぐらいかな、『起動せよ』」


 本から接合(せつごう)の魔法陣を発生させ、鎧同士が合わさった部分に()り付けていく。


 そこに杖で()れて魔力を流し込むと、鎧同士が触れた部分が溶け合い一つになった。


「あ、俺の魔力流しちゃった……、まあいっか」


 盾も同様に先の方に付ける。


「角度は……、ここが一番飛距離が出るはず……!」


 余った装備などを支えにして角度を調整し、最後に(そこ)の方へ大盾(おおたて)をくっつける。


「後は魔法陣を(きざ)んで燃料(ねんりょう)を入れる穴を開ければ良いかな」


 一度村へ戻り商人から頑丈(がんじょう)な布を買っていると、上の方に視線が向けられている事に気づいた。


「なあ、あんた髪光ってるぞ……?」


「魔力を使うと光る体質なんですよ」


「聞いたことねえ話だな……」


奇遇(きぐう)ですね、俺も聞いたことないんですよ」


 それこそ最初にこの状態(じょうたい)になった時には結構戸惑(とまど)いはしたが、困る事も特に無いため今ではすっかり慣れてしまった。


「おいおい自分の身体だろ?」


「こうなったのも最近なんですよね、自分的には良い素材にもなるからまあ良いかなって」


「技術系の奴ってやっぱり変わってんだな……」


 すっかり(あき)れられてしまった。


 作業場に戻りくっついた鎧と盾達に様々な魔法陣を(きざ)()んでいく。


「えーと『反発』『加速』『防護』『硬化』、あと音も(おさ)えなきゃか、じゃあ周囲に結界を張る感じにしてと…」


 次に鎧の部分に(くぼ)みを作り、燃料用の程よい大きさの魔石を取り出してそこに()め込む。


「『充填(じゅうてん)』と『停止』と、試射(ししゃ)したいけど|硬い物飛ばすのは危ないよな…」


 布を切って丸めて(つつ)の中に入れ、充填の魔法陣を起動すると、鎧と盾に刻まれた魔法陣達が一斉(いっせい)に輝き出す。


 少し距離を取ると、大砲(たいほう)(つつ)むように結界が現れる。


「準備完了、『発射』!」


 (まばゆ)い光を鎧盾(よろいたて)砲塔(ほうとう)から、轟音(ごうおん)と共に結界に包まれた布が射出された。


 高速で飛び出した『砲弾』、ではなく『砲布(ほうぬの)』は(またた)く間に雲を突き抜け見えなくなってしまった。


「うん、生身(なまみ)じゃ死ぬね」


 砲塔(ほうとう)を確認してみると、少しの(ゆが)みと幾つもの(ひび)が見つかった。


「撃てて後一発かな、よし次は翼だ」


 赤い枝を何本か切り出して真っ直ぐに削ってから強度を上げる魔法陣を刻み、布を()り付けて一対の翼を作り、様々な陣を刻んでいく。

 

「まあ無いよりマシって程度かな」


 もっと細部(さいぶ)(こだわ)りたい所ではあるのだが、素材も(そろ)っていない今の環境(かんきょう)ではここが限界だ。


 背中に背負ってから起動すると、地面に対して垂直(すいちょく)の向きだった翼が開かれ平行(へいこう)に伸びる。


鳥翼人種(ちょうよくじんしゅ)っていうか、虫人?」


 荷袋から商人にあげた首飾(くびかざ)りの残りを出し、それを全て首に掛ける。


「どれも不具合(ふぐあい)は無し、よし行くか」


 張られる結界にバラツキはあるが、どれも中級魔術を数発耐える事は出来る、これで発射時と着地の際の衝撃(しょうげき)(ふさ)いでくれる事を期待している。


「あっそうだ」


 村に戻り村長から赤い植木鉢(ふえきばち)を貰う。


「お礼がこの様な物で本当にいいのですか?」


「はい、見たい景色も見れましたから」


「おおなんとお優しい……、子供たちにも手本とさせたいぐらいです」


「はは、言い過ぎですよ」


 発射場所に戻り、荷袋から布袋を取り出して植木鉢(うえきばち)の底だけをまず入れる。


 そしてまず中に半分だけ土を入れ、そして近くにあった苗木(なえぎ)を掘り出して(はち)のなかに入れ隙間(すきま)を土で埋めていく。


「高さも丁度いいな」


 (まく)っていた袋を上まで被せ、折れないように(ひも)(しば)る。

 

 そしてそれを、荷袋のなかに入れる。


「よし、行くか」


 いよいよ砲塔(ほうとう)の中へ入ろうとした所で、嫌な予感がして足を止める。


「一応もしもの為にでかいの作っとくか……」


 袋の中から大きめの魔石を取り出して、守りに関連した魔法陣をあらかた刻んでおき、余った布で包み身体へ(しば)り付ける。


「よし…!『閉じよ』」


 本と杖を回収(かいしゅう)して起き、砲塔(ほうとう)を起動して急いで中に入る。


 (ひざ)を抱える体制で底に座り、風鎧(かぜよろい)の首飾りを起動して風を(まと)う。


 身体の周りに砲塔由来(ほうとうゆらい)の結界が()られたことを確認し耳を(ふさ)ぐ。


 砲塔(ほうとう)(きし)みを上げる音が聞こえ、多少不安になってきたがここまで来たらもう逃げられない。


 心を落ち着ける為に目を閉じて深呼吸をする。


「『発射』!」


 首の辺りで(いく)つも(くだ)ける音が聞こえる。


「おお、大成功……」


 目を開くと、そこは空だった。


被害状況(ひがいじょうきょう)はと、これはこれは……」


 結界を張るための首飾りは全て砕け魔石が消失している、さらに布で巻き付けた大きな魔石にも深く傷が入っており、機能(きのう)が生きているのが奇跡(きせき)状態(じょうたい)だった。


「でかいの作ってなきゃ死んでたなこれ」


 一つ目の山場(やまば)である発射はどうにか生き残れたが、次は着地の事を考えなければならない。


 翼である程度の減速(げんそく)が出来る事を期待しているが、それでもこの魔石で衝撃(しょうげき)相殺(そうさい)出来るかは(あや)しいだろう。


「いざとなったら魔術で結界張るしかないか、最近サボってるからぶっつけになるけど」


 覚悟を固めていると、高度が下がり始めていることに気づいた。


「最大点は過ぎたかな、『展開』」


 背負った翼が横に展開され、一対の翼となる。


 これは一応ドラゴンを参考に作った物で、木が支える骨となり、布が飛膜(ひまく)となって風を(つか)んでくれないかなと考えている。


 現状は大砲の結界のお(かげ)もあって翼に問題は起きていないが、問題は風を受け止めるために解いた後だ。


「……いや、どっちみちこれがダメなら死ぬしやるしかないか」


 周りを包む大砲の結界に触れ解除する、すると風を受けた両翼が(きし)み始めた。


「頑張ってくれ……!」


 翼に魔力を流し込むと、軋む音が()み、ゆっくりと羽ばたき始めた。


「高度を維持(いじ)するならもっと大きくして補 助(補助)も増やさなきゃダメか、ただ確実に減速(げんそく)はしてるからそこは良い感じだな」


 後はもうやる事がない為、空を飛ぶ事に対しての考察(こうさつ)を始める。


「次は翼の数を増やして三対(さんつい)六枚にでもしてみるか?いや重量が増えるのはあれか……、でも耐久力と軽さが両立出来る素材が手に入れば試してみる価値はあるか?」


 空の旅は(しばら)く続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ